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作曲拒否のマスターとルカの日常
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手元のスマホを見つめながら、ひとりでににこにこしたり、逆にしかめっ面に近い表情をしてしまったりして過ごしている、今日の昼下がり。
…決して怖い人になるつもりはなく、単に自分の描いてきた絵を見返していたにすぎない。
「…何だか楽しそうですね」
「…わっ、ルカ?!びっくりした…」
あまりに一人で一喜一憂しているように見えたからなのか、単純に手元を食い入るように見ていたからなのか、気になったらしいルカが私の隣に座っていた。正直、手元を夢中になるほど見ていて全然気付いておらず、声をかけられてそこで我に返ったことも有り、尋常じゃなくびっくりして体が跳ねた。
ルカも私が普段見ないような驚き方をしてしまったからか、かえって困惑しているように見える。
「そ、そんなに驚かせちゃいましたか…?」
「えっ、あ、ううん、ルカが悪い訳じゃないの。私が気付いてなかっただけ」
だから気にしないで。
そう弁解しておけば、ルカは納得したかどうかに関しては別として、そうですか、と引き下がってくれる。そんな様子のルカへホッとしていたのも束の間、代わりに事の発端である私の手元にあるスマホへ気が向いたようで、何を見ていたのかと訊ねられた。
「え?あ…うん、自分の過去絵…」
「見せてほしいです」
「やだ」
「ええ…」
つい動揺するあまり、普段以上に反応がきつくなってしまう私を押しのけるように、ルカが珍しくやや喰い気味に見せてほしいと頼んでくる。…そりゃあ私としても綺麗に完成している分には何も問題ないのだが、今見ていた絵に関しては落書きも下書きも、なんなら愚痴なんかを描いたものも全てごった返した、謂わば闇鍋のような状態である。日ごろ無頓着気味な私でも、こればかりは流石に大人しくはいどうぞ、なんて正直言えない。
しかしそんな私を知ってか知らずか、ルカは汚れを知らなさそうな綺麗な目でこちらをじっと見つめてくる。…それが私には少しだけ辛く感じて、必要ないと分かりつつも、照れ隠しと強がりからついついさらに態度を固くして、突っぱねるような言葉を吐き出してしまう。
「…そもそも、なんでそんなに見たいの?」
「えっ?そうですね…単純にあなたの描く絵を見るのが好き、ってところでしょうか」
「ならネットで見れば良いのに…上げてるんだから…」
「じゃあ、ネットに上がってないやつが見たいです」
「え?あ、いや…それは…」
絶対、何かしら持ってるでしょう?
私の絵がそんなに見たいなら…とぼやけば、少し想定外の方向からわくわくとした様子でルカが訊ねてくる。逃げようとしてぼやいたものの、結局墓穴を掘ってしまったらしい。
見せるのを躊躇するあまりに、そりゃあ持ってはいるけれど、と言葉を濁して逃げるように視線を逸らせば、知りたいんです、と少しの間をおいてから呟くように話し出すのが聞こえて顔を上げた。
「絵兎の、心から楽しいと思っていること」
「え?」
「…絵を描いている時の絵兎、本当に伸びやかで楽しそうなんですよ。何にもとらわれない感じで」
「…」
さっきまでの好奇心で輝いて見えていた様子とは打って変わり、ふわっとルカが寂しそうに微笑むのが見える。…もしかして、私が絵を描いている時に疎外感を感じていたのだろうか、なんて。
「…別に、絶対見るなとは言わない、し…」
「え?」
「たまにくらいなら…描く時見てても、良いけど」
「…」
本音を言えば見られるのは少し苦手だが、まあルカがそれで満足するなら…と、照れ隠し混じりになりながらもぼそぼそと言葉をかける。少し自信過剰かな、と思いつつも恥ずかしさが勝って目を逸らしていたものの、ちょっと無言の時間が長いような気がして、余計なことだったかな…という心配から、ルカの方をもう一度向いた。
…そちらを向けば、私の心配とは反対に口角を上げ、嬉しそうな様子をするルカの姿が目に入ってきた。
ルカも私の視線に気づいたのか、こちらを見て分かりやすく笑いかけてくれる。
「…ふふ、まさか絵兎からそう言ってもらえるとは思わなくて」
「頻繁だと突っぱねると思うけど」
「ええ、分かってますよ。でも…ありがとうございます」
…で、結局見せてもらえる絵は無いんですか?
代わりの案を出したものの、どうしてもそれとは別に今の手持ちの絵を見たいようで、結局は初めの事を尋ねられた。諦めてなかったのか、と思わず苦笑いをしつつ、仕方ないかと考え始めた自分がいるのも相まって、取り敢えず見せてもいいかなというものだけ、ピックアップして見せることにした。
…決して怖い人になるつもりはなく、単に自分の描いてきた絵を見返していたにすぎない。
「…何だか楽しそうですね」
「…わっ、ルカ?!びっくりした…」
あまりに一人で一喜一憂しているように見えたからなのか、単純に手元を食い入るように見ていたからなのか、気になったらしいルカが私の隣に座っていた。正直、手元を夢中になるほど見ていて全然気付いておらず、声をかけられてそこで我に返ったことも有り、尋常じゃなくびっくりして体が跳ねた。
ルカも私が普段見ないような驚き方をしてしまったからか、かえって困惑しているように見える。
「そ、そんなに驚かせちゃいましたか…?」
「えっ、あ、ううん、ルカが悪い訳じゃないの。私が気付いてなかっただけ」
だから気にしないで。
そう弁解しておけば、ルカは納得したかどうかに関しては別として、そうですか、と引き下がってくれる。そんな様子のルカへホッとしていたのも束の間、代わりに事の発端である私の手元にあるスマホへ気が向いたようで、何を見ていたのかと訊ねられた。
「え?あ…うん、自分の過去絵…」
「見せてほしいです」
「やだ」
「ええ…」
つい動揺するあまり、普段以上に反応がきつくなってしまう私を押しのけるように、ルカが珍しくやや喰い気味に見せてほしいと頼んでくる。…そりゃあ私としても綺麗に完成している分には何も問題ないのだが、今見ていた絵に関しては落書きも下書きも、なんなら愚痴なんかを描いたものも全てごった返した、謂わば闇鍋のような状態である。日ごろ無頓着気味な私でも、こればかりは流石に大人しくはいどうぞ、なんて正直言えない。
しかしそんな私を知ってか知らずか、ルカは汚れを知らなさそうな綺麗な目でこちらをじっと見つめてくる。…それが私には少しだけ辛く感じて、必要ないと分かりつつも、照れ隠しと強がりからついついさらに態度を固くして、突っぱねるような言葉を吐き出してしまう。
「…そもそも、なんでそんなに見たいの?」
「えっ?そうですね…単純にあなたの描く絵を見るのが好き、ってところでしょうか」
「ならネットで見れば良いのに…上げてるんだから…」
「じゃあ、ネットに上がってないやつが見たいです」
「え?あ、いや…それは…」
絶対、何かしら持ってるでしょう?
私の絵がそんなに見たいなら…とぼやけば、少し想定外の方向からわくわくとした様子でルカが訊ねてくる。逃げようとしてぼやいたものの、結局墓穴を掘ってしまったらしい。
見せるのを躊躇するあまりに、そりゃあ持ってはいるけれど、と言葉を濁して逃げるように視線を逸らせば、知りたいんです、と少しの間をおいてから呟くように話し出すのが聞こえて顔を上げた。
「絵兎の、心から楽しいと思っていること」
「え?」
「…絵を描いている時の絵兎、本当に伸びやかで楽しそうなんですよ。何にもとらわれない感じで」
「…」
さっきまでの好奇心で輝いて見えていた様子とは打って変わり、ふわっとルカが寂しそうに微笑むのが見える。…もしかして、私が絵を描いている時に疎外感を感じていたのだろうか、なんて。
「…別に、絶対見るなとは言わない、し…」
「え?」
「たまにくらいなら…描く時見てても、良いけど」
「…」
本音を言えば見られるのは少し苦手だが、まあルカがそれで満足するなら…と、照れ隠し混じりになりながらもぼそぼそと言葉をかける。少し自信過剰かな、と思いつつも恥ずかしさが勝って目を逸らしていたものの、ちょっと無言の時間が長いような気がして、余計なことだったかな…という心配から、ルカの方をもう一度向いた。
…そちらを向けば、私の心配とは反対に口角を上げ、嬉しそうな様子をするルカの姿が目に入ってきた。
ルカも私の視線に気づいたのか、こちらを見て分かりやすく笑いかけてくれる。
「…ふふ、まさか絵兎からそう言ってもらえるとは思わなくて」
「頻繁だと突っぱねると思うけど」
「ええ、分かってますよ。でも…ありがとうございます」
…で、結局見せてもらえる絵は無いんですか?
代わりの案を出したものの、どうしてもそれとは別に今の手持ちの絵を見たいようで、結局は初めの事を尋ねられた。諦めてなかったのか、と思わず苦笑いをしつつ、仕方ないかと考え始めた自分がいるのも相まって、取り敢えず見せてもいいかなというものだけ、ピックアップして見せることにした。