「あ、カムイ姉様！タクミ兄様もいらしてたんですね」

部屋で姉さんと絵を描きあげたあと、サクラがやってきた。
見覚えのある本を抱えて。

「？サクラ、その本って…」
「部屋の整理をしていたら出てきたんです。なんだか、姉様に読んで欲しくて」
「あたしが…？」

その本は、サクラが姉さんの部屋へ遊びに行くたびに読み聞かせてもらっていたものだ。なんて、サクラは覚えていないか。
さらに言うと、いなくなった後も部屋に入って本を見つけては、姉の面影を思い出してメソメソ泣いていたっけ。

どちらもタクミにとっては懐かしい思い出だ。

「僕も久しぶりに聞きたい。姉さんの読み聞かせ」
「わかったから、二人とも。
にしても、なんだか小さな子供に戻ったみたいだわ」
「そ、そうでしょうか…？」
「そう、かもね」

姉さんは笑って、じゃあ読み始めるわね、と言った。

…ある時のこと。それは突然に起こりました。…

…昼下がりの日差しが、僕ら兄弟を優しく照らし出していた。