美味しく食べる君が好き
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美味しそうに物を食べる姿というのは本当に素敵だ。
別に、私が料理をする人間だからそんな風に見えるわけではない。だって、そもそも私は、美味しそうに食べる姿が見たくて料理を学び始めたのだから。
『ふふ、今日もいい食べっぷり』
今まで見た中で一番、美味しそうに食事をする彼のことが私は好きだ。
普段は何を考えているのか全然分からないけれど、食べている時だけは美味しいと思ってくれていることが分かるから、その時だけはあなたに少し近付けたような気がする。
名前は確か……リ……リなんだっけ?
「リンクですか?」
『そう!リンク様!』
「ふふ、やっぱりリンクを見ていたのですね」
『ひ、姫様…!
いつからそこにいらっしゃったんです!?』
「あなたが厨房から出て来た時ぐらいにはいましたよ」
『私よりも先じゃないですか!』
うぅ…なんと恥ずかしい。
姫様は鋭いから、私の気持ちなんてすでにバレているだろう。しかも独り言を呟いているのもバッチリ聞かれてしまったようだし。あああぁ穴があったら入りたい…。
「ふふ、##NAME1##、こちらへ」
『?』
熱い顔を両手で隠しながら悶えていると、姫様は私の手首を掴み、そのまま食堂への扉を開けた。
「あ、こんばんはゼルダ姫。姫も夕食ですか?」
「いいえ、私はもう食べ終わりましたから。
それよりリンク、紹介しますね。
彼女は宮廷料理人の##NAME1##です。彼女の父親はこの城の料理長なんですよ!二代揃って王宮の料理人だなんてすごいですよね!」
「は、はぁ……。
そうなんですか…彼女が…」
「ええ!私達と同い年なんですよ!ね、##NAME1##」
『は、はい…』
リンク様と会う心の準備が未だ出来ていなかったため、姫様の背に隠れながら出て来てしまった。
人一人に挨拶も出来ないなんて、16歳にもなって恥ずかしい…。
料理のことならたくさんお話出来るんだけれど、きっとそれだと二人がつまらないだろうし。
姫様を除いてこの場に気まずい雰囲気が流れる。
リンク様も困ってるし、そろそろ退出しようかしらと振り返って食堂の扉を見ていると、彼の「あっ…」という声が聞こえたので前を向き直した。
「違ってたらごめん。
もしかしてだけど、最近のメニューは君が?」
『最近?……あっ、そうですね。ここひと月ぐらいは私が担当してます』
いつもは父が考えていたのだけれど、自ら美味しい食材を育てたいとかなんとか言って、今あの人はハテノ村とかウオトリー村とか、色々なところを回っているらしい。
で、昔から父に色々と教わっていたからと、父の代わりに私がメニュー作成の担当になってしまったのだ。他は副料理長がやってくださっているが…。
それがどうかしたのだろうか。もしかして、何か不備があったりだとか…?
「そうなんですか?よく分かりましたね。
栄養バランスも彩りも整っていますし、私は全然気付きませんでした」
「デザートなんて今まで無かったんです。だから、初めて甘いものが出されたときにはすごく驚いて…もしかしたら厨房に女の子が入ったんじゃないかなって、そう思ったんです」
『確かに、父は「男に甘いものを出しても私に得がない」って言って、絶対男性にはデザートを作りませんでした』
「そうだったんですね…」
姫様は苦笑い気に呟いた。
父は、姫様のデザートには魂を込める!とか言っていたし、毎食デザートがついていたから気付かないのも無理はない。
『まだしばらくは私がメニュー担当ですから、もし食べたいものとかあれば言ってくださいね』
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