第13幕
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「あの化け物、上忍になったって話だぞ」
「嫌だわ…世も末ね…」
「火影様はいったい何を考えてらっしゃるのかしら…」
ある日の夕暮れ、夕食後のデザートとして団子を買っていこうかなと甘味一番に向かって商店街を歩いていた。そう、ただ歩いていただけで、今回は別に迷子の子を連れていたわけではないのに謂れのない誹謗中傷を受けているのである。私の存在が世も末と言われるのなら、お前らは間違いなく人の末だ。かろうじて人であったとしても、間違いなく人として最底辺の位置にいるのだから。
誰かが認めてくれたって、同じように全ての人が私を認めてくれるわけではないことは分かってるんだよ。自分が認めて欲しい人に認めてもらえるなら嬉しいけど、それ以外の評価はどうでも良かったりもするから別にいいけどね。
ただ、1番悲しいのは、原作でリンやミナト、クシナが命をかけて守ろうとしたこの里で生きるこいつらの民度がくっそ低すぎることかな。こんな里、大事な人が生きてさえいてくれれば滅びたってなんだって、もうどうだっていいわ。
「ミノリ、何してるんだ?」
『んー、ちょっと買い物』
後ろから声をかけられ振り返ると、カカシが買い物袋を引っ提げて首を傾げていた。こいつが自分から話しかけてくるなんて珍しいな。
あれだけヒソヒソ言っていたのに、カカシが話しかけてきた瞬間ぴたりとそれは止み、こちらを蔑むように向いていた視線もパッと外れた。ヒュ〜さっすが知名度高いなカカシは。
「何買いに行くんだ?」
『お団子。夜ご飯の後に食べようと思って』
「ふーん…」
カカシが私の行動に興味を持つことってなかなか無いんだけれど、今日は珍しくよく質問をしてくるね。質問と言ってもくだらないことばかりだけれど。
そして何よりさらに珍しいのは、俺も行く、と私の隣に並んで歩き出したことである。私の先を進むことはあっても、プライベートで横並びになることは今の今まで絶対無かったのに。ましてや、私の買い物についてくるだなんて、考えられないわ。
私とカカシが並んで歩き出したことで、その様子を見た有象無象はまたコソッと何かを話し始めた。飽きないねーほんと。
「あんたらさぁ、弱い者ほどよく吠えるって言葉、知ってる?」
気にせずそのまま行こうとしたら、隣にいたカカシはくるりと有象無象達へ振り返った。
「他者から守られるだけの無能な癖して、里を守った英雄にまで吠えるとか躾のなってない犬以下だな」
『ちょおま、カカシ!?』
ヒソヒソ話を再開し出した男を睨みつけながら吐き捨てた。言われているそいつよりも私の方が肝が冷えている自信がある。
時が止まったようにしんとした空気となったその場を後にする。さすがの私も何も言えずに無言で歩いていると、急にカカシが吹き出し、そのうち腹を抱えて爆笑し出した。
なんやなんや。
「あははっ…。見ただろ?さっきの奴らの顔。思い出すだけで笑える。っくく…」
『あーー、あれね…。
あんなこと言って良かったの?』
「ムカつくんだよ。自分は大したこと無いくせに文句だけは達者な奴って」
『……ありがとね、カカシ』
私のお礼に対し、カカシは別に、とそっぽを向いた。
今までのこいつだったら到底考えられないこの一連の行動だけれど、やっと私を認めてくれたということかな。
そう思うと、やっぱり今まで頑張ってきた甲斐があるなって。
『ところでそれ、何買ったの?』
「別に…なんでもいいだろ」
『私は何買うか教えたじゃん』
「………今日の晩飯だよ」
ちらりと袋を覗けばお惣菜のパックが入っていた。
おいおいおいこんな育ち盛りの少年がスーパーのお惣菜を買い漁るとか…。退勤途中の独身中年男性みたいだな。
それを本人に伝えれば無言で頭を小突かれた。痛い。
『んじゃ、また明日』
たまには自炊なり何なりしてまともなもの食べなよ、と無駄にお節介を焼いてみれば、善処するよと明らかにやる気の欠片もない返事をしてそのまま去っていった。
その背中を見送ってから、私も帰路へとついた。
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