第8幕
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「よし、今日のところはこの辺で休むとしようじゃないか」
ガタガタとゆっくり走る荷馬車は、護衛対象の声を聞き道の端に寄った。場所は野営に丁度よく小高い丘の上で見晴らしがいい。
「波の国まではあと半分ってところだ」
最後までよろしくな!とニカッと太陽のような笑みを浮かべる熱血系男子こと今回の依頼人兼護衛対象。波の国から新鮮な魚を木ノ葉の里に卸してくれてる大事な人…らしいんだけど、名前は…なんだっけ。
「セイルさんはどうやって生魚を新鮮な状態で卸してるんですか?」
あ、そうそうセイルさんだ。
「難しいことは何もしちゃいないよ。ただこの相棒を信じてかっ飛ばすだけさ」
「へー!この馬そんなに早いんだ!」
セイルさんが相棒こと馬を指差してニカッと笑うと、オビトも興味津々で話を聞き出した。それを天使の微笑みで見つめるリンとミナト。はぁあ可愛い&イケメン…。彼らが私の友人と父親だなんて信じられますか???
「…でも帰りはゆっくりなんですね」
「おうよ。何せアンタらの里で色んな物を仕入れて帰るんだからな。その中には壊れ物もあるんだよ」
『はー、なるほど…』
荷馬車の後ろにやたら色々仕舞われてるなと思ったらそういうことだったのか。
「ほらよ」
火を起こして皆で囲むと、セイルさんはその荷台から干した魚を持ってきて私達に配った。もちろんミナトは一度断ったが、結局セイルさんの熱に押されてみんなして受け取ってしまった。うちらみんな、基本的に携帯食は常備しているからいらないんだけど、依頼主の親切心を無下にする訳にはいかないってことで、時にはこういうこともあるよね。
というわけでみんなで干し魚を食べまして、野宿!!
セイルさんは勿論寝るんだけど、見張りをみんなで交代しながらすることになった。
ミナトがずっと起きて見張ってるから寝ていいよって言われたけど、私達だって依頼を受けて、成功したら報酬を貰うのだからとゴネにゴネて、結局ミナト+誰か、というペアで2時間交代で見張り…というか火の番をすることになった。
んで、私が年齢的に1番小さいからと、見張りをとっとと終わらせて寝ちゃいなさいよというような優しさをリンからもらったので1番バッターは私で決定した。いや大分前からオールで修行をやらされていたこっちからしたら別に仮眠時間はいつだっていいし、なんならオールで火の番だって御茶の子さいさいなわけなんだけど、優しさは素直に受け取ります。
「……この班には慣れたかい?」
皆が寝息を立て始めた頃、焚き火を挟んで向かい側に座るミナトは、火を見つめながらこちらへと質問を投げかけてきた。
『まあ…だいぶ…』
たぶん…。
自己主張の強いオビトに協調性のないカカシ、そしてそんな2人の緩衝材という役割を担ってくれる愛しのリン。
カカシが私のことを敵対視してくることにも随分慣れたものだ。最初はハーン???なんてこっちも売り言葉に買い言葉って感じだったけれど、私も中身は大人なんでね、華麗なスルー術を身につけたのだよ。
「それならいいんだけどね」
ミナトは私とカカシの関係を知ってか知らずか苦笑いを浮かべた。いや知ってるなこの反応は。
『別に、向こうが普通に接してくれるならこっちだって普通に接するんですよ??』
「まぁ男の子ってどうしても素直になれない生き物だからね…あのくらいの年齢なら特にさ」
かーっ!めんどくさっ!
男の意地がこの世で1番タチ悪い気さえするわ。女には一生かかってもわからない気持ちなので散々言っておく。
『ミナトさんも昔はそうだったんですか?』
「いやオレは今も昔も変わらず素直だよ」
『絶対嘘ですよねそれ。今も昔も変わらず……いやなんでもないです』
今も昔も変わらず腹黒坊ちゃんだろ絶対。俗に言う黒い笑みが想像つくんだよ。
「本当だよ。帰ったらクシナに聞いてご覧」
『あー、まぁそっか…クシナさんに聞けば確実か…』
「……。ところでミノリ」
真向かいに座っていたミナトは、ゆっくりと立ち上がるとこちらに回り込んで私の隣へと座った。
一瞬身構えたのは言うまでもないだろう。
「いつまで君はオレ達のことを名前で呼ぶんだい?」
『…………と、言いますと…?』
「オレ達、一応君の父親と母親ってことになってるんだけど」
『………』
「任務の時とかは仕方ないとして、家にいる時や、それ以外の2人でいる時は流石に父親扱いしてほしいなーって」
なんということでしょう。
今まで名前呼びで誤魔化していたが、ついに求められる日がきてしまった。
元の世界に本当の両親達がいるから親扱いできない!とかそういう湿っぽい理由はない。むしろ、こないだ変な空間の変な声が両親達の様子を教えてくれたこともあって、ミナト、クシナ夫妻が私の両親になってくれるということも全然割り切って受け入れられはしているのだが…。
ただ単純に、彼らを父、母と呼ぶ自分が恥ずかしいとかそんなくっだらない理由しかないのだよ。
「親子なんだし任務外では敬語もいらないよ」
追い討ち!!!
『や…ただちょっと気恥ずかしくて…』
「はは、まあすぐにとは言わないからいつかね。クシナも喜ぶと思うよ」
ううううう。
まずそもそもさ、このミナトクシナという美男美女夫婦を親扱いすることがちょっとハードル高くない??だって私の中で彼らは神格化されているわけだし、ただ遠くから見るだけならまだしもそれが身内でさらには自分の親ですとか、それただの究極のマザコンファザコンじゃん嫌だー。
その後もぽつぽつと、時にはくだらない話も交えながら談笑に興じ、そして2時間が経過した後、次の番であるカカシを起こして眠りへとついた。
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