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作曲拒否のマスターとルカの日常
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「…えへへ、久しぶりのお出かけ楽しいな~」
そう言いながら満面の笑顔で隣を歩くのは、ルカ…ではなくてミク。
勿論、ルカも私を挟んだ向かいの隣で歩いてはいるのだが、いかんせんミクとは初対面なので、かなりの戸惑いに加えて距離感を測りあぐねているように見える。
「蜜樹とは出かけないの?」
「出かけるけど、やっぱりほら…同性同士の方がいいってこともあるじゃない?」
お洋服とか、小物とか、そういうのを楽しく選べるのはやっぱり同性の相手かなって!
…普段、余程蜜樹に対して遠慮でもしているのか、本当にミクの思うような買い物ができないからなのか、その辺りは私には分からない。が、私からの問いに満面の笑顔で返してくる。でも正直なところ、蜜樹ならある程度乗ってくれそうな気がするけれど…なんて考えも過ぎる。
なんなら私と出かけることで、同性が故のぶつかりもありそうなものだが…その辺りはいいのだろうか。ミクが好むものが極端なものでなければ、蜜樹のセンスでも十分可愛いものを、なんなら私より遥かに正統派なかわいさを手に取って選んでくれそうに思える。
ひとりそう悶々と考えていると、不意にルカが軽く私の服を引っ張って呼んできて我に返った。…なんだか、ものすごく困惑した顔をしているけれど。
「ん?どうしたの?」
「ええと…いまいち話についていけなくて。そもそも蜜樹ってどなたですか…?」
「えっ?…ああ、そっか。そういえばその辺のこと、ルカにあまり話してなかったもんね」
余程割り入る事への抵抗感があったのか、かなり遠慮がちになりながら訊ねてくる。
一瞬そんなこと?と思わなかった訳ではないが、そもそもよく考えてみれば、ルカからすれば突然見ず知らずの相手と一緒に出かけて、さらに知らない相手の話を聞いている訳だから当然の質問か、と考え直す。
聞かれるまですっかり抜け落ちていた私も大概だが、言われてみればその辺り特段詳しくは話していなかったな、と思い至ったことも合わさり、道中で軽く喋ることにした。私としても、ルカが不安そうにするのは本望ではないし。
「ええと、蜜樹は私の弟。で、ミクは弟と暮らしてる子だよ。たまにね、こうやって一緒に出かけてるの」
「絵兎ちゃんってば、話してなかったの?」
「…あはは、つい癖で」
「もう、その辺りいつも適当なんだから…」
私が端的に話すところを見てか、ミクの方も状況を察したらしい。おまけに、どうせまた私と出かけるとか簡単な内容しか伝えてなかったんでしょ、と結構正確に突っ込まれてしまい、私からはぐうの音も出ない。ルカもそんなミクへ驚いているのか、ぽかんとした様子でこちらを見守っているのが分かる。
「ルカちゃんもごめんね、びっくりしたでしょ。私のマスターと絵兎ちゃんって割と仲がいいから、たまにこうやって頼っちゃうんだ」
「そっ、そう…なんですか」
「うん。さっき聞いてたと思うけど、私のマスター…蜜樹、って言うんだけど、男の人でね。こういう買い物は時々、絵兎ちゃんと出かけてるんだ」
私以上に詳しく話すミクをちらと見ながら、ちょっとだけ内心助かるような、それ以上に申し訳ないような…という微妙な境地になる。とはいえ、ルカの方は色々分からなかった部分がようやく繋がったのか、納得したような表情になってきたので、その辺なんてどちらでも良いか。
そこからしばらくしてほっとした様子を見せてきたと思うと、そういうことですか、と呟くのが聞こえた。
「あまりにも仲がいいから、どういう相手なのだろうって…少し思っちゃいました」
「そりゃあそうだよね。まして、絵兎ちゃんの人間関係を全く知らないなら、至極当然の反応だと思うよ」
「あはは…ごめんってば」
「ほんと、その辺蜜樹とそっくりなんだよねえ…流石姉弟というかさあ」
呆れ半分になりながらそういうミクへ、ちょっと苦笑いをしてしまう。ルカもさっきまでとは打って変わり、楽しそうに笑っているのが見える。どうやら、さっきのことでミクと打ち解けたらしい。
そんな二人の様子にほっとしていると、そういえば…とミクが少し訝しむような表情をして、私の方へ向き直ってくる。
「その流れで行くと絵兎ちゃんってさ、せっちゃんたちの事も話してないでしょ」
「あっ、そういえば」
「やっぱりね…」
どこかやれやれといった様子で、ミクが頭を振ってくる。ルカはルカで初めて聞く名前がさらに増えたからか、再びどこかぽかんとした様子でミクと私を交互に見つめてくるのが分かる。
私自身はそんなルカたちへ、小さく肩をすぼめながら内心謝るくらいしかできなかった。
そう言いながら満面の笑顔で隣を歩くのは、ルカ…ではなくてミク。
勿論、ルカも私を挟んだ向かいの隣で歩いてはいるのだが、いかんせんミクとは初対面なので、かなりの戸惑いに加えて距離感を測りあぐねているように見える。
「蜜樹とは出かけないの?」
「出かけるけど、やっぱりほら…同性同士の方がいいってこともあるじゃない?」
お洋服とか、小物とか、そういうのを楽しく選べるのはやっぱり同性の相手かなって!
…普段、余程蜜樹に対して遠慮でもしているのか、本当にミクの思うような買い物ができないからなのか、その辺りは私には分からない。が、私からの問いに満面の笑顔で返してくる。でも正直なところ、蜜樹ならある程度乗ってくれそうな気がするけれど…なんて考えも過ぎる。
なんなら私と出かけることで、同性が故のぶつかりもありそうなものだが…その辺りはいいのだろうか。ミクが好むものが極端なものでなければ、蜜樹のセンスでも十分可愛いものを、なんなら私より遥かに正統派なかわいさを手に取って選んでくれそうに思える。
ひとりそう悶々と考えていると、不意にルカが軽く私の服を引っ張って呼んできて我に返った。…なんだか、ものすごく困惑した顔をしているけれど。
「ん?どうしたの?」
「ええと…いまいち話についていけなくて。そもそも蜜樹ってどなたですか…?」
「えっ?…ああ、そっか。そういえばその辺のこと、ルカにあまり話してなかったもんね」
余程割り入る事への抵抗感があったのか、かなり遠慮がちになりながら訊ねてくる。
一瞬そんなこと?と思わなかった訳ではないが、そもそもよく考えてみれば、ルカからすれば突然見ず知らずの相手と一緒に出かけて、さらに知らない相手の話を聞いている訳だから当然の質問か、と考え直す。
聞かれるまですっかり抜け落ちていた私も大概だが、言われてみればその辺り特段詳しくは話していなかったな、と思い至ったことも合わさり、道中で軽く喋ることにした。私としても、ルカが不安そうにするのは本望ではないし。
「ええと、蜜樹は私の弟。で、ミクは弟と暮らしてる子だよ。たまにね、こうやって一緒に出かけてるの」
「絵兎ちゃんってば、話してなかったの?」
「…あはは、つい癖で」
「もう、その辺りいつも適当なんだから…」
私が端的に話すところを見てか、ミクの方も状況を察したらしい。おまけに、どうせまた私と出かけるとか簡単な内容しか伝えてなかったんでしょ、と結構正確に突っ込まれてしまい、私からはぐうの音も出ない。ルカもそんなミクへ驚いているのか、ぽかんとした様子でこちらを見守っているのが分かる。
「ルカちゃんもごめんね、びっくりしたでしょ。私のマスターと絵兎ちゃんって割と仲がいいから、たまにこうやって頼っちゃうんだ」
「そっ、そう…なんですか」
「うん。さっき聞いてたと思うけど、私のマスター…蜜樹、って言うんだけど、男の人でね。こういう買い物は時々、絵兎ちゃんと出かけてるんだ」
私以上に詳しく話すミクをちらと見ながら、ちょっとだけ内心助かるような、それ以上に申し訳ないような…という微妙な境地になる。とはいえ、ルカの方は色々分からなかった部分がようやく繋がったのか、納得したような表情になってきたので、その辺なんてどちらでも良いか。
そこからしばらくしてほっとした様子を見せてきたと思うと、そういうことですか、と呟くのが聞こえた。
「あまりにも仲がいいから、どういう相手なのだろうって…少し思っちゃいました」
「そりゃあそうだよね。まして、絵兎ちゃんの人間関係を全く知らないなら、至極当然の反応だと思うよ」
「あはは…ごめんってば」
「ほんと、その辺蜜樹とそっくりなんだよねえ…流石姉弟というかさあ」
呆れ半分になりながらそういうミクへ、ちょっと苦笑いをしてしまう。ルカもさっきまでとは打って変わり、楽しそうに笑っているのが見える。どうやら、さっきのことでミクと打ち解けたらしい。
そんな二人の様子にほっとしていると、そういえば…とミクが少し訝しむような表情をして、私の方へ向き直ってくる。
「その流れで行くと絵兎ちゃんってさ、せっちゃんたちの事も話してないでしょ」
「あっ、そういえば」
「やっぱりね…」
どこかやれやれといった様子で、ミクが頭を振ってくる。ルカはルカで初めて聞く名前がさらに増えたからか、再びどこかぽかんとした様子でミクと私を交互に見つめてくるのが分かる。
私自身はそんなルカたちへ、小さく肩をすぼめながら内心謝るくらいしかできなかった。