第8幕
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『ご迷惑とご心配をおかけしました。ごめんなさい』
「はっはっは!元気になったみてーで良かったぜ!
また護衛を頼むこともあるかもしんねーが、そん時ァよろしくな」
次の日の朝方、セイルさんに見送られて波の国を立った。
ぽんぽんぽんぽん頭を撫でられ、おそらく何センチか身長が縮んだことだろうとは思うけど、でも気持ちの良い人だった。今度里で見かけたら魚を買おう。
「で、君は皆に何か言うことがあるんじゃないかな」
ピョンピョンと超特急で木の枝を飛び移る中、ミナトが近づいてきたと思うと、そうコソッと耳打ちしてまた離れていった。
むむ…確かにみんなにも迷惑かけたもんなぁ…。
太めの枝に着地して立ち止まると、みんなも一時停止して近くまで戻ってきてくれた。
『あの、みんな…!
昨日は迷惑かけてごめん…。あと、心配してくれてありがとう…』
勢いよく頭を下げると頭上からくすっと笑い声が聞こえた。
「どういたしまして!」
「…別に。心配なんてしてない」
「嘘だぜこいつ、ずっとチラチラお前のいる部屋見てたんだからな」
『えっっ、そうなんだ…』
告げ口されたカカシがすかさずオビトを殴るまででワンセット。衝撃の事実に少しびっくりしたけれど、堪らず笑ってしまった。
私、この班になれて幸せだ。
と、いい感じに終わると思うじゃん?そうは問屋が卸さないんだなこれが。
里について報酬を受け取り家まで帰る道のりで、改めてこっ酷くミナトに怒られました。嘘ですとても優しく諭されて涙が出ました。
「君に言いたいことは3つ。
まず、あそこで躊躇しないでくれてありがとうってこと。オレもカカシもいないあの状況で、よく頑張ったと思う。怖かっただろう。
2つ目、いきなり実戦に放り込んですまなかった。オレとの修行でみるみるうちに動けるようになっていたからと君への配慮が欠けてたよ。忍とは言え年端もいかない子どもなのに…本当にすまない。
そして3つ目。リンに"1人にしてほしい"と言ったそうだね。デリケートな問題はまず1人で反芻する時間も必要だからね、別にいいんだ。いいんだけど、時には誰か話しやすい人に相談することも大切だよ。君のチームメイトもそうだし、オレやクシナでもいい。他に君の信頼出来る人間がいるならそれでもいい。とりあえず、1人で抱え込んで泥沼にハマらないように、それだけは気をつけてくれ。でも、それらは任務中にすることではないから、任務が終わって家に帰ってからするのが本当はいいんだけどね。難しいかもしれないけど、公私混同はいけないよ。
でも、本当に良くやった。誰も怪我することなく終えられて嬉しいよ」
と、優しく微笑みながら言われるものだから、最近涙腺ゆるゆるの私が涙を流さないわけがないじゃない。
結局そのまま家に帰ることになり、ドアの前で必死で涙を拭うこと数分。ミナトは気をつかって先に入っていった。
よし。
ドアを開け、クシナが出迎えてくれていることを確認し大きく息を吸った。
『ただいま!……母さん』
「おかえ……今っ…!」
ドアの前で、急にミナトと話したことを思い出し、つい調子に乗って呼んでしまった。その瞬間みるみるうちに笑顔になったクシナが吹っ飛んでき…いや抱き着いてきたものだから、体勢を崩して玄関に尻もちをついた。
「んもー!!!おかえりだってばね!ミノリ!」
『ぅぅぅ苦しい…』
私の首を絞め…いや私を抱きしめるその手をギブアップという意味を込めてぽんぽんと叩くとやっとこさクシナは解放してくれた。するとすかさず顔に影が落ちる。
「で、オレは?」
何やら楽しげににやつくそのご尊顔を殴りたいと思ったのはこれで何度目だろうか。まぁ、こんなことで喜んで貰えると言うのならお安…くはないけど比較的お安い御用である。
『…………………と、父さん…』
「ははっ…まるで蚊の鳴く声だね。
ん!おかえり、ミノリ!」
『〜〜〜〜ッ、ただいま!!』
あー…やっぱり人に迎えて貰うのって嬉しいことだな。当たり前になり過ぎていたから、有難みさえ感じてしまう。
最初は…誰に命を狙われても生き残れるようにと強さを求めて、今までそれなりに努力してここまでやってきた。そのおかげでここまでの回避能力を手にすることが出来た。
でも今は。
自分の命よりも大切かもしれないと思う存在がいくつも出来て、今はそれを守るための強さがほしい、強くなりたいと思う。
ミナトとクシナにミナト班のみんな、そして…これから生まれてくるであろうナルトも。ここで生きる私からしたら、もうフィクションではないのだから。
『2人の子どもにしてもらえて本当に良かった…!』
ここが私の
生きていく世界なのだから。
.