第9幕
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『やっほー、また来たよー』
「また来たのかよ。
いいのに別に、そんな毎日来なくて」
『だって入院生活暇でしょ?
話し相手になってあげようと思って』
リンゴ食う?と問うと食うと返って来たのでうさちゃんリンゴを作ってあげた。
黙々とうさちゃんはオビトの胃の中へと消えていった。
「先生達は?」
『任務。里内でできるやつ』
お前は?と聞かれたが笑って誤魔化しておいた。戦闘とかが無さそうな里内でできる任務だからと影分身にやらせているので、ミナトにバレたらぶっ殺…ガクガクブルブル…
最初は「なんで黙るんだよ教えろよ」とオビトも笑っていたが、私の反応にひとしきり笑うと急に俯いて黙り込んだ。
「………ホントに、中忍試験のことは俺に悪いと思わなくていいからな」
『え、藪から棒に何』
「俺、お前が降参したから一応勝ったことにはなってるけどさ、自分では負けたと思ってるんだよ。
でも……完敗したとは思ってない」
ゆっくり顔を上げてこちらを見るオビトの表情は明るい。
「1週間ミナト先生につきっきりで死ぬほどしごかれて、体術も手裏剣術も忍術も、前よりもずっと上手くなったんだ」
『………うん』
「実は楽しかったんだぜ。
ちょっとは悔しいけど、もういいんだ。だから、本当にお前が悪く思う必要はねえし、無理して見舞いなんかも来なくていいよ」
あー……なるほど。私がオビトの入院に責任感じて見舞いに来てると思ってるのね、こいつ。今までの私のどこを見てそんなこと考えるんだ。……って、そうか、この子リンしか眼中にないもんね。
『悪いとは思ってないよ。だってお前が全力でやれって言ってきたんだから。
私がそんな繊細な心持ってると思ってんのか』
「いや少しは悪びれろよ。じゃあなんで毎日来んだよ」
本当に、逆に申し訳ないんだけど全然何も悪いとは思ってないんだよね。いや、気づかずに氷漬けにしたことは今後もたぶん一生謝り続けるけども。
毎日毎日、なんでこんなに飽きもせず見舞いに来てるかってそりゃさ
『オビトと話したいからに決まってんじゃん』
「っお前………もしかして…」
ずざっとベッドの上で後ずさり、目を見開いて凝視してくる怪我人1名。痛くないのかな。
「俺の事っ…好きなのか…?」
『ンヘェア…………?
ごめん変な声出たわ。
え、何そんな風に見えた…?勘違いも甚だしいな?』
「うるせえこの馬鹿ミノリ!」
『あっはは!冗談冗談。
でも普通に好きだよ』
そう言うとオビトは黙って頬を染めた。
いや、自分で聞いたくせに照れるな照れるな。
『リンもミヤビちゃんも好きだし、ミナトさんとクシナさんも好き。あでもカカシは…うんんん……まあ…まあ好きだよ、うん。同じくらい嫌いだけど』
「なんだよそれ」
その後もダラダラとくだらない話をしていたら日が沈んできたためお暇することにした。
オビトのおばあちゃんがお見舞いへとやって来るのが窓から見えたため、邪魔になるまいとそのまま窓から病院を出た。
オビトが退院する頃には私達の班もミヤビちゃんの班も、全員中忍になったからととにかく任務が忙しくなり、結局、二班集まっての打ち上げはすることが出来なかった。が、私達の班は我が家に集まり、ささやかながら私とクシナの手料理を食べながらの小さなお祝いの会をすることが出来たので良しとしよう。
今後も何事も無ければいつでも皆で集まることが出来るのだから。
なんて、原作の悲劇を知っているくせに、つい知らぬフリをしてそんな今後の幸せを望んでしまうのだった。未来は変えられる。そう信じて。