時は繰り返す
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スノーヘッドなる雪山の麓にて剣を手に入れた私は、リンクに弓で援護をしてもらいながら着々と城壁周りの魔物達を殲滅させていった。
何故かリンクは始終ずっと笑顔のままだ。
魔物を切るたびにルピーを回収出来、あと少しでリンクに全てを返すことが出来ると考えると私も内心嬉しくてたまらないが、ずっと同じ笑顔を貼り付けられているとさすがに不気味である。
『…何か嬉しいことでもあったのか?』
「僕?
僕は今がとっても嬉しいよ?そういう風に見えた?」
『あぁ。何か拾ったのか?』
「ううん。やっぱ伊吹と旅するのは楽しいなって」
『…そうか』
少し、面食らってしまった。
今まで見た中で一番輝いた笑顔だったものだから。
「これからもずーっと一緒にいようね」
私が元の世界に帰るときも、帰った後も、彼は今と同じ笑顔でいてくれるだろうか。
リンクと出会って3日目の朝。月はもうかなり近くまで落ちてきていた。
私でも分かる。ただそこらの魔物を狩っていただけで、何も進展していない。今日の真夜中、噂の通り月はこの町に落ちるだろう。
私の隣で気持ち良さそうに寝息を立てるリンクに上着をかけ、起こさないようにそっとその場を離れた。
沼地の方までやってくると、土の中から狼のような魔物が現れ襲ってきた。
すかさず剣を取り応戦するも、動きが素早くなかなか切ることが出来ずにいた。
じりじりと段々沼地の方に追いやられているのを感じながらも懸命に剣を振るが、私はこの時気付いていなかった。
背後からもう一匹の狼が襲いかかって来ていただなんて。
『くッ……!!』
鋭い爪で背中を切り裂かれ、あまりの激痛に意識が飛びかけるも、根性で己を奮い立たせて奥へと歩を進めた。
リンクに被害が及ばぬよう。迷惑をかけぬよう。……自分の死体など見せぬよう。
「伊吹!!」
血の流し過ぎでついには立つことも出来なくなり、壁に寄りかかって一人で最期を迎えようとしていると、リンクが半泣きになりながら駆け寄ってきた。
服は返り血で濡れている。
普段は汚れないよううまく立ち回っているというのに、どうやら私を探すことに必死だったようだ。
「どうして!!
どうしてどうしてどうして!!!!
なんで一人でどっか行っちゃうのさ!!!」
『リ…ンク……ごめん…』
「謝って欲しいわけじゃない!!
どうして…!伊吹はいつも……!!」
『ごめ…ん………』
君が幸せそうに寝ていたから。
年相応の顔で、よだれを垂らしながら、とても幸せそうに。
初めて会った時には随分大人びた子どもだと思ったけど、そんな子どもらしい気の抜けた一面を見て、どうして邪魔が出来ようか。
目が霞む。
体に力が入らない。
……寒い。
瞼が落ちるその瞬間、リンクが寂しそうに微笑む姿が見えた。
「ずっと一緒にいるって言ったもんね?」
悲しい旋律が響いた。
時は繰り返す