私は新しい朝を望んだ
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「別に平気だよ。あんなところから落ちたって痛くも痒くもないしね」
『そういう問題じゃないわよ??』
人の家(ベランダ)に勝手に上がり込んで勝手に怪我されても困るのは私だ。
まったく、どこの子かしら。
と思いつつ何故かお茶をご馳走している私がいる。何故だ私。
『それ飲み終わったら帰りなさいね?』
「ねえお菓子ないの?」
『ちょっと』
なんて図々しい子だ。
今まで会ったどんな子どもよりも……いや、前に1人この子に並ぶ図々しさを持ち合わせる子にあったような…。でもここ最近、子どもに関わった記憶はないんだけどな…。
「##NAME1##お姉さん、なんでそんなに退屈そうな顔してるの?」
『えっ』
隠していたちょっとお高級なお茶菓子を渋々出してあげていると、ふいに声をかけられる。
『私、そんな暇そうな顔してた?』
「うん。退屈過ぎて死にそ〜って感じ」
『それは…さも酷い顔をしてるのでしょうね…』
思わず苦笑してしまう。
まあ間違ってはいないからね。
でも、退屈と言うより少し不思議な話で、もしかしたら馬鹿げてると思われるかもしれないが、冒頭でも話したように、生活していてどうにも妙な既視感を感じるのだ。
それを伝えれば、少年は一瞬きょとんとした後、「脳が歳とったんじゃないの?」とケタケタと笑った。
失礼極まりないなこの子。
『ま、そうね。感覚的に毎日を繰り返しているみたいだから、なんと言うかいつもと違う新しいこと……新しい朝、って言うのかな…来て欲しいなとは思う』
「新しい、朝…?」
『うん。あ、お姉さんの世迷いごとだから、気にしないで』
「…##NAME1##お姉さんはさ、たとえ二度と僕と会えなくなったとしても、それでも新しい朝にきてほしい?」
『え……』
さっきと打って変わってとても真剣な眼差しを向けられ困惑が隠せない。
さっき初めて会ったばかりのはずなのに、あなたは何故そんなに悲しそうな顔をするの?
肯定も否定もできずにいると、また少年は年相応の笑顔を貼り付けた。
「なーんてねっ。時間が繰り返すなんて、そんな馬鹿なことあるわけないじゃん」
お茶、ご馳走様。
そう言ってその少年は、こちらを一切振り返ることなく窓から飛び出して行った。
あれ?そういえば私、いつあの子に名前を言ったっけ。
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