研究者は語る
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私は王立遺物調査隊隊長 ザクロ。
今日は、ゼルダ姫がリトの村の遺物と神獣ヴァ・メドーの調査、調整を行うと仰っていたので、無理を言って私も連れてきてもらった。
仕方がないだろう。探究心には逆らえないのだから。
姫は快く迎えてくれたが、リンクとかいう近衛騎士含む城の者は、足手まといになる、危険だと言って止めてきた。それならば脱隊して私個人でリトへ行くと言ったら渋々だが承諾してくれたのだが…。それもそのはずだろう。
何故なら、私はこれでも考古学者であり、古代シーカー族の技術や遺物についての書物を解読したり、遺物を発掘したりなど、自分で言うのも何だが色々とこの国に貢献しているからである。
ちなみに、ゼルダ姫を考古学の道へ引きずり込んだのもこの私だ。
「仲良くしてくださいね、リンク、ザクロ」
「分かりました。でも俺はゼルダ姫を優先的に守りますからね」
『あぁ、そうしてくれ。私は自分の身は自分で守れる。だから姫のことは頼んだぞ』
「…分かりました」
という約束の元で出発し、カロク橋が修理中だからと回り道をして馬で走ること3日、やっとのことでリトの村へと辿り着いた。
リト族の族長含む多数が私達を出迎えてくれたが、リトの英傑とやらはいなさそうだ。見たことはないから人相は分からないが、英傑の衣をつけた者が見当たらない。全く、姫が遥々やって来られたと言うのに何と礼儀のなっていないやつだ。
しかし…やはりと言うか何と言うか、今までの無理が祟ったのだろう。リトの村に到着するなり姫は熱を出して寝込んでしまわれた。
半日ほどぶっ通しで馬を走らせれば着くのだが、姫がいらっしゃるからと何度か馬宿で休憩を挟みはしたけれど、今までの疲労がそんなことで取れるはずもなくまた、急激な気温の変化も今回の熱の原因と言えるだろう。
『姫、調査は私に任せてどうかお休みください。今リンクが精のつく物を作ってくれてますから』
「うぅ…すみませんザクロ…。迷惑をかけます」
「ホントだよ。ハイリア人のくせにそんな薄着でこんなところまで来るなんて、愚かしいにも程があるね」
『リンク貴様!姫に向かって何を!!…、……っと、これは失礼した。知り合いと間違えたようだ』
リンクかと思って拳を握りながら振り返れば、そこに見知った顔はなく、代わりに美しい瞳と羽をもつリト族が腕を組んで立っていた。
翡翠の瞳も紺の羽も美しく一瞬息を呑んでしまったが、そんなことは彼の首に巻かれた英傑の衣が目に入ったおかげでどこかにぶっ飛んでしまった。
こいつがあの礼儀知らずのリトの英傑かっ!!
先程の発言や、女性の、それも我らがゼルダ姫の寝所に許可なく立ち入ったことに激しく怒りを覚えたが、体調を崩された姫の前だからと思い留まった私を誰か褒めてくれ。
「ザクロ、彼はリト族の英傑で……」
「病人なんだから喋ってないでさっさと寝たらどうだい?
邪魔になるし、僕らはもう別のところに行くから」
「……気遣い感謝します…。
ザクロ、…仲良くしてくださいね」
『?ええ。
姫もこちらのことはお気になさらず、どうか一日でも早く良くなってくださいね』
姫が心配だったけれど入れ代わりでリンクが料理を持って入ってきたので、姫の布団をかけ直してからリトの英傑とともに外へ出た。
そしてやって来たのは発着場のような広場である。
風が吹き荒れていて寒い。
「で、君は?初めて見る顔だけど」
『私はザクロ。王立遺物調査隊の隊長をしている。この村にある祠と、出来れば神獣も見させてもらえれば嬉しい』
「ザクロ?……あぁ、考古学の権威…だっけ?聞いたことあるかも。
でも、隊とか言う割には君一人しかいないみたいだけど?」
『場所が場所だからな。大所帯で来られてもこちらが迷惑だろう?』
中央ハイラルやハテール地方などの調査で手一杯なため、言っては何だがこんな僻地にまで人を回す余裕はうちの隊にも国にもない。そもそもうちの隊は少数精鋭だから、大所帯になることなど確実にないのだが、戦えない彼らのことを考えると護衛が必要で、そうなればかなりの人数になってしまうだろう。
これらのことを考えると、やはり私一人の方が動きやすいのだが……如何せん王も姫も許してはくれない。
ああ口惜しい。
『そういえば、貴殿はリトの英傑だと言うことだが…』
「あぁそうだよ。僕はリーバル。
ところで君、さっきメドーも見たいとか言ってたけど、どうやってアレを見に行くつもり?」
『む……』
空に向かってのばされたリーバルとやらの手のその先を見上げると、同じ経路でぐるぐると飛び続ける鳥の姿をかたどった遺物が目に入った。
うーむ…そうだった。リトの神獣は空を飛んでいるのだったな。
『こちらには一週間ほど滞在させてもらう予定だから、方法については後で考えるさ』
「何、無計画なの?雑な奴だね、君も。
言っとくけど、僕は乗せてかないからね」
誰が貴様なんぞに頼むか。
私はあまり根に持つタイプではないが、こいつの第一印象や、言葉の節々に含まれた嫌味など諸々のおかげで、現在進行形でイライラしている。
外交問題に発展しないようにと私も大人の対応を心がけてはいるのだが……姫が仲良くしろと仰った意味がよく分かった。
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