明日になったら
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『ギラヒム様ー!』
どんっと背中に衝撃が走る。今日もこいつはうるさいね…。
「なんだいステア。ワタシはお前と違って忙しいんだよ」
『お願いがあるんですけど大丈夫です!ギラヒム様なら2秒とかからないです!』
ため息をつき作業を続ける。
こいつの言おうとしていることはわかる。もう聞き飽きたよ。
初めて会った時にも同じことを言っていた。
『私を殺してください』
ワタシをその目に捉えるや否や、娘はそう呟いた。
望み通り殺すことなんてわけないが、なんとなく鎖で繋がれたその娘に興味がわいた。
薄汚れてはいるが、白銀の髪に、満月を写し取ったかのような金色の瞳。まともな環境であったなら、きっとワタシの次の次くらいには美しくなるのではないか。
そんなことを思わせるほど美しい瞳は、闇以外の何者も映してはいなかった。
齢は…人間の年齢なんてわからないけれど、ガキってことには違いないだろう。
『私を、殺してください』
うんともすんとも言わないワタシに、聞こえなかったとでも思ったのだろうか、娘はもう一度唱えた。
「何故?」
『…死にたいからです』
ワタシの問いに一瞬だけ考える素振りを見せ、娘は答える。
答えになっていない。
が、くだらない身の上話を聞かされるよりかはいくらかマシか。同情を誘おうという目的がなく潔い。
『…ギラヒム様?』
「ん、あぁ、すまない」
ぼーっとしてしまっていたようだ。
『あ、そういえば、さっきボコブリン達が人間の群れを見つけたとか言ってましたよ』
「そういうことは先に言えといつも言っているだろう」
アイツらだけで太刀打ち出来るだろうか。軍勢は如何程か。場合によってはステアを向かわせる必要があるか。
「様子を見てきてくれないかい?苦戦していたなら助太刀してやってくれたまえ」
『いいですよ!何人か生かしておきますか?』
「いや、皆殺しで構わない」
良い拾い物をしたものだ。
剣の稽古をつけてやったらここまで使えるようになったのだから。最初は同じ種族だからと剣を振るうことに抵抗があるかと思ったが、どうやら杞憂だったようだ。
人間にはそれ相応の恨みがあったらしい。
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