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素直じゃない君の精一杯の愛情表現




今日も今日とて、へブラ地方には雪が降っていた。
風がないためはらはらと静かに舞っている。

雪って、儚くて切なくて、とても素敵なものだと思う。
だから、私は雪がすごく好きなんだ。

でも、

『へっくし!!』

ずっと見ていたい気持ちはあるけれど、私にはリト族のように暖かい羽毛はないから。
気休めにしかならないけれど、両腕を抱いて擦りながら焚き火を作ることにした。


「君らハイリア人ってホントに不便だよね」

かじかむ指先に息を吹きかけながら薪を集めていると、バサバサと大きな音を立ててリーバルさんが近くに降り立った。

そうですねと相槌をうちながら火打ち石を打つ。火花が散って枯れ草に火が着き、段々と大きくなってくるのを見届けた。

「ちょっと聞いてる?
わざわざ焚き火を作って暖をとらなきゃいけないんだから相当大変だろ?
ホント、リト族に生まれて良かったよ」

『ええ、私も羨ましく思います』

火にあたりながらそう答えれば、彼はフンと鼻を鳴らして隣に座った。

「何それ。僕嫌味言ってんだけど、それは分かってる?」

『さあ。
ただ、私も貴方がリト族で良かったなぁと、素直にそう思っていますよ』

「…あっそ」








しばしの沈黙。






火を見ていると過ぎ行く時間が一瞬のことのように感じる。
リーバルさんは大きな欠伸をしながら静かに火を見つめている。

『………、』

火にあたっている部分は暖かいけれど、やはりここは外。風が吹くと背中がもろにさらされ、無意識に身震いをしていた。

すると、それを隣のリーバルさんは見ていたらしく、大きな羽で包み込むように私の肩を抱き、そのまま胸に引き寄せた。

『…ふふ、ありがとうございます』

「別に。…ただ僕が寒かっただけだけど?」

優しさを優しさと取られたくないらしい。

背中を撫でる大きくてふわふわした彼の手が心地よい。
彼の性格を考えるときっとこれは無意識なんだろうと思うけれど。


妙な安心感と暖かさからくる睡魔に、抗う努力もせずに意識を手放した。










素直じゃない君の精一杯の愛情表現
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