第2幕
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火影邸を出て、歩くこと数分。
『………やっべぇ…』
完全に迷った。
ここから火影邸に戻るのは訳ないけれど、それはさすがに私のプライドが許さない。
仕方がないので近くにあった公園に立ち寄る。
小さい子達がボールで遊んでいたので、その様子が見られる位置にあるベンチに腰を下ろした。
体が小さくなり、それに伴って肺活量も小さくなった。
つまるところ、体力の衰えを感じているわけだ。
『ふわぁ…』
朝早くに起きたので眠い。
子ども達の声を遠くに聞きながら、眠気に誘われるままに目を閉じた。
「―――い」
何か聞こえた気がする。というより、誰かが呼んでる。
名前を呼ばれたわけじゃないけれど、確実にその声は私に向けられている。
遠くから聞こえていた声は、段々と近くからはっきりと聞こえるようになった。
「―…おい!起きろ!」
『……?……ん、ん?』
甲高い怒鳴り声により目が覚めた。
ぼやけた視界には、子どものシルエットと夕暮れ時特有の薄暗いオレンジ色が映っている。
「やーっと起きたか!手間取らせんなよな!」
『……今何時?』
「お前が全然起きねーからもう5時半だよ」
『…………』
この子、見たことあるような気がするけど、全然頭が働かなくて思い出せない。誰だっけ。
「お前迎えは?まだ来ねーの?」
『迎え、は…ない、かな』
「へー。
俺が来た時にはもうお前寝てたけどさ、遊びもしねーで何やってたんだ?」
『………………迷ったから…諦めてた』
笑われたら嫌だから、すっごい言うことを躊躇ったけれども、本格的に帰れなくなりそうだったので観念して話せば、案の定爆笑された。
「ぷっははは!
お前馬鹿だな!ちっせぇとは言え自分の家に帰れなくなるとか!」
『何だよ笑うなよー』
「はははっ、悪かったって。
何なら俺が送ってやろうか?」
『えっ、』
「お前の家って言われても分かんねーけど、家の周りに何か目印になる建物とかあるだろ?」
『いや……自分の家って言うか、火影の家を探してるんだけど…』
知るわけないか、たかだか10歳くらいのこんな子どもが。
「火影の家ぇ?」
思った通り、変な顔で首を傾げられた。
「こんなところにいたんだね、ミノリ」
目の前の男の子につられて苦笑いしていると、後ろから突然声をかけられた。
まぁ声で分かるけど一応振り返れば、そこにはちょっとムッとしたミナトがいた。
「先に帰っててって言われたのに、こんなところで何をしていたんだい?」
『いや…あの…』
い、言いづらい…。
迷った挙げ句、諦めてベンチで10時間近く寝てたとか超言いづらい…。
「こいつ、道に迷ったらしくて、諦めて寝てたらしいっすよ」
ぅぇえええ!!!??
言いおったぁーー!!!!こいつ(ある意味読んだけど)空気読めないタイプの子だー!!
「えっ、迷ってたの?」
『………』
他人にチクられたらもう頷くしかないじゃん。
頷いた流れでそのまま俯いた。
『…すいません』
恥ずかしさと申し訳なさで顔が上げられないでいると、頭上から静かに息を吐く音が聞こえた。
「分からないならそのままにするんじゃなく聞いて欲しかったかな」
『………すいません』
「別に怒ってるわけじゃないんだからほら、しゅんとしないで」
苦笑したミナトは、俯く私の頭を数回ぽんぽんすると今度は少年に笑いかけた。
「この子の面倒を見てくれてありがとう。君も遅くならないうちに帰りなさい」
「おー。
それじゃあなちび助、迎え来て良かったな」
『あ、うん。ありがとー』
走りゆく少年の背をミナトと一緒に見送る。
……ん?
遠くなっていく少年の背中をよーく見ると、赤と白の特徴的なうちわのマークがあった。
…………あいつオビトか!!?
全っ然気付かなかった。
「さ、じゃあ俺達も。
今日は歩いて行こうか」
『あ、はい。お手数おかけします…』
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