第30幕
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『派手にやってんなぁ…』
庭の景観はお構い無しに術をぶつけ合うカカシと糸目。見た感じはカカシの方が押しているかなってところ。
「ミノリ!悪いがケイキョク様を頼む!!」
『はいよ。カカシも頑張れ』
おそらく騒ぎを聞きつけてやってきたのであろう城の兵にケイキョク様を預けたようだが、その兵達は野盗共に囲まれ動けなくなっていた。
駆け出そうとするイバラ君を引き止め物陰に待機させ、先程調合している最中に抱えて逃げたためにぶちまけてしまった解毒薬を再度作り直してもらうことにした。
この国1番の薬師だとかいうケイキョク様を師に持つとのことだから、イバラ君もなかなか腕のある薬師なのだろうし、やっぱそっち系のことはその道のプロに任せる他あるまい。
さて、というわけで、その道はその道のプロにってことで私も野盗掃除といきましょうか。
『よっし、イバラ君出て来て大丈夫だよ〜』
手っ取り早く影分身でちぎっては投げちぎっては投げすることで、ケイキョク様達を囲んでいた野盗はあっという間に地に沈んだ。
兵の1人に抱えられていたケイキョク様を地面に下ろしてもらい、後はイバラ君へとお任せし私はカカシの方へと加勢することにする。
「ハンネは負けてしまったようですね」
『残念ながらね』
糸目の男はキダチ あさがおというらしい。可愛い。この世界は可愛い名前の男が多いな。
カカシに聞くと、ふらふらとこちらを翻弄するような戦闘スタイルはどこか遊んでいるようにも見えるとか。
「気をつけろ。奴は妙な術を使う」
『ん、善処する』
妙な術を使うと言われてもぶっちゃけ対策しようがないけどな。何かやられる前にやるしかないということか。
ちらりとカカシを見やると、そんな大して怪我をしているわけでもないのに汗びっしょりになっている。そんな健闘したのか?そのわりには向こうは涼しい顔をしているが。
『水遁 水無月の剣』
様子見を兼ね、とりあえず適当に術をかましていく。
カカシから聞いていたように、私の術を避けるキダチはまるで踊っているかのようだ。
皆と比べればそりゃモブに過ぎないが、やはりある程度整ったその顔の所為で普通に様になってるから腹が立つ。
「はぁっ…はぁっ……」
『…カカシ大丈夫?』
息が荒く先程よりも些か動きが鈍くなっているカカシを庇うように立つ。嫌な予感しかしない。
「ふふ、そちらの彼はそろそろでしょうか」
『何、が!』
ちらりと開かれたその細い目に手裏剣を投げつければまぁ普通に弾かれたが、すかさず今弾かれたばかりの手裏剣へと飛雷神で飛びクナイで切りつけた。これぞ卑雷神切り!
弾いたばかりの手裏剣から現れた私のクナイを避けるのは容易ではない。意表を突いたこの攻撃は有効だったようで、クナイは深々とキダチの胸に突き刺さった。
『銀糸柩の術。
大人しくしとけ!』
一瞬動揺するもすぐに距離を取るキダチだったが、今度はその胸に刺さるクナイへと飛び、ハンネと同じように氷の檻へと閉じ込めておいた。
『カカシ?とりあえずは終わったよ』
「…ち…違う……!俺は……」
『……カカシ?』
さっきから静かだとは思っていたが…カカシの様子がおかしい。
右手を押さえながら蹲るカカシのその目は焦点が定まっていないし、呼び掛けに対しまともな返事が返ってこない。
「俺は……ッ俺はお前を殺そうとしたわけじゃ…!」
『カカシ!お前何言ってんの!』
「違う…!すまない…!っ…違うんだ…!!」
完全に私には見えない何かが見えているようだ。
幻術?まさか。写輪眼のカカシが?もしかしてキダチの妙な術ってこのことか?
「許してくれ……ミノリ…!」
『何!……って、えっ、何、私??』
泣きそうに顔を歪めたカカシは私ではなくどこか遠くを見ている。が、今呼んだのは確実に私の名前だ。
まさか…もしかしてだけれど、もしや雷切で私を貫いた時を幻術で見せられてる??
てことはこの右手を押さえるポーズは雷切発動時のポーズか??
『カカシ!しっかりしろカカシ!!』
「ッ俺は…お前達を守りたかった…!…のに……こんなことになるなんて…」
全然会話が成り立たない。
何をするか分からないこいつをこのまま放っておくわけにはいかないし、どうにかしたい。どうすればいいかなんて全然わかんないけど。
「分かった……じゃあ、俺もお前と同じようにこの術で…」
『はっ?!嘘馬鹿お前ッやめろ!!』
目尻を下げ穏やかに微笑んだカカシは、雷切を発動させそのまま自分自身の胸を貫こうとするものだから、ついその顔を思いっきし殴ってしまった。
『私は死んでない!生きてる!』
「は…」
『おい!!私を見ろ!!』
「は?えっ…ミノリ?…あれ、俺はいったい何を…」
胸ぐらを掴み無理矢理目を合わさせる。
カカシは殴られた頬を押さえ一瞬呆然とするも、正気を取り戻したようで辺りをきょろきょろと見回した。なんて人騒がせな奴なんだ。
幻術の私が何を言ったのかなんて全く分からないけれど、少なくとも私は仲間の後追いなんて望まないし、よりにもよってカカシが後を追ってくるだなんて心底やめてほしい。
「兄ちゃん、この薬を飲むといいよ」
私達の一悶着を傍目で見ていたのであろうイバラ君が駆け寄ってくる。そしてその後ろからゆっくりと、兵の1人に体を支えられるようにしてケイキョク様がやってきた。
痩せて青白い顔をしていても、やはりそこは大名。その立ち居振る舞いからは威厳が溢れている。
「木ノ葉の忍ね…ヒャクセンからの依頼ってところかしら。感謝するわ」
『あ、はい。どういたしまして。
ケイキョク様もご無事なようで何よりです』
オネェ!!!!!!
一瞬本物のお姉様かと思ってしまったが、イバラ君から父上と呼ばれていたことを思い出した。
「…にしても、爺が裏切るなんて…いつかはやると思ってたけど…」
「彼はどこにいるかしら。けじめをつけにいきましょう」
着いてきてくれるかしら、とケイキョク様に問われる。も、勿論ですとも姉御!!…なんて言いたくなっちゃうね。
結論から言えば、かやつりはあっけなく捕らえられた。
大名の命だと偽り今まで兵を動かして来たのだから、万全とはいかずともケイキョク様が復帰し、金で雇っていた野盗や忍が破られた今、あいつを守る者は誰一人としていないのだ。
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