不公平
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『ふわ…ぁ……』
おはよう朝。今日もいい天気だね。
眠たい目を擦りながらパジャマを脱いで、クローゼットから服を取り出す。
今日はゼルダと空の散歩に行く予定だからね、うんと可愛くしないと。
『うーん…どれがいいだろなー…』
「##NAME1##なら何でも似合うけど、この間着てた水色のワンピースとかどうかな」
『あぁ、それいいね。じゃあそれに…』
あれ?
なんか独り言に返事が返ってきたような…。
………。
「どうしたの?着ないの?」
バッと勢い良く振り返って声の主を探すと、窓の外からキョトンとした目でこちらを見るリンクと目が合った。
「ゼルダと散歩に行くんでしょ?遅刻しちゃ―いたッ!」
『死ねッ!堂々と覗いてんな!』
机の上にあった木彫りのロフトバードをリンクの顔面に投げつけ窓を閉めた。
この部屋二階なのによく覗けたなとか思ったけど、まぁ目的のためならリンクはやるなと一人納得し、リンクが選んだものとは別の、若草色のワンピースを着た。
『うーん!やっぱいい天気ー!』
「あれ、水色じゃないの?それも似合うけど」
『ゼルダもう来てるかなぁ…』
「ねぇ、無視しないで」
リンクを無視して待ち合わせ場所である女神像まで走ると、すでにゼルダは到着していて、私を見つけるや否や太陽みたいな笑顔で手を振ってくれた。
天使かよ。
「おはよう##NAME1##!…って、あら?リンクも来たのね」
『おはよ。
勝手について来たの。ごめんね、目障りだったら今すぐ消すけど』
「消すってひどいな。
僕はこんなにも君のことが大好きで大好きで堪らないのに、君は僕のこと嫌いだなんて、そんなの不公平だ!ずるい!
僕が今まで君にあげたぐらいの愛情は返せ!」
『そんなに私が不公平だってんならあんたも私を嫌えばいいじゃん?
ほら、すごい!スピード解決!』
大袈裟に傷付いたフリをするリンクをゼルダと一緒に笑い、私達は飛び降りた。
ゼルダがロフトバードを呼び、次いでリンクが呼び、間をあけて私も指笛を吹く。
鮮やかな青、赤に続いて、私の真っ黒な相棒は私の下に滑り込むように降りてきた。
相も変わらず美しい濡羽色だこと。出会った時から変わらないその綺麗な色に、体勢を整えながらこの子と出会った時のことを思い出した。
この子と友達になってすぐは色々と大変だった。
バドとか取り巻き共には、死の象徴だとか才能がないからそんな奴が来たんだとか色々言われて、ついうっかりスカイロフトから突き落としかけた。あいつらはこれで面と向かって言ってくることはなくなったけれど、もっと大変だったのは大人達だった。
不吉だから、不安を煽るからと取り上げられそうになり、私が本気で家出を考え出した頃、リンクとゼルダは一緒になってこの子を守ってくれた。
や、今思えば私の行動力もすごいけどね?
でも、正直すごく嬉しかった。
あの時から私はこの二人が大好きだ。
リンクのことはもちろん、そういう意味で。
ゼルダはそのことを知っていて応援していてくれているけれど、私はしばらくはリンクに言わない気でいる。
だって、私は彼が私を好いてくれるずっと前から好きだったというのに、彼だけこんなに片想い(だと思っている)期間が短いだなんて、そんなの不公平じゃないか。
いつか、私の気が済んだ時には不意打ちで好きだと伝えてみよう。
どんな反応をしてくれるのか、今から楽しみだ。
私は並んで飛ぶ二人を追い越した。
不公平