君の味方
「大丈夫。君は正しいよ」
仕事の愚痴を吐きながら泣き出す君に、僕は優しく囁いた。
背中をさすって、頭を撫でて、抱きしめて。
「君は何も悪くない。僕だけは君の味方だからね」
ただただ優しい言葉を送り続ける。
『行きたくない。家にいたい』
「今日も君は可愛いよ。素敵だ。
家に閉じこもっているだなんてもったいないよ」
毎朝こうして君を送り出しても、帰ってくるなり途端に泣き出して。
またいつものように慰めれば、
『あなたがいないと生きていけない…』
だなんて。
嬉しいけれど、それは今欲しい言葉じゃない。
だってこんなの、嘘だ。
同僚、家族、友達も。
彼女の大切なもの全てが周りから消え、頼れるものが僕しかいなくなるまで。
僕は君に、小さな優しさを与え続ける。
君が僕だけを求められるように。
君の味方