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忘 れ な い で …

着いて早々、レフィールは驚きの光景を見た。

「アレ!?黒いカービィ…の人形?」
「あ、き、君!今は来ては…」
「…」

恐らく、レフィールを好奇心から来た野次馬だと勘違いしたのだろう。
銀髪の青年…ルフレが、必死に止めようと話しかけてきた。

…が、そんな彼は次の瞬間には人形へと変わり果てていて。

レフィールは今がどういう状況かを察すると同時に、ルフレをこうした張本人であろう、向かい合った先の少女の姿に驚いてしまっていた。

「…エア、何シテルノ…?怒りの矛先がオカシイと思うヨ?」
「…既に向けるべき相手には向けたわ。けど、邪魔されるからこうしてるのよ」
「当たり前です!彼らが動かなくなるというのは、ここにいる皆が揃って動けなくなる…命を落としたも同然の状態になるんですから」

エアの後ろから聞こえてきた、サイガの声。
見ればインフとサイガが追いついたらしく、実質挟み撃ちのような状況となる。

その言葉はどうやら火に油だったようで、うるさい!とエアが手に持つ武器をひと薙してきた。
咄嗟に避けたものの、その隙をついてエアは行方をくらましてしまう。

「…全く、これじゃあいちゃもんじゃないですか…」
「エアさんの気持ちも分かりますけど…向ける先が違うと思います…」

そう話しながらどうしようかを考えていると、ねえ…と本当に小さく、尋ねる声が物陰から聞こえてきた。

3匹がそちらを見ると、ちょいちょいと手招きをするカービィがいて。
周りを確認してから近寄ると、こっち!と部屋へ誘導される。

…中には、何人かが既に篭城していたのであろう。

カービィだけかと思えば、他にもデデデやインクリング、フォックスやピーチ、アイスクライマー…もといポポとナナなど、急に多くの不安そうな顔がレフィールたちへ向けられた。

「…もしかして、あのことしりあいなの?」
「そうですね…。それより、他の皆さんは…?」
「他の部屋にいらっしゃる方も居ますし、中には…その、既に…」

ぎこちなく、サイガの問いかけへリュカが返事をする。
歯切れの悪かった部分は、既に人形フィギュアとなってしまっている、ということだろう。

「先程、その何人かは見ました。全体は…分かりませんが」
「レフィール、あのね…ネスとシャドーが、人形になっちゃったの…」
「エッ、ネスが!?」
「ぼくたち、すこしゆだんしてて…まさか、あのころにちかいことがおきるなんて、おもわなかったから…」

そう言ってすっかりしょげているカービィにかける言葉が浮かばないながら、とにかく励まそうとサイガとレフィールが大丈夫だと声をかける。

そんな中、不意にフォックスが話し出して。

「お前たち、なんでそんな内部事情に詳しいんだ?それに…マスハンへ怒りを向けるわけもさっぱりなんだが…」
「気にナル?」
「そりゃあだって、こんなの理不尽すぎるよ…!」

話し渋る3匹へ、そうポポが複雑そうな様子で声を荒げる。

…いくら3匹は事情を知っているとはいえ、それは3匹だけの話。
ここの皆からすればあられもない理由で襲われているも同然なのだ。

そんな中、意を決したようにサイガがぽつりと話しだした。

「…僕達、皆さんのはるか前にここにいたんです。お恥ずかしながら…一応先輩、の立ち位置になります」
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