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作曲拒否のマスターとルカの日常
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あっという間に移ろいゆく景色に釘付けになるルカと、一定の速さで流れる景色に船を漕ぎだす私。
今は平日の昼間だが、今週は夜勤で丁度空いていたこともあり、こうしてふらっと出かけている。行き先自体は家からやや遠い為、のんびりとバスに揺られている最中だ。
「…絵兎、大分眠そうですけど…本当に大丈夫ですか?」
「どうにか…」
「それならいいですけど…」
窓際に座って外を眺める傍ら、うっすらと鏡写しになって映る私の姿を見て不安にでもなってしまうのか、ルカがそっと尋ねてくる。そんな問いかけにぼんやりしつつも返事をすれば、どこか疑わしそうな視線をしながらもそれ以上は掘り下げようとはしてこない。まあ、いつもの事だと分かっているからだろう。
…暫くすればルカは再び外へと視線を向け、初めて見る街の景色をどこか楽しそうに眺め始めるのが見えた。時々もう少しさらに顔を輝かせているのは、ルカが今度行ってみたいと思った場所なのだろうか…なんて考えながら、何も無いまま時間が過ぎてゆく。
『次は、〜』
そんな静寂の中でも特にバスが停まる様子のないまま、次のバス停の名がアナウンスされる。今は利用客の少ない時間なのか、それとも今日は珍しく人がいないだけなのかは普段乗らない路線なので分からないが、かれこれもう数駅分は停まっていない。
あまりにも暇で眠いな、と思わずあくびをひとつつく。結局、今アナウンスされたバス停にも特に停まることはなく、何事もなかったように次のバス停の名前が読み上げられ始めたのが聞こえてきた。同じぐらいに、不意にルカが窓の外から視線を外し、正面の行き先表示を不思議そうに眺め始めた。
「降りるのはもう少し先のはずだから、大丈夫だよ」
それもあまりにもじっと見つめているものだから、かえって私のほうが不思議になり、ルカへ話しかけた。
ルカは私の言葉に頷いてくれたと思うと、えっと…とやや困り気味になりながら1つ尋ねてきた。
「降りるバス停はどこでしたっけ」
「降りるところ?ん…ちょっと待って」
…どうやら暫く乗りっぱなしで、本当は降りるはずのバス停を過ぎたのではないかと思ったらしい。まあ隣ではずっと私が船を漕いでいたし、初めて乗る路線だしで、不安になるのも分からなくもない。
私自身も記憶が間違っていると怖いし、と鞄からスマホを出してマップを開く。調べ直しが面倒だからと固定したルートの情報を開き、横から覗いてくるルカと一緒に眺めた。
「…◯駅、ですね」
「みたいだね」
「えっと、今がここだから…あと少しですかね?」
経由するバス停の名を追いながら、ルカがそう話す。うん、と短く頷き返すと、覚えておきます、と画面から顔を離すのが分かった。
「それなりの猶予はありそうですし、絵兎は少し寝ててください」
「え?その言葉は嬉しいけど…」
「大丈夫ですよ。そのバス停が近くなったら、きちんと起こしますから」
きっと寝るか寝ないかのすれすれにいたことで、私自身以上にルカの方が気にしてくれていたのだろう。大丈夫だから、と言うように微笑んで、私へそう言ってくれる。
私も頑張ったところでどこかでふっと寝てしまいそうだし、無理に起きているのも危ないか…と今はその言葉に甘えることにして、バスの穏やかで心地いい揺れと微睡みの中でうつらうつらとし始めた。
今は平日の昼間だが、今週は夜勤で丁度空いていたこともあり、こうしてふらっと出かけている。行き先自体は家からやや遠い為、のんびりとバスに揺られている最中だ。
「…絵兎、大分眠そうですけど…本当に大丈夫ですか?」
「どうにか…」
「それならいいですけど…」
窓際に座って外を眺める傍ら、うっすらと鏡写しになって映る私の姿を見て不安にでもなってしまうのか、ルカがそっと尋ねてくる。そんな問いかけにぼんやりしつつも返事をすれば、どこか疑わしそうな視線をしながらもそれ以上は掘り下げようとはしてこない。まあ、いつもの事だと分かっているからだろう。
…暫くすればルカは再び外へと視線を向け、初めて見る街の景色をどこか楽しそうに眺め始めるのが見えた。時々もう少しさらに顔を輝かせているのは、ルカが今度行ってみたいと思った場所なのだろうか…なんて考えながら、何も無いまま時間が過ぎてゆく。
『次は、〜』
そんな静寂の中でも特にバスが停まる様子のないまま、次のバス停の名がアナウンスされる。今は利用客の少ない時間なのか、それとも今日は珍しく人がいないだけなのかは普段乗らない路線なので分からないが、かれこれもう数駅分は停まっていない。
あまりにも暇で眠いな、と思わずあくびをひとつつく。結局、今アナウンスされたバス停にも特に停まることはなく、何事もなかったように次のバス停の名前が読み上げられ始めたのが聞こえてきた。同じぐらいに、不意にルカが窓の外から視線を外し、正面の行き先表示を不思議そうに眺め始めた。
「降りるのはもう少し先のはずだから、大丈夫だよ」
それもあまりにもじっと見つめているものだから、かえって私のほうが不思議になり、ルカへ話しかけた。
ルカは私の言葉に頷いてくれたと思うと、えっと…とやや困り気味になりながら1つ尋ねてきた。
「降りるバス停はどこでしたっけ」
「降りるところ?ん…ちょっと待って」
…どうやら暫く乗りっぱなしで、本当は降りるはずのバス停を過ぎたのではないかと思ったらしい。まあ隣ではずっと私が船を漕いでいたし、初めて乗る路線だしで、不安になるのも分からなくもない。
私自身も記憶が間違っていると怖いし、と鞄からスマホを出してマップを開く。調べ直しが面倒だからと固定したルートの情報を開き、横から覗いてくるルカと一緒に眺めた。
「…◯駅、ですね」
「みたいだね」
「えっと、今がここだから…あと少しですかね?」
経由するバス停の名を追いながら、ルカがそう話す。うん、と短く頷き返すと、覚えておきます、と画面から顔を離すのが分かった。
「それなりの猶予はありそうですし、絵兎は少し寝ててください」
「え?その言葉は嬉しいけど…」
「大丈夫ですよ。そのバス停が近くなったら、きちんと起こしますから」
きっと寝るか寝ないかのすれすれにいたことで、私自身以上にルカの方が気にしてくれていたのだろう。大丈夫だから、と言うように微笑んで、私へそう言ってくれる。
私も頑張ったところでどこかでふっと寝てしまいそうだし、無理に起きているのも危ないか…と今はその言葉に甘えることにして、バスの穏やかで心地いい揺れと微睡みの中でうつらうつらとし始めた。