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作曲拒否のマスターとルカの日常
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「あ、絵兎。おかえりなさい」
「ただいま…?」
仕事から帰宅した夜、不思議といつになくルカが楽しそうにしていた。
その様子に戸惑うあまりに疑問形で返事をしてしまったが、幸いにもルカは特に気付いた様子はない。ので、ひとまず荷物を普段と同じ場所へ置いてしまってから、どうしたのか軽く尋ねてみることにした。
「どしたの?今日はやけに楽しそうというか…」
「今日少しお散歩していたら、おいしそうな洋菓子屋さんを見つけちゃいまして」
「へえ」
「いくつか買って来たので、一緒に食べようと思って待ってたんです」
そう言うと、ルカは冷蔵庫から小ぶりな箱を一つ取り出す。
…しかし、私はそういうところに滅法疎いので、一体どこにあったのだろうと首をかしげてしまう。良く見つけてきたなあ、なんて感心しながら、ルカが手際よく開けてくれた箱の中身を見ると、これまた可愛らしい、やや小ぶりなケーキが四つほど入っているのが見えた。
見た感じではあるが、それぞれショートケーキ、モンブラン、ミルフィーユ、ティラミス…だろうか。
「こ、これ…ちょっとお高いやつ…?」
「うーん、そこまで高い感じはなかったですよ」
「まあ、ルカがそう言うならそっか」
あまりに小洒落た見た目をしていたものだから、美味しそうという感想をすっ飛ばして、それぞれの金額が気になってしまった。とはいえ、普段買うのはメーカー品ばかりで、こういうものに基本疎い自分があれこれ言えるようなものでもないだろう。正直なところ、ルカの方が詳しいまであるのだから。
…そもそもで主な基準がスーパーでの市販価格では、お門違いも甚だしいところである。
「どれも美味しそう…」
「ふふ、お店もとっても可愛らしくて素敵だったんですよ」
「そうなの?」
「ええ。カフェもあったので、どこかでぜひ絵兎と行きたいです」
「いいね、こういうところってあんまり行かないし」
そう言って頷くと、ルカもかなり嬉しそうに顔を綻ばせてくれるのが見えた。…同時に、考えてみれば一緒に出掛けるなんてあまりしていないな、ということが不意に過ぎっていく。
とりあえずケーキへ意識を戻すと、美味しそうとはいえこれだけで食べるのは味気ないかな、という考えがふと湧いてきた。なんとなくで、せっかくだし何か飲み物作ろうか?と声をかけてみれば、ルカの方も嬉々として頷いてくれた。
「えっと、ルカはコーヒーがいい?それとも紅茶?」
「どうせなら、絵兎と同じものがいいです」
「んー…もれなく甘くなるけど、良い?」
「激甘でなければ大丈夫です」
…てっきり紅茶あたりにでも行くのかなとばかり考えていたが、そう言う訳でもなかったらしい。予想とは少々離れた言葉に戸惑いつつ、まあ今日はケーキがあるし…といつもと比べて牛乳を控え気味にしてコーヒーを作る。と言っても、そもそもでスティックコーヒーなので甘めではあるのだが。
作り終えたものをテーブルに持っていくと、律儀に待っていてくれたらしいルカが顔を明るくしてこちらを見上げてきた。
「ケーキ、先に選んでてくれてよかったのに」
「やっぱり、一緒に選びたいなって」
「そんな気を遣わないでもいいのに…ありがと」
「いえいえ」
そのやりとりの後、思い思いにケーキを取って食べ始める。飲み物の方は私が心配したのとは反対に、ルカの方からもう一杯もらいたいですと言われた。甘いものはそこまで好まないのかと思っていたが、実際は甘いものが好きだったらしい。
その日は特にこれと言ったご飯を食べないまま、ゆっくり雑談して時間が過ぎていったけれど、これはこれでいいな、なんて思っていた私だった。
「ただいま…?」
仕事から帰宅した夜、不思議といつになくルカが楽しそうにしていた。
その様子に戸惑うあまりに疑問形で返事をしてしまったが、幸いにもルカは特に気付いた様子はない。ので、ひとまず荷物を普段と同じ場所へ置いてしまってから、どうしたのか軽く尋ねてみることにした。
「どしたの?今日はやけに楽しそうというか…」
「今日少しお散歩していたら、おいしそうな洋菓子屋さんを見つけちゃいまして」
「へえ」
「いくつか買って来たので、一緒に食べようと思って待ってたんです」
そう言うと、ルカは冷蔵庫から小ぶりな箱を一つ取り出す。
…しかし、私はそういうところに滅法疎いので、一体どこにあったのだろうと首をかしげてしまう。良く見つけてきたなあ、なんて感心しながら、ルカが手際よく開けてくれた箱の中身を見ると、これまた可愛らしい、やや小ぶりなケーキが四つほど入っているのが見えた。
見た感じではあるが、それぞれショートケーキ、モンブラン、ミルフィーユ、ティラミス…だろうか。
「こ、これ…ちょっとお高いやつ…?」
「うーん、そこまで高い感じはなかったですよ」
「まあ、ルカがそう言うならそっか」
あまりに小洒落た見た目をしていたものだから、美味しそうという感想をすっ飛ばして、それぞれの金額が気になってしまった。とはいえ、普段買うのはメーカー品ばかりで、こういうものに基本疎い自分があれこれ言えるようなものでもないだろう。正直なところ、ルカの方が詳しいまであるのだから。
…そもそもで主な基準がスーパーでの市販価格では、お門違いも甚だしいところである。
「どれも美味しそう…」
「ふふ、お店もとっても可愛らしくて素敵だったんですよ」
「そうなの?」
「ええ。カフェもあったので、どこかでぜひ絵兎と行きたいです」
「いいね、こういうところってあんまり行かないし」
そう言って頷くと、ルカもかなり嬉しそうに顔を綻ばせてくれるのが見えた。…同時に、考えてみれば一緒に出掛けるなんてあまりしていないな、ということが不意に過ぎっていく。
とりあえずケーキへ意識を戻すと、美味しそうとはいえこれだけで食べるのは味気ないかな、という考えがふと湧いてきた。なんとなくで、せっかくだし何か飲み物作ろうか?と声をかけてみれば、ルカの方も嬉々として頷いてくれた。
「えっと、ルカはコーヒーがいい?それとも紅茶?」
「どうせなら、絵兎と同じものがいいです」
「んー…もれなく甘くなるけど、良い?」
「激甘でなければ大丈夫です」
…てっきり紅茶あたりにでも行くのかなとばかり考えていたが、そう言う訳でもなかったらしい。予想とは少々離れた言葉に戸惑いつつ、まあ今日はケーキがあるし…といつもと比べて牛乳を控え気味にしてコーヒーを作る。と言っても、そもそもでスティックコーヒーなので甘めではあるのだが。
作り終えたものをテーブルに持っていくと、律儀に待っていてくれたらしいルカが顔を明るくしてこちらを見上げてきた。
「ケーキ、先に選んでてくれてよかったのに」
「やっぱり、一緒に選びたいなって」
「そんな気を遣わないでもいいのに…ありがと」
「いえいえ」
そのやりとりの後、思い思いにケーキを取って食べ始める。飲み物の方は私が心配したのとは反対に、ルカの方からもう一杯もらいたいですと言われた。甘いものはそこまで好まないのかと思っていたが、実際は甘いものが好きだったらしい。
その日は特にこれと言ったご飯を食べないまま、ゆっくり雑談して時間が過ぎていったけれど、これはこれでいいな、なんて思っていた私だった。