第19幕
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「いや〜、助かったぜ村長さん!」
行灯に照らされた薄暗い座敷で、私たちは村長から持て成しを受けていた。と言ってもちょっとした食事と薄めのお茶だけれど。
「いえいえこちらこそ、お出迎えが遅くなり大変申し訳ございませぬ」
『はは…お気になさらず』
先程村に踏み入った直後、あっという間に農具を抱えた村人達に3人揃って包囲されてしまったのだ。余所者を警戒する気持ちは分からなくもないけど…。
両手を上げて敵意が無いことを訴えつつ、予め決めておいた設定をオビトがぺらぺらと語る間に村長がやってきてくれて、「困る者がいたら手を取り助け合ってこそ我々も救われるのではないじゃろうか。それに、子どもは世の宝じゃよ」とか何とか言って村人をたしなめてくれたのだ。
ほんと村長が来るのがもっと遅かったら私達は追い返されていたね。
村長から詳しい話を教えてもらった後、私達はそれぞれ村人の手伝いという名目で情報収集へと向かった。
もちろん私は子ども達とひたすら遊んでるだけなんだけど。
「前に来た子は一緒に遊んでくれないから好きじゃないけど、ミノリちゃんは面白いから好きだなぁ」
なんて、木の人形の人形遊びに付き合っていると、さりげなく興味深い情報を得た。
その子の話によると、私達が来る前にもこの村に来た子がいるのだと。しかも、親はおらず1人で村近くの川辺で倒れているのを拾われてやってきたのだそうだ。拾ってきたのは村長だと言うが、その後は本人の希望で、大人の手を借りつつ1人で暮らしているらしい。
なんとなく怪しいけれど、その子からはそれ以上の情報を得ることが出来なかったため、他の子と遊びつつ情報を得ていくことにした。
「あいつ、いなくなった奴らとはすごい仲良かったんだよな」
『いなくなった子…達?』
神隠しにあった4人の女児と2人の男児。いなくなる直前は、必ずと言っていいほど例の子と一緒にいるところが目撃されているらしい。
その子のところへ行って情報収集しようにも、遊びたがりの子どもらに阻まれ身動きが取れず、結局日が沈み解散となるまで離してもらえなかった。
『………って感じかな。
とりあえず、明日はその噂の子のところに行ってみようかなって』
村長の家の一室を借り、今日の成果を報告し合う。
ただ遊んでただけじゃねーんだな、ってオビトに軽口を叩かれたのでとりあえず1発はたいておいた。
2人が得た情報にもその子は登場してきた。
年のわりにあまり笑顔も見せないからと大人の間では結構不気味がられているとかで、お世話をしているのも村長と、その子のお隣さんのお姉さんぐらいなのだとか。
そのお姉さんも、昔に亡くした弟の面影を重ねているからその子に優しくしているのではないかと村人は推測しているらしいが、実際は知らんとさ。
とりあえず明日の方向性としては、私はその噂の少年、ミヤビちゃんはその隣人のお姉さん、オビトは村のじじばばにそれぞれ話を聞きに行くこととなった。
.