第15幕
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ミナトとクシナ。
父、母と呼ぶには彼らは完璧超人過ぎて、いささかこちらが気恥しい気持ちになってしまうのだが、まさかこんなところで父親の醜態を目にしてしまうとは。
事の発端は、実にめでたく誇らしいことである。我が父波風ミナトがこの度四代目火影へと就任する運びとなったのだ。
そして、イベント大好きの我が家+我が班だから、皆で飲めや歌えの大宴会をしようぜってことにはなったが、残念ながら三代目からの業務の引き継ぎやら何やらでそれは叶わず、結局我が家族のみでささやかなお祝いをすることとなった。
「火影就任おめでとう!」
『おめでとー!あと初日から遅くまでお疲れ様ー!』
「ん!ありがとう2人とも」
最初は割と順調だったんだ。
普通に乾杯して普通にご飯食べてさ。
だけれども、ご飯の途中で急にミナトが何かを思い出して捌けたかと思うと、一升瓶を抱えて戻ってきたのだ。
それは「夢うつつ」とラベルの貼られた焼酎で、どうやら三代目から就任祝いとしてもらったらしい。
本当はミナトってお酒が苦手らしいのだが、勧められるとどうにも断れないのだと。三代目お気に入りの酒らしく、一度飲んでみてほしいと言われたらしい。そりゃ三代目から感想求められたら飲まないわけにはいかんだろうけれど…。
私は未成年どころか子どもなので匂いを嗅がせてもらう程度だが、クシナとミナトは水で割って飲んでいた。
余談だが、ミナトはなるだけ薄くしようとほんの1割程度しか夢うつつを入れていないのに対し、クシナは半分くらい入れていたので流石だと思う。
そして2人が軽くチンとグラスを鳴らして1口飲んだかと思うと、そのままミナトは椅子から崩れ落ちた。倒れたグラスから零れた酒がそのままミナトに降り注がれる。浴びるように呑むとはまさにこのこと。ってやかましいわ。
「えっ?!ミナト!!?」
『ミナトさん!!??』
慌ててクシナと共に崩れ落ちたミナトに駆け寄れば、ミナトは俯いたままむくりと起き上がった。
もしや公式では発表してないが何か持病があるのか…?
『だ…大丈夫…?』
「ぅ……ミノリ…?」
苦しそうに頭を押さえるミナト。
頭痛?でも頭痛だけじゃ何の病気かなんて分からないからな…。
「ミナト?頭が痛いの?
待つってばね。確か痛み止めがどこかに…」
クシナが薬を探しに寝室へと移動した瞬間、ミナトが動いた。
『ほアアッ!!???』
あろう事か私のことを抱き締めてきたのだ。
あまりに突然のことで油断しきっていたため避けられなかった。っていやなんでなんでなんで???
『ちょっ…ミナトさん…?』
「……パ……」
『は?…ぱ?なんて?』
「………パパと呼んでくれ」
………は??
は???
聞き間違いかと思ってタイミングよく戻ってきたクシナの顔を見るが、クシナもまた驚いた顔でこちらを見ているためやはり聞き間違いではないみたい。
『あの…酔ってる?よね…?』
「いや、この際だからはっきり言うけど、オレはねえ!娘が出来たらパパと呼んでもらおうと思っていたんだよ!だけどやっぱり無理強いは良くないし、本人の好きなように呼んでもらうのが一番だけど、でも本当は!一度くらいは!パパって呼んで欲しかったんだよおお!!」
完全に酔っ払いのそれだこれは。
クシナは最初こそ頭を抱えていたが、今はもう腹を抱えて笑っている。なんやねん。
「確かに、昔はそんなことも言ってたわね…」
『いや初耳ぃ…』
「昔から弱いからってお酒を飲みたがらなかったけど、まさかここまでとはね…」
弱いどころじゃないよねぇ??
1口飲んでぶっ倒れるとか、コップ1杯飲んだら死ぬのではなかろうか???
「本当なら子どもと川の字になって寝たりだとか、一緒に遊んだりだとかもしたかったけど!でも一緒に修行は沢山できたから良しとするよ!けどナルトが生まれたら付き合ってくれるよね?!ね!!??」
『あー…もしやこれは夢なのでは…』
「聞いてるのかい?!ミノリ!!」
『あーはいはい聞いてマスー』
いっそ夢であってほしかった…。
完璧超人の父親は取っ付き難いみたいなことを言ったが、こんな形で完璧という仮面を脱ぎ捨てるとは…。
こんなミナト見たくなかったし知りたくもなかったぜ…。
結局ミナトの酔いはすぐには覚めず、仕方ないからとそのまま抱き枕にされたまま一夜を明かすこととなった。
翌朝クシナと私からミナトに対して酒禁止令が出たのは言うまでもないだろう。
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