第12幕
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「俺は……地獄にいる………」
背中を濡らす生ぬるい液体と、頬を包む誰かの手の感触で目が覚めた。
霞む目を開けると、そこにはどアップのオビトの顔があった。かつての姿とは程遠いシルエットで、顔も移植の名残があるけれど、ちゃんと面影がある。
「こんなの…間違ってる…。こんな世界…俺が作り替えてやる…!」
え、待ってなんで既に闇堕ちしてんの。
もしかして……………リンが死んだ…?いやいや、それならなんで私のところにいるんだって話よ。
これはもしや夢、かな?それか走馬灯的な?
『オ、ビ…げほっ…』
声を発しようとするも、喉にこびり付いた血によって上手いこと喋れない。
肺に血が入ったのだろう、陸にいるのにまるで溺れているかのような苦しさに何度も咳が出た。その度にオビトのマントに血が飛んでいるが、既に返り血で汚れているからバレないだろう。
「……大丈夫だから安心しろ。新しく作る世界にはもちろんお前もいるから」
『…かっ…て、に…殺す、な…馬鹿……』
「もういい、喋るな。その傷だと…もう…」
喋りづらさはあるが、先程よりは息苦しくない。気を失う前は何度息を吸っても空気が入ってくる感じがなかったが、今はちゃんと肺が機能しているらしい。
なんの感覚もないから分からないが、おそらく、ちゃんと傷が修復されてきているのだろう。右胸だったからなんとかなったのかもしれないけれど、貫かれたのが心臓だったらどうなるのだろうか…即死はだめだったりするのかね…。
『…ぉ、らっ!』
「いってっっ!」
縁起でもないことを言う輩は殴っちゃおうね〜。
雷遁により痺れが残る腕をやっとのことで動かし、おでこをべしっと叩けばオビトは黙ってくれた。
『生きてるよ馬鹿!!!!…お"え"っ"…ゲホッゴホッ』
つい興奮して怒鳴ると、胃からごぼりと大きな血の塊が上がってきて、堪らず地面に吐き捨てた。
オビトは申し訳なさそうに私の背を撫でてくれている。
「おい落ち着けって」
『落ち着くのは明らかにお前だよお馬鹿』
おっ、ちゃんと声が出た。
服の穴が空いたところを見てみるよう促すと、傷があったであろう場所には傷跡すらも残っていなかったようで、オビトは安心したようにほーっと息を吐いた。
「……ほんとだ…」
『ちゃんと生きてるから。
……だから泣かないでよ』
くしゃっと顔を歪めて泣きじゃくるオビトに、つられて私もちょっと涙が出た。
『……おかえりなさいオビト…生きてるって、信じてたよ』
また会える日を、今この瞬間を、どれほど待ちわびたことか。
「う"ぅ"ぅ"…た……っただい"ま"…!」
オビトは涙と鼻水と返り血とでとんでもなく汚ったない顔を、私に見えないようにと隠すように、ギュッと私を抱きしめ大声で泣いた。
よしよし。
この年で死を覚悟して、別れを経験し、里への帰還を目指してただ1人で修行をして、ここへ来たら(実際刺されたのは私だけれど)大好きなリンが殺されそうになってて、復讐心に駆られて敵を皆殺しにして、と普通に暮らしていたら感じることのないであろう大きな苦痛を、精神的ストレスを、どれほど受けてきたのだろう。想像することしかできないけれど、それだけでもう胸が張り裂けそうなほどに苦しかった。
よしよし、よしよし。
手が痺れてまともに動かないから口頭でよしよしと言ってあげることしかできないが許して欲しい。
「ぐずっ……わりぃ…」
『ううん。
それより、私の事抱えてもらえる?だいぶ回復してきたけど、まだちょっと走れそうにないんだ』
オビトとの再会に気を取られてリンとカカシがそっちのけになっていたが、そろそろ後を追いたいところ。
さっき雷切の前にリンが飛び出してきたことはカカシも気付いているはずだから、リンが何も語ることはできなくても彼女の行動には注意してくれているだろう。と信じたい。
『ふー……よしっ。
水遁 雨乞い』
だいぶ動くようになってきた手で印を組み、お馴染みの雨を降らせた。
中忍試験以降、改良に改良を重ね、ペインみたいに雨を遮る物の感知はできないけれど、ついに、この雨に触れたチャクラを感知できるようになったのだ。
『ここから2時の方向に向かって』
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