アネモネ
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1年目。
寂しかったが、すぐに帰って来るだろうと言い聞かせ、私は笑顔で待っていた。
2年目。
きっとこのコキリの森とは違う、もっと広い世界を駆けずり回っているのだろう。運命ならば仕方ないかと私はため息をついた。
3年目。
さすがに遅い。もしかしたら、何かあったんじゃないか。
リンクのことが心配で心配で、私は毎日泣いて過ごした。
4年目。
寂しい。泣いても仕方ないとは分かっているけれど、涙が止まらない。サリアとミドの慰めがさらに寂しさを際立たせる。
5年目。
デクの樹サマのいない、リンクのいないこの森で、私は着々と大人の階段を上っていた。自分がコキリ族じゃないことに最初はびっくりしたけれど、それでもみんなは仲良くしてくれたから、今はそんなに寂しくない。
6年目。
また魔物が増えた。6年前、リンクが出て行ってすぐくらいから現れ始め、今ではコキリの森の至るところに魔物の姿があった。
みんなを守るため、私はデクの棒を振り回すことを覚えた。
7年目。
リンクが帰って来た。私のように大人になって。
同じぐらいだった身長は、今では彼の方がやや高くなっていて、体格も大分逞しくなっていた。
忙しなく走り回っていた彼は、私を見つけるなり笑顔で「ただいま##NAME1##!」なんて走り寄ってくるものだから、私は持っていたデクの棒を思いっきりリンクの顔面目掛けてぶん投げてやった。
パコーンという軽快な音…ではなく、ズゴッという鈍い音と共に彼は地に沈んだ。
「え?えっ?##NAME1##だよ…ね?君」
『ええ、私は紛れもなく##NAME1##よ。
お久しぶりね、リンク』
起き上がる彼の足元に転がったデクの棒を拾い上げ、改めて構え直す。
そんな私を前にして、リンクは赤くなった額を押さえながらじりじりと後ずさった。
「えっ、えっ、なんで怒ってるの?僕君に何かした?」
『何もしてないわ。
だから怒ってんの、よッ!!』
――ブウォン
渾身のスイングを避けられ体勢を崩したところを、背後に回ったリンクに取り押さえられてしまった。
「ねぇ##NAME1##、教えてよ。
なんでそんなに怒ってるのさ」
さっきからずっと…なんで、なんでって…。
胸がムカムカする。気持ちが昂る。
握りしめた拳はプルプルと震え、リンクが去ったあの日からずっと我慢していた涙は、次々と溢れ出してきた。
『…っ!馬鹿!馬鹿!大馬鹿リンク!
なんで分かんないのよ!なんで自分で考えようとしないのよ!!馬鹿!!!』
泣きながら怒る私を前にしてリンクは戸惑っていた。
「ご、ごめんね##NAME1##。僕、馬鹿だから…」
『7年間も何やってたのよ!連絡一つぐらい寄越しなさいよ馬鹿!心配したじゃない!
うわぁーん!!』
リンクは、へたり込んで子どものように泣き叫ぶ私をおずおずと抱き寄せ、泣き止むまで頭を撫でていてくれた。
それがまた、なんというか安心出来て、それはそれで涙が出る。
『…うぐっ…ひっく……おかえり…』
「うん…ただいま、##NAME1##」
森の聖域に行くと言って消えてしまったサリアを助けるため、リンクはまたすぐに旅立ってしまった。
リンクは「一緒に来る?」なんて言ってくれたけれど、私にはリンクがいない間のコキリの森を守るという役目があるので断った。
その代わりと言ってはなんだけど、使命を終えて無事に帰ってくると信じて健気に待つと心に誓った。
私はもう、泣かないよ。
アネモネ