第16幕
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『おお、成功した…』
オビトの木遁はそのまま置いてきてしまったが、とりあえず里よりもずっと遠くの山の中へと氷漬けの九尾ごと飛雷神で飛ぶのは成功したようだ。
さて、そんで九尾を封印するにはどうしようか。
ミナトに指示を仰ごうにもまだ到着していないようだ。
『うん?』
キョロキョロと辺りを見渡す私の視界の端で、氷塊にピシリと小さなヒビが入り、そのまま砕け散った。と同時に私に向かって大きな爪が振り下ろされる。
あぁ、油断したな…。
『……あれ?』
振り下ろされたかに思えたその爪は私の前でピタリと止まっている。その大きな爪の隙間からは、明らかに困惑を浮かべた九尾の目が見えた。
九尾はそのまま里の方へとくるりと向きを変える。
『…?』
今のは確実に私を殺れただろうに。
何故途中で攻撃を止めたのかは気になるけれど、九尾にチャクラの鎖が絡まるのが見えたため考えるのを止めた。時間が無い。
飛雷神を使ってミナトの元へと飛ぶ。
案の定九尾の鎖は満身創痍のクシナの背中へと繋がっていた。
「丁度…良かった…。
ミノリ…ミナトと……ナルトをお願いね……。
2人とも…………今まで…色々ありがとう…」
今すぐに死んでもおかしくないほど弱々しく微笑むクシナに、心臓がきゅっと締め付けられるような感覚を覚えた。こんなクシナは見てられないし見たくない。
『受け付けないよ、そんな言葉』
跪くクシナの両手に私の手を重ね、ありったけのチャクラを注ぎ込む。
「何を…?!」
黒い光が私とクシナを包み込む。驚いたミナトに肩を掴まれたが、絶対にこの手は離さない。
昔、NARUTOをリアタイで見ていた時に考えたことがある。なんで尾獣を抜いたら人柱力は死んでしまうのか。
人柱力となり一時的に莫大なチャクラを得ることで、剥がした時の急なチャクラの喪失に体が耐えられないから?
自分のチャクラと尾獣のチャクラが癒着して、尾獣を抜くと同時に自分のチャクラまで芋づる式に抜かれてしまうから?
私の頭ではそのくらいしか思いつかなかったし、ミナトも誰も、私が正式に人柱力ではないからか教えてくれなかったからわからない。もしかしたらまだ解明されてないのかもしれないが。
「ミノリ…!?そんなこと、したらっ…!あんたまで!」
『だって…!まだ親孝行してない…!!』
どれだけ注げばいいのかはわからないけれど、大丈夫、私にはまだ余裕がある。
黒い光の中でも顔に生気が戻るのが見てわかった。どのくらいの時間そうしていたのかはわからないが、ある時を境にして、クシナはプツンと糸が切れたかのように地面へと倒れ込む。
もう、大丈夫かな?
不思議と、クシナが気を失ったというのにそう思った。
チャクラを注ぐのを止めた瞬間黒い光は四散して消えた。
クシナが気を失ったためにチャクラの鎖から解放された九尾はミナトが口寄せしたがま親分によって押さえられている。
「ミノリ…!君はいったい…」
『九尾を封印しましょう』
ここが戦場じゃなければさっきのことを問い詰められていただろう。まあ、根拠があってやったことではないから何を聞かれてもちゃんとは答えられないんだけど。
それより今後のことを考えた方が有意義だろうということで、結果的にミナトをガン無視したことにはなったけれど九尾の封印を提案してみる。
『母さんにバレたら怒られそうだけど。
九尾のチャクラを半々に分けて、半分はナルトに封印しましょう』
屍鬼封尽では物理的に全部は封印できないって言ってたし、きっと八卦封印でも難しいのではないか。それに、生まれたばかりの赤ちゃんに九尾のチャクラ全ては負担が大きいだろう。
ミナトは決死の覚悟を決めた顔で頷く。
ん?いや待てちょっと誤解しているのでは??
『あ、いやあの、もう半分は私に封印ってできます??』
別に私は本当に人柱力だってわけじゃないし、理論的にはできるのではなかろうか。というか、最初からそのつもりでいたからできないと困る。
「……そうか…!」
あ、これこの顔は私がフェイクの人柱力だってこと忘れてたな??
ミナトの表情から察するに、なんだかいけそうな気がする。
それならば封印の儀式の準備をするためにもなんとか時間を稼がねば。
ちらりとがま親分を見上げると、切羽詰まったような顔をしている。やっぱり、そんなにはもたなそうだ。
ミナトが2人分の儀式の支度をし始めるのを確認してから動き出した。それとほぼ同時にがま親分は消え九尾が解放される。
九尾へと近づくその最中、ミナト達の方へと攻撃しようとするのが見えたため、その腕へとでっかい氷柱を落としてやった。
『九尾!!』
お前の相手は私だと言わんばかりにちょこまかと攻撃を食らわせていく。が、当たりはするもののあんまり効いていなさそう。
まあでも、儀式の邪魔さえされなければなんだっていいや。とりあえずこちらに目が向いているのだから。
『ごめんな!!』
九喇嘛よ、お前に罪はないことは分かっているんだけどさ、まだね。原作でミナトとクシナが死ぬ原因の1つとなったことに関しては、どうにか今回は阻止して見せるから不問にするけど、もしダメだったら恨み倒す。でも実際、今回も謎のうちは?に操られていたわけだし、同情せざるを得ないのも確かなんだよね。
だからどうしても、効いてないとしても術を食らわせることに対しては謝らずにはいられなかった。
謝りながら攻撃してさ、はたから見たら情緒不安定な頭おかしい人なんだけどね。
「零尾!ワシが分からんのか!」
『はっ…………?』
なんでか羽虫を散らすかの如く腕を振り払ったりなんかはするけど反撃はしてこないなと思ったら、どうやら零尾と九尾はお知り合い?らしい。なるほどわからん。
九尾の顔目掛けてぶつけてやろうとした螺旋丸も、気の抜けたその一瞬にしゅるりと解けるように消えてしまった。
『おん?』
螺旋丸はぶつけずに終わったのに、何故か急に九尾が一回り…いや二回り以上サイズが小さくなった。 ナルトに封印できたのかな。
「ミノリ!次は君の番だ!」
だそうです。
とは言え、いくら私には反撃して来ないとは言っても、私が攻めるのをやめたら途端にナルトへと攻撃をし始めるわけで、どうにもここを離れられない。
「ミノリ!」
「ミナト!」
と、超いいタイミングでオビトと三代目率いるモブがやって来た。
三代目はナルトともう1つの儀式の台座を見て全てを察したのだろう。オビトやモブに的確に指示を出して九尾へと向かって行った。
一回り小さくなり力も弱まったとは言えそこはやはり九尾。あんまり効いてない。
時間短縮のために飛雷神を使ってミナトの元へと行く。
よしよし今度はちゃんとお守りを持ってるね。
『お待たせしました』
「ん、じゃあここに寝て!向こうもあんまりもたない!急ぐよ!」
冷たい台座に横になった。
台座の周りには八本の燭台が立っている。ナルトと同じ八卦封印か。
「落ち着いてね。いくよ!」
深呼吸を繰り返す。
ミナトが印を組んだ。
「八卦封印!!」
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