第21幕
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雨の中、ただひたすらに走っていた。
マントを羽織っているから寒くはないが、サンダルは既にずぶ濡れで、それだけがただただ不愉快。
…………いや、それだけじゃないな。
「本当に申し訳ないんだが…」
と苦笑い気味にミナトに火影邸へと招集され、そして言い渡された任務。
里を抜けた忍、つまり抜け忍の行方を追い捕える。それか他里に渡らぬよう処理をすること。簡単に言えばそんな感じの任務だった。
第3次忍界大戦はとうに終結し、九尾襲来後の里の復興も終え、これ以上ないほどの平和が火の国に訪れたと言っても過言ではないのに。このタイミングで里を抜けるなんて、その人もしや馬鹿なんじゃない??
のっぴきならない事情があるのかもしれないけれど、私から言わせれば馬鹿。その一言に尽きる。
別に任務の内容には文句はそんなにない。あるにはあるけど。
ただ、タイミング?って言うのかな。びっくりするほど腹立たしいんだけども。
何故ならそう。
今日私、オフだから。
休日なの休日。ホリデーなのよ。
ナルトと一緒に休日を謳歌していたわけ。ゴロゴロしてさ、服も着替えずにさ。
なんで私??
よりによって、なんで私???
いや、まあ他に暇そうな上忍がいなかったかららしいんだけど…。…いや暇ってなんだよ暇じゃねーよ私は休日なんだよ馬鹿野郎。
とまあ、そんなことがあったから不愉快ここに極まれりってわけなのだ。
『イチヤさん!先走らないで!』
「ちっ…」
私の指示に舌打ちで返事をするこの
もう一度言おうか。中忍なんだよこの人。
自分よりも年下の子どもが部隊長を務めているのが気に入らないのだそうだ。
下忍とかアカデミー生が私を見た目で判断してくるならまだしもだけれど、それなりに認められているであろう中忍が外見しか見てないってどうなの?ん??
上忍ぞ?我上忍ぞ?君より実力を認められているが故の肩書きぞ??
まあチーム組んだ時からめっっっちゃめちゃ嫌な顔してるとは思ったよ。なんならミナトに食ってかかっとった。「俺達に子守りをさせる気ですか!?」なーんて言っててさ、血気盛んすぎてびっくりしたわ。
「はぁ…うっざいなあのオス…」
そして私の隣でぼそっと呟くこの可愛い女の子は
『二人とも、雨隠れの里のことはどのくらい知ってる?』
「年上には敬語使えよ」
「そうですね…一年中雨が降っているってことと、大国に挟まれてるからしばしば戦場にされてるってことぐらいですかね」
『そうそう。だから里の人達も警戒心がなかなかに強いから気をつけてほしいのと、可哀想だからなるだけ人里での戦闘は避けて欲しい』
KYボーイことイチヤは無視でいく。ほんでミナトには詳細まで報告させてもらうかな。
さて、そんで今回里抜けした忍だけれど。
"まなびや ガク"という名の上忍らしい。上忍になったのは最近らしいけど。
特に一族特有の術とか何かを持っているってわけではないが、その名前の通りアカデミーで習うような基本の術とかが得意で、それを応用して戦うというような戦闘スタイルらしい。舐めてかかると痛い目に合う系のタイプだね。
そんな彼が何故里を抜けたのかは分からないが、出来るだけ殺したくはないので、例え戦闘になったとしても迅速に終わらせて捕縛したい。
そして本音言えばとっとと家に帰ってナルトとイチャラブしたい。
「なんか寒くなってきたな…」
ガクを追ううちに、雨隠れの里の中でもわりと辺境の地に辿り着いた。
日が沈み辺りも暗くなってきたから仕方ないとは思うし気持ちはよく分かるが、追跡中だというのにイチヤが松明に火を灯そうとするものだから5度見してしまった。夜の任務で光源なんて作ったら、周りに居場所を知らせてるも同然じゃないか。
まぁ、すかさずフタバちゃんにぶん殴られていたので私からは何も言うまい。いいぞもっとやれ。
『水遁 雨乞い』
雨乞いの術を使用すると、何故既に雨が降っているのにそんな無駄なことをするのかと突っかかられた。
オビト奪還時点では雨に触れたチャクラの感知しかできなかったが、さらに大幅な改良をし、私自身の気配をほぼほぼ消すことが出来るようになったのだ。まぁ、やはり100%とまではいかず、近づき過ぎれば察知されるし姿が消えるわけでもないから痕跡だって残るしで、全然万能ではないのだけれど。
軽く2人に術の説明をし、察知したおそらくガクの気配の方向を伝える。ある程度の距離まで近づけているため、2人と私で分かれ、挟み撃ちをすることにした。
2人の気配は相手にダダ漏れとなるので、先回りした私の元へと誘導するように追い立ててもらえれば自ずと挟み撃ちになるはず。上手くいかなかったらその時はその時でまた何か考えよう。
知らない忍だから相手の力量もわからないし、追い立てるだけでやむを得ない場合以外交戦は避けるようにと念を押す。
『じゃあ私は先回りをするから、フタバちゃん、イチヤさんをよろしくね』
フタバちゃんには心配はしていないが、イチヤの方は如何せん私が離れるため手綱を握る人もいなくなるしでとても、それはそれはとても心配で仕方がない。
とは言え、さっきからなかなかぶっ飛んだ行動をする彼だが、何度でも言うが中忍なのだ。というわけで、彼を中忍だと認めた人達を、そして本人を、少しは信用してみようじゃないか。誰がGOサイン出したのかは知らないが、私なら彼を中忍にはしないがな。
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