「最近、良いことでもありましたか？」

あれから数日。
唐突に、そんなことをブタマスクたちから尋ねられた。

「な、近頃は表情がどこか柔らかいというか」
「そう」
「ポーキー様から褒められちゃったりしたんですか〜？もしかして」
「それはない」

そうあっさりと返せば、そうですかあ、とあたかも残念そうな素振りをとられる。

…そんなに褒められたい願望でも強いのか。

「おい、お前ら！しきかんどのの邪魔をしてはならないぞ！」
「ち、中佐！わかっております!」
「しきかんどのも申し訳ありません。この者たちなど無視して頂いて構いませんので、ご自身のお仕事をなさってください」

ほら、いくぞ！

そんなブタマスク中佐の一声で、ブタマスクたちは呆気なく連れて行かれたのだった。

…まあ、どのみちそろそろ昼休憩の時間だけれど。


「卵かけご飯…」
「栄養とか、すごく偏りません？それ」

最近では最早日課となりつつある、カミュとのお昼ごはん。

カミュはどうやら最近、キマけんにいることが多いらしい。
そこでは大体、キマイラたちの様子観察を手伝ったりしているという。

「私、戦えてもそれ自体が不向きなので…丁度いいんですよ」
「そっか」
「…はあ、流石にそれじゃあ体が心配になりますから、これ差しあげます」

不意にカミュがため息をついたと思うと、僕の器におひたしが入れられた。

「普通に喋ってくれないの？」
「…流石に沢山人もいるし、はばかるでしょうが…」