研究者は語る
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乙女の 歌声と 共に
その岩 風を 受けて 歌う時
勇者に 道を 示さん
なるほど。
『よく分からんな…』
リトの村にやってきて3日が経過した。
昨日一昨日で村や飛行訓練場とやらの祠、そして村の近くにある謎の台座も調べ終わり、残すところはあと神獣のみというところまで来た。
が、族長から興味深いものを教えてもらい、神獣よりも先にそちらを調べているところだ。
興味深いものというのは、この村に古くから伝わる歌と、村の外れにある兄弟岩というらしい五つの像についてである。
時々、風が吹くと岩の穴から音が鳴りはするのだが、まさかそれだけではあるまい。やはり"乙女の歌声"というのが鍵か?
『…………………。
…………。
…………~♪』
…………。
何っの反応もない。
生物学的な性別が女というだけでは乙女とは言えないということか。歌い損だな。
誰もいなかったから良かったものの、もしも誰かに聞かれていたのならば、私は喜んでそこの崖から飛び降りるぞ。
…冗談は置いておいて調査に戻るとしようか。
『勇者とは古の勇者のことだろうか…。現代で言えばリンクのことなんだろうが…』
もしかすると、村の外れの台座や世界中の祠にも言えることだが、動かすためにはもっと根本的な何かが足りないのではなかろうか。例えばそう、スイッチのような何かが…。
だがしかし、そんなものの存在は特に報告されていないし、文献にも無かった。調査範囲を広げないことには分からないが………。
……そういえば、回生の祠とかいう祠がある台地、あそこには身体能力の優れたシーカー族しか行かせていないが、我々も何とかして上り、もう一度詳しく調査するべきだろうか。
やるべきことが山積みだな。
「おや?今何か歌っていたのはもしかすると君かい?」
『気のせいだ忘れてくれ』
顎に手を当てうんうんと唸っていると、一迅の風とともにリーバル殿が舞い降りてきた。
そして、どこで聞いていたのかは知らないが、私の先程の醜態もばっちりと聞かれていたようだ。
掘り下げられるようだったら崖に向かって走り始めるところだが、興味がないのかリーバル殿は、私の調べる兄弟岩の上にひらりと飛び乗り見下ろしてくる。なんだこやつは低所恐怖症なのか?
「ま、いいけど。
で、これは何の調査?どう見ても遺物じゃないよねえ?」
『見たままで判断するのは関心しないぞリーバル殿。
この像も、これにまつわる歌も、どちらも古くから伝わっているものだと言うし、私の経験上こういったものは謎を解くと動き出すことが多い』
岩山の中だったり滝の裏側だったり、古代シーカー族はひねくれたところに祠を設置していることが多いからな。仕掛けを解かせて祠を出現させるということも、古代シーカー族ならやりかねないだろう。
「へえ、つまりは勘なんだ。
考古学の権威がそれって、それこそ関心しないけど?」
『
私のこれはただの推測ではなく、経験と知識に基づいた勘なのだから、これもれっきとした
それに、例えここで私の勘が外れたとしても、そこに祠がないということが分かるのだから、それだけでもそれは進歩と言えるだろう?
話をしながらもそのまま作業を続けていると、リーバル殿は「フン、君も物好きだねえ」と残して空へと飛び去った。
最後まで嫌味なやつだな。一体何をしに来たんだか。
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