第20幕
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「じゃあ、行ってくるわね?」
楽しんで来てねと手を振り見送った。
ナルトの子守りで忙しく、ここ最近気分転換に外出すらも出来ていなかったクシナは、休暇をとったミナトと共に2泊3日の温泉旅行へと出発した。
本当は私とナルトも誘われていたが、夫婦水入らずの時間も大切だろうと、ナルトの子守りは私がするからとほぼ無理矢理に引き受けさせてもらったのだ。
いつもお世話になっているから、これくらいの恩返しはしたい。
ナルトももう2歳になり乳離れした今だからこそできることだしね。
『さて…』
昼ごはんはクシナが作っておいてくれたものがあるため食べ物には困らない。
部屋中を縦横無尽に駆け回るナルトを捕まえ食卓へとつかせた。
「やだ。これきらい」
『…………ナルトはナルトだなやっぱり』
ナルトが遠くへ押しのけたのは綺麗に小鉢に盛り付けられたサラダだ。
いつもならクシナがキレるところだが、私はそこまで子育てへの熱量がないので怒らない。ほら、じーちゃんばーちゃんが孫には甘いのと同じ感じ。
『うわ〜!美味し〜!
こんなに美味しいのに、ナルトが食べないなら私がもらっちゃおうかなぁ?いや〜嬉しいな〜!ありがたいね〜!』
とは言え、苦手な物全てを遠ざけるのもどうなのって感じなのでやれることはやる。
自分のサラダを頬張り大袈裟に感動を表現してみると、ナルトは私の顔とサラダを交互に見比べた後、
「………だめ!あげない!」
と両腕で覆い隠すようにサラダを自分の方へ引き寄せた。よしよし。
ナルトは自分専用のちっちゃいフォークでレタスをぶっ刺すと、一口でぱくりと頬張りそして
「おいしくない…」
とぼそりと呟いた。
いくら私が美味しそうに食べていたって流石に味までは変わらんな…。
『わあー!!すごい!!!!ナルトさすがお兄ちゃんだ!!!かーっこい〜!!』
まあ、気乗りはしていなくてもちゃんと食べたのだから盛大に褒めてあげるけどね。
拍手をしつつ、細かい氷片を紙吹雪の如くナルトの頭上から散らせてあげた。目をキラキラさせて喜んでおり、野菜のまずさはどこへやら。
ちっちゃい頃から好きだったんだよなー、これ。というか氷の造形全般。昔、リビングで新術の開発に勤しんでいた時に、手持ち無沙汰だったものだからエル●の真似事をしてたらめっちゃ良い反応を示してくれたものだからよく覚えてる。
「なるとかっこい?」
『うん、かっこいいよ〜』
どちらかと言うと"可愛い"だけど。目に入れても痛くないとはまさにこのこと。
調子に乗ってもりもりと残りの野菜を口に放り込んでいく様はさながらハムスター。非常に可愛い。我が弟ながら兵器並の可愛さ。
食事を終えた後はしばらく家で遊んでいたが、今日は雲一つない快晴で、ずっと家に引きこもっているのも勿体ないからと公園に行くことにした。
とりあえず昼の食器は水につけておいて、ナルトを汚れてもいい服に着替えさせる。そしてクシナのバスケットにナルトのおもちゃやら飲み物など必要な物を準備し、意気揚々と公園へ向かった。
「もーいっかい!」
『いやどんだけ滑り台好きなのさ…』
もう何度目かもわからないほど何度も滑り台を滑った。ただの坂ではなく斜面がローラーになっているタイプのため、ナルト1人では危ないからと私の膝に乗せてナルトの気の向くままただひたすらに。楽しいのはわかるけれども…。
ブランコだったり鉄棒だったり砂場遊びだったり。
本当にただひたすらに遊具を満喫しているのだが、いや〜なんと言ってもね、ナルトの要求が激しいのなんの。
ブランコとかは一緒にやったけど、めっちゃ高く漕いでほしいとか鉄棒だったら大車輪やらせてくれとか。もうちょっと大きくなってから1人でやれ!ってね。まぁ安全のためにも見ているだけでなく一緒に遊ばざるを得ないから仕方ない。今ナルトに1人でやらせたら間違いなく死ぬし、言って聞く子でもないのだから。
「ねーちゃ、おなかぐーぐー」
まああんだけ遊んだらな。
よく飽きもせずにここまで遊び尽くすことができたな。
日の高いうちから遊んでいたというのに、公園はもう夕焼けに照らされつつあった。
ちらほらいた子ども達も、親がお迎えに来てどんどん帰っていった。
『テウチさん、味噌チャーシュー大盛りで。あと取り皿ください』
夜ご飯はナルトの強い希望で一楽のラーメンとなった。
私も好きだからいいけど。
にしても…ナルトはこんなにちっさい時から一楽のラーメンの虜になっていたのね…。よくラーメンばっか食べて体を壊さなかったよね、原作。
『それじゃあおやすみ、ナルト』
ご飯から帰ってくるとナルトがうとうとしだしたため、一緒にお風呂に入り、そして半分以上寝ているナルトをベッドへと運んだ。
もちろん2歳のナルトにはまだ自分の部屋がないからミナトとクシナのベッドにだが。
いつもはもっと起きていようと頑張っているけれど、今日はハッスルし過ぎて疲れたのか無抵抗で寝てくれたため、手がかからなくて楽だったな。
念の為少しだけナルトのいる部屋のドアを開けておき、私はまたリビングのソファへと戻った。
見たいテレビがあったから間に合って良かった。
毎週金曜の夜9時からやってる金曜●ードショー的なやつなんだけど、今日は何やらホラーチックな映画らしくちょっと気になっていたんだよね。でもナルトが起きてると見られないし諦めてたんだけど、無事に寝てくれてラッキーラッキー。
『…………つっっっっっまんな…なんだこれ』
そのB級どころかF級ホラー映画の名は"屍人の里"。
まあ期待はしてなかったよ気にはなってたけれど。CMで見た感じだと、何の取り柄もない主人公が生ける屍こと屍人が大発生している里に迷い込んでしまい、無事に脱出して恋人との再会を目指すために奔走する…みたいな感じだったのに、いざ見てみると、主人公は恐らく普通に忍が演じているのだろうね、所々でアクロバティックな動きをするんだよ。火事場の馬鹿力とか言われたらそれまでだけど、もうそういうレベルじゃない。襲い来る屍人から逃れるためとはいえ、一般人は屋根の上に飛び乗ったり包丁や箸をそんなクナイのように投げたりしないから。何の取り柄もなくないだろ舐めてんのか、と本気で突っ込んでしまった。
律儀に最後まで見るんじゃなかった。2時間半無駄にしたぜちくしょう。
「ねーちゃ…」
リビングの電気を消そうとスイッチに手をかけると、隣の部屋からか細い声が聞こえた。
寝言かもしれないので静かにそっとドアの隙間から覗く。
あダメだ完全に起きてるわ。
起き上がって目を擦り、そしてゆっくりと私の方へと視線を向けた。
「かーちゃととーちゃ…いない…」
今気づいたのか。嘘だろ。
うるっと大きな目に涙を浮かべ、マジ泣き5秒前とでも言わんばかり。
今までで1番素早い動きをしたと思う。
リビングの電気を消し、すかさずナルトのいる布団の中へと潜り込んだ。
『かーちゃととーちゃはいないけどねーちゃがいるよん』
「ねーちゃ違う。やだ」
『あー!じゃあもう知らなーい!私は1人で寝るもんねー!』
失礼しちゃうよ全く。
ベッドから出るフリをすると、服の裾をギュッと掴まれ止められる。
1人では寝付けないくせに我儘を言うな!…なんて2歳児に言っても分かるわけはないので、とりあえずそのぷにぷにのほっぺを北●百●拳の如くつつきまくった。
『大丈夫。怖い夢見てもねーちゃは強いからぶっ倒してあげるからね』
「うん…」
目を瞑るナルトのお腹をトントンする。
お腹の中にいる頃の母親の心臓の鼓動に似てるから安心するんだっけ?たしかそんなんだった気がするけど、まあたしかに安心はするよね。私もそうだったわ。
昔、小学校入るまでは母さんと一緒に寝てたから母さんがやってくれてたな…。あでも母さんの真似をした兄さんのは痛くて泣いて拒否った記憶がある。
うとうとしていたナルトだったが、やがてスースーという小さな寝息が聞こえてきたため、ほぼゼロ距離だったナルトから身を離し仰向けになった。
ナルトは昔から寝相が悪く、いつもミナトがナルトの犠牲になっていたため、できればリビングのソファとかでナルトの様子を見つつ寝ようかなとか思っていたのだが、トントンしている間にいつの間にかがっちり服を掴まれ身動きが取れなくなっていた。
無理矢理引き離すのはもちろん、飛雷神で逃げるのも姉としてどうなの?って感じなので大人しく諦めるけどもさ。
腹か顔に1発入れられることを覚悟し、観念して目を瞑った。
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