駄目になる
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『リンク』
ゼルダを追って、始めて大地に降り立ってから2週間が過ぎようとしていた。
スカイロフトに顔を出すのは一週間振りくらいになるか。
「##NAME1##…」
二つ目の石板をはめ込み、一息ついて女神像を出ると、##NAME1##がすぐ目の前で仁王立ちして立っていた。
『なんでみんなに「僕が帰って来ていることは##NAME1##には内緒にして」なんて言ってるの』
「………」
##NAME1##は鬼のような形相で僕を睨んできたが、僕の表情を見て一瞬だけ悲しそうに眉を下げ、またすぐにキッと睨まれた。
正直、ゼルダを助け出すまでは会いたくなかった。
##NAME1##の顔を見てしまうと僕は駄目なんだ。
抱きしめたくて、
愛を囁きたくて、
ずっと一緒にいたいという気持ちが溢れてくるから、ゼルダを探すのを辞めてしまいたくなる。
でもゼルダは大切な友達だし、それは嫌だったから##NAME1##に会わないようにしていたのに。
「僕、もう辞めたいな…。
こんな剣なんて捨てて、君と一緒にい――ッだぁ!!!」
頬に衝撃を受け、その勢いで女神像に後頭部を打ち付けた。痛い。
座り込んだまま見上げると、##NAME1##が拳を握って冷たい目で見下ろしている。
『何言ってんの?
剣を握らなければゼルダを助けられないでしょ?』
「でも、だって!…剣を握ったままだと君のことを抱きしめられない…!」
##NAME1##は小さなため息をつくと、少しパニクる僕と目線を合わせるようにしゃがみ込み、そして僕の背中に両手を回して抱きしめた。
「えっ、な……##NAME1##…?」
『代わりに私があんたを抱きしめてあげる。
私はあんたみたいに剣を振れないし、勇気もないからゼルダを助けになんかいけないけど…私にはこれくらいしか出来ないけど……』
##NAME1##の声は震えていた。
…彼女が泣くのなんか初めて見た。小さい頃、バド達に馬鹿にされても、大人にロフトバードを手放すよう言われても泣かなかったのに。
親友が突然いなくなっての不安感と、何も出来ない無力感とに挟まれて神経が擦り減ってしまったんだろうか。可哀想に。
『リンクしか頼れないの…!
私に出来ることなら何でもするから……だから…お願い…。…………ゼルダを助けて……!!』
大嫌いな僕相手にここまでするぐらいだから、覚悟は相当なものだろう。
僕は力強く頷き、##NAME1##を抱きしめ返した。
「必ず助けるよ。そして2人で無事に帰って来る。
だからさ、その時には笑顔でゼルダを迎えられるよう、絶対戻るって信じて気楽に待ってて?
そんなに気を張り詰め過ぎないでよ」
僕の言葉に、##NAME1##は声を大にして泣いた。
「じゃあ、行ってくるね」
##NAME1##がようやく落ち着いた頃、再度気楽に待つよう告げて、僕は出発することにした。
ゆっくり休むよう言ったのに彼女は僕の見送りに来てくれて、僕のやる気はぐんと上がった。
『ありがとう』
僕が空へと飛び降りる瞬間、小さくそう呟く声が聞こえた。
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