来世ライフ
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「##NAME1##ー、暇なら花壇に水あげてー」
『あいよー』
うーむ。軽く返事は返したものの、こんなに平和的な生活送ってていいのだろうか?
リンク達が女王奪還のために出立してから2週間が経ち、仕入れ不可のためにパンを焼くための材料は昨日で底をついたが、生命を維持するための水やら食料やらは備蓄とか、あとは森に取りに行ったりして割りとなんとかなっている。
しかも森に行ったときにも魔物には今のところ一度も会っていない。見かけてすらいない。
いいのかこんなに平和に暮らして。
統治雑過ぎだろ。城乗っ取れたらオッケーか。
「おい、そこの女」
『~♪』
「聞こえているだろう。花に水をやっているお前!」
『~♪…って俺?俺か!』
未だに女呼びは慣れねえな。まあ今時、女!なんて呼び方する奴なんざいないし慣れないのは当たり前だと思うが。
「他に誰がいる。
ここら辺にうまいくりーむぱん?とやらが売っている店があると聞いたんだが知らないか?」
『クリームパン?あ、お客さんデスカ。
たぶんそれうちのことだと思いますけど、今魔物の影響で材料が入らなくて作れないんです。
せっかく来ていただいたのにすみませんね』
赤い鎧の厳つい顔からは想像も出来ないまさかのくりーむぱん発言に苦笑しつつ謝罪する。
悪いなおっさん。クリームパンは俺のおやつ分しかないんだ。しかも昨日確保したやつだから売り物になんないし。
「いや……お前が謝ることではない。
それに、俺は命令されて買いに来ているだけだから、あってもなくてもさして問題はない。どうせ来なければいけなかった」
『命令って…。奥様とかですかね?』
だとしたら旦那共々なかなかワイルドだが。
「ただの上司だ」
『あ……大変ですね。
お客さんも魔物と戦うんでしょう?』
「いや、俺はその逆だ」
逆?攻めないで城を守る役目ってことか?だとしたら既に負け…いややめておこう。俺がとやかく言うことじゃない。
本人が頑張ってんなら、頑張りたいならいいんだよそれで。たぶん。
『あ、ちょっと待っててくださいねお客さん』
手ぶらで鬼上司の元に帰すのも悪いし、俺のおやつをくれてやろう。昨日の奴だけどちゃんと保存してたし品質には問題ない。そして何より、言わなきゃバレない。
『どうぞ、良ければ差し上げます』
「作れないと言っていなかったか?」
『ええ、新たには作れませんね。正真正銘ラストなんで。商品に出来なかったサイズですからお代は結構ですよ』
「そうか……恩にきる」
『でしたら、平和になったらまた買いに来てくださいね。クリームパン以外にも用意して待ってますんで』
「………ああ」
そしておっさんは去っていった。
おっさんを見送って家の中に入ろうとしたその瞬間、強い風とともに一瞬だけ足元に大きな影がさし、気付いてすぐに顔を上げたけれど尾っぽ?のようなものしか見えず、影の正体は分からなかった。鳥…だろうか?まさかドラゴンではあるまい。
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