熱の原因
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『ゲホッゴホッ…!!』
あー。
ホント人間やだ。弱い。
ゾーラ族に混じって、たかだか丸一日泳いでただけなのに風邪をひくなんて。
『ズズっ………うぅっ、さぶっ…』
ゾーラの里の宿は窓も壁もないから風が寒い。いつもならなんてことはないけれど、今だとさすがにこたえる。
足が出ない程度に布団を引き上げ中にくるまった。
おお、暖かい…。何なんだろうこの素材。下手したらリトの羽毛布団よりも暖かいんじゃない?気のせい?
『っくしょい!!』
「レイン?」
『げ…シド…』
絶対来ると思ったよこのヒトならさあ。
こんな弱った姿見せたくないし心配もかけたくないし、何より風邪をうつしたくない。
…から、絶対会いたくなかったんだけどなぁ…。
「大丈夫か?
オレが来たからにはもう安心だゾ!」
『あんがと。でも平気だから帰って…ゴホッ』
「でもまだレインの顔をオレは見れていない」
『わっ、やだやだ!やっゲホッゴホッ!!』
「すまない。
だがやっぱり平気そうには見えないゾ」
被っていた布団はシドによって引き剥がされ、暗闇に慣れた視界には光が眩しくて反射的に目を瞑ってしまう。
「ほら、やっぱり熱が高いじゃないか」
おでこに冷たい何かが当てられそっと目を開けると、視界いっぱいに赤が広がっていた。
なんだ、シドの手か。手が大きすぎて私のおでこに収まりきらなかったのか。
「…?何か気に障ったか?」
熱を持った体にひんやりとした手が気持ちいい。
でもやだって言ったのに。
『いや…と言うか、汗で汚いから触んない方がいいよ』
「汚くなんかないゾ。何故ならレインが元気になるためには、汗をかくことは必要なことだからな!
…それと、帰れだなんて言わないでくれ。
心配だからキミの側にいたいんだ。…駄目か?」
こてんと首を傾げられては断れないじゃないか。
こっちだってシドのことを心配して言っているのに。
それに、そんな風な言い方をされるとこっちだって誤解してしまう。
『………勝手にしなよ、もう。…ゲホッ』
逃げるように、真っ直ぐにこちらを見つめてくる金色の瞳から目をそらした。
シドは勝ち誇ったように笑い、私の寝るベッドの隣へと腰掛ける。
さりげなく私の片手も連れて行かれた。…手、大きいなぁ…。
「……レインには悪いが、こうしてキミの側にずっといられるのは嬉しいゾ!」
『………寝る』
あぁ、今のでまた熱が上がったよ…。
熱の原因