忘 れ な い で …
「…マスター、それに皆さん!」
「嘘、そんな訳…!」
ぱあっと顔を明るくしたサイガとは対照的に、忌々しげに顔を歪めたエア。
二人の視線の先はどちらも同じ…マスターハンドである。
ちょっと間が開いた後、マスターハンドはいつになく静かな語り口調で話し出した。
「…エア、君が何をしたのか分かっているのかい」
「分からずにやるほど、私だって馬鹿じゃないわよ」
「…なら、どうなるかも分かって…」
不意に、マスターハンドの言葉が止まる。
それもそのはず、エアがうるさいというように槍先をマスターハンドへ向けて振り回したのだ。
「エア、どうして…」
「…るさい…御託なんかいらないわよ…」
「エア…」
「説法なんてどうでもいい!私は…私は…!」
「そうか。…君たちには、本当に悪い事をしたね」
「!」
槍の落っこちた、やや軽そうな音が響く。
同時に、その隣へエアがどさりと倒れ込む。
皆が不安そうに見守るが、動く気配はない。
…完全に、命を失ってしまった人形へとなってしまったようだった。
そんなやや重い空気の中、フライがエアのもとへ歩み寄っていく。
…元々、双子の存在として生を与えられていた存在。
だったのに、いつからかここまで相いれない存在へとなり果ててしまっていた。
確かにエアは昔から諦めを知らないような性格ではあったが、それが裏目に出た結果だろうか。
そう、一人考える。
「…マスター」
「なんだい?」
「どうせだから…僕らもこの状態へ戻してくれると嬉しいんだけど…」
「えっ、それは本気か!?」
「…」
驚いたように問うフォックスへ、フライは無言で頷く。
もうこんな生き地獄のような生活、終われるものなら終わりたいというのがフライたちの本音だったのだ。
あの時、人形に戻されていれば…何度も思ったことだ。
しかし、そんなフライたちへそんなのやだ!と異議を叫ぶ声が聞こえた。
「…カービィ…」
「せっかくおともだちになったのに!!もっともっと、いっしょにあそびたいのに!!」
「…ソンナ簡単な話ナンカじゃナイんだヨ。ボクらの間には明らかに壁もアッタデショ」
「そんなのこわせばいいじゃんか!なんでいなくなっちゃうの…!?」
さっき以上に、カービィがそう泣きわめく。
…レフィールたちだって、泣かせてしまうのは本望じゃない。二つの思いに板挟みになり、ほとほと困り果ててしまっていた。
「…僕はエアのところにいる。一人にしておくのも少し不安だから。けど…レフィールたちはさ、今の方がいいのなら残りなよ」
そんな中で今まで黙っていたフライが、レフィールたちへそう告げた。
その顔はようやくしがらみのようなものがなくなったからか、穏やかで優しい空気を纏っていた。
「でも…」
「僕やエアに申し訳ない、なんて思わないで。僕らが人形に戻るのは、あくまでもうそう決めて揺るがない意思があるからだから。まだ生きていたいのなら、寧ろ生きていてくれるほうが嬉しいよ」
「…」
「…レフィール、最初に会った時ももう会わないと思う、って言ってたよね」
それで結局、また会っちゃってるけどね。
カービィやリュカ、インフたちのいる所よりもさらに奥の方から、朗らかな声が聞こえる。
びっくりしてその場の全員がそちらを見れば、なんと人形となっていた皆がそこへいるのが見えた。
勿論、今の声の主であるネスも然り。
カービィはネスやシャドーと再会できて嬉しいのか、そちらへ一直線に飛びついて行くのが見えた。
「…デモ…」
「このことは怒ってないよ」
「ネスさん…」
「…だって、ずっと素知らぬ顔をされ続けてたんでしょ?僕らですら存在を聞いたことがなかったし…。こんな扱い、誰だって怒るよ」
「それもそうだよな。やったことはめちゃくちゃかもしれないが、それくらいまで怒っていたって考えると、逆に同情心が湧いてくるし」
…最後に決めるのは、いずれにしてもレフィールたちだよ。
そう穏やかに微笑むネスたち皆は、静かに決断する時を待っているように見えた。
「嘘、そんな訳…!」
ぱあっと顔を明るくしたサイガとは対照的に、忌々しげに顔を歪めたエア。
二人の視線の先はどちらも同じ…マスターハンドである。
ちょっと間が開いた後、マスターハンドはいつになく静かな語り口調で話し出した。
「…エア、君が何をしたのか分かっているのかい」
「分からずにやるほど、私だって馬鹿じゃないわよ」
「…なら、どうなるかも分かって…」
不意に、マスターハンドの言葉が止まる。
それもそのはず、エアがうるさいというように槍先をマスターハンドへ向けて振り回したのだ。
「エア、どうして…」
「…るさい…御託なんかいらないわよ…」
「エア…」
「説法なんてどうでもいい!私は…私は…!」
「そうか。…君たちには、本当に悪い事をしたね」
「!」
槍の落っこちた、やや軽そうな音が響く。
同時に、その隣へエアがどさりと倒れ込む。
皆が不安そうに見守るが、動く気配はない。
…完全に、命を失ってしまった人形へとなってしまったようだった。
そんなやや重い空気の中、フライがエアのもとへ歩み寄っていく。
…元々、双子の存在として生を与えられていた存在。
だったのに、いつからかここまで相いれない存在へとなり果ててしまっていた。
確かにエアは昔から諦めを知らないような性格ではあったが、それが裏目に出た結果だろうか。
そう、一人考える。
「…マスター」
「なんだい?」
「どうせだから…僕らもこの状態へ戻してくれると嬉しいんだけど…」
「えっ、それは本気か!?」
「…」
驚いたように問うフォックスへ、フライは無言で頷く。
もうこんな生き地獄のような生活、終われるものなら終わりたいというのがフライたちの本音だったのだ。
あの時、人形に戻されていれば…何度も思ったことだ。
しかし、そんなフライたちへそんなのやだ!と異議を叫ぶ声が聞こえた。
「…カービィ…」
「せっかくおともだちになったのに!!もっともっと、いっしょにあそびたいのに!!」
「…ソンナ簡単な話ナンカじゃナイんだヨ。ボクらの間には明らかに壁もアッタデショ」
「そんなのこわせばいいじゃんか!なんでいなくなっちゃうの…!?」
さっき以上に、カービィがそう泣きわめく。
…レフィールたちだって、泣かせてしまうのは本望じゃない。二つの思いに板挟みになり、ほとほと困り果ててしまっていた。
「…僕はエアのところにいる。一人にしておくのも少し不安だから。けど…レフィールたちはさ、今の方がいいのなら残りなよ」
そんな中で今まで黙っていたフライが、レフィールたちへそう告げた。
その顔はようやくしがらみのようなものがなくなったからか、穏やかで優しい空気を纏っていた。
「でも…」
「僕やエアに申し訳ない、なんて思わないで。僕らが人形に戻るのは、あくまでもうそう決めて揺るがない意思があるからだから。まだ生きていたいのなら、寧ろ生きていてくれるほうが嬉しいよ」
「…」
「…レフィール、最初に会った時ももう会わないと思う、って言ってたよね」
それで結局、また会っちゃってるけどね。
カービィやリュカ、インフたちのいる所よりもさらに奥の方から、朗らかな声が聞こえる。
びっくりしてその場の全員がそちらを見れば、なんと人形となっていた皆がそこへいるのが見えた。
勿論、今の声の主であるネスも然り。
カービィはネスやシャドーと再会できて嬉しいのか、そちらへ一直線に飛びついて行くのが見えた。
「…デモ…」
「このことは怒ってないよ」
「ネスさん…」
「…だって、ずっと素知らぬ顔をされ続けてたんでしょ?僕らですら存在を聞いたことがなかったし…。こんな扱い、誰だって怒るよ」
「それもそうだよな。やったことはめちゃくちゃかもしれないが、それくらいまで怒っていたって考えると、逆に同情心が湧いてくるし」
…最後に決めるのは、いずれにしてもレフィールたちだよ。
そう穏やかに微笑むネスたち皆は、静かに決断する時を待っているように見えた。