第30幕
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『まず間違いなく黒幕がいるね』
門番の話を要約すると、民のことを想っていた素晴らしい大名は今ではどこぞのチンピラだか野盗だかを敢えて国に招き入れ、人を攫って来させては何か良からぬ仕事をさせているだとかなんとか。イバラ君が言っていたのはこのことか?
本人もめっきり表には立たなくなり、命令は全て宿老伝いだとか。その命令も、以前であれば到底考えられないような横暴な物だったり、すぐに言葉を覆したりなどと、今まで培われてきた信頼も失われるようなものなのだそうだ。
はい、犯人はもうその宿老とやらで間違いないね。劇場版の流れでいけば。
「今回の任務は調査だけが目的だけど…」
『ま、パパっと解決してやりましょ』
「だよな、そう言うと思った」
なんとかしてあげるってイバラ君と約束しちゃったかんな。
苦笑するカカシに内心で謝っておく。
日が沈む前に服装から持ち物まで準備を整え、ついでに腹拵えをし、月が空高く昇った頃に乗り込むこととなった。
「どうぞこちらへ。あそこがケイキョク様のいらっしゃる本丸になります」
『ありがとう、あとは大丈夫です。とりあえずは様子見なので』
昼間の門番に城に招き入れてもらい、あとはカカシと共に隠密で行動することに。城門、三の丸は元々の城の兵が警備しているが、本丸、二の丸は最近招き入れているという野盗共に警備させているらしい。そんなわけで、そいつらに下手に見つかって足でまといになられても困るので、乗り込むのは私達だけでいい。
……と思っていたのに。
『なんで君ここにいんの?』
「前にケイキョク様に、いざとなったらここを使うようにと言われてたんだ」
『その "いざ" はたぶん今じゃないな』
城壁に沿って進んでいると、突然壁がまるで戸のように開き中からまさかのイバラ君が姿を現した。どうやら隠し扉だったみたいだ。
隠し扉を教えてもらえるほどこの子大名と親しいの…?距離感どうなってんの。
「オレもケイキョク様がおかしくなった原因を知りたい」
『あ、ダメだね。邪魔だから』
何を言い出すかと思えば。
何かやたらでかい箱背負ってると思ったら、それ薬箪笥か。
断ることは折り込み済みだったようで、イバラ君はにやりと笑った。
「連れて行ってくれないならここで大声を出す」
『よーし気をつけてついておいで』
親の顔が見てみたいな。
この展開もお馴染みだが、大体後でこういう子は役に立ってくれるものだ。そう、劇場版ならね。
別に軽く気絶させるくらいはわけ無いし、なんならカカシも手刀をスタンバっていたが、そういうわけだから今回は止めておいた。ただし、迂闊なことは絶対にするなよと念を押して。
「ケイキョク様…!」
大名の部屋の見張りをする野盗共を気絶させ、警戒しながら中へ入るも中には誰一人として見張りがいなかった。
イバラ君を連れてきたのはまぁ、ある意味良かったかもしれない。隠し通路やら隠し扉やらを尽く使用し、最短ルートでこの大名の部屋まで来ることが出来たのだから。
薄暗い部屋の寝台には青白い顔をした…女性にも男性にも見える綺麗なお顔立ちの人が横たわっていた。そのパッと見性別不詳の美人さんは、イバラ君曰く大名のからたち ケイキョク様らしい。
死んでいるのかとも思ったが、弱々しいが息もしてるし脈もある。眠っているだけだ。が、声をかけても体を揺すっても起きないどころか全く反応がない。
「爪が青紫に変色してる…
豪快にも大名の布団を剥いで色々と観察するイバラ君のなんと頼もしいことか。豪快過ぎて怖いんだが…。生死が関わっている…かどうかは分からないけれど、大名相手にこの対応はなかなかよ。将来大物確定だね。
素早く薬箪笥を開け、何やら色々と調合しているイバラ君を感心して見ていると、カカシがクナイを持って背後の襖を睨んだ。
「ミノリ、イバラ、下がれ!」
「これはこれは…。探しましたぞイバラ様。
そんな薄汚い格好でどちらへお
「これは一体どういうことだ
襖を開けて入ってきたあからさまに悪役顔の老年男性は、驚いた様子もなく胡散臭い笑みでこちらを…というかイバラ君を見つめた。
ん?待てよ?イバラ "様" ? "爺" ??
「何故お前がついていながら父上がこんなことになってる!」
『父上?!』
「弁解の余地もありませんな。
ケイキョク様がお倒れになってからというもの、腕の良い薬師を探してはいたのですが、これがなかなか見つかりませんで」
イバラ君、大名のご子息だったのね…。親の顔が見てみたいとか思ってたけどもう会ってしまったわ。
なんで薬師の修行なんかしてんのか知らないけど、とにかくこれだけは言える。さっき手刀食らわせなくて良かった。
驚く私をよそに2人の会話は続けられる。
「……そうか、お前も分からないのか…。
ならばやはりこれはお前のせいだ」
「?
何を仰いますやら、爺はさっぱりですな。
それに、この国一の薬師であるケイキョク様を師に持つイバラ様こそ、こんな状態のお父上を放ってどこにいたんでしょうな」
「この眠顔の毒は黙秘を貫くためにと父上が開発したものだ。それを服用した理由を宿老のお前に言ってないということは、父上はお前のことを信用していなかったということだ。
そんなお前にあれこれ説明する必要はないな」
皮肉る爺元いおっさんに冷静に言い返すイバラ君に、もはや少年の面影はない。
おっさんは始終胡散臭い笑みを浮かべていたが、イバラ君に言い返されるとその笑みは凍りついた。口角がピクピクしているところを見ると、かなりイラついているようだ。ウケる。
「…………全く…お前ら親子は揃いも揃って…。
そいつはなぁ、せっかく金になる草や花があるってのに売らないなんてぬかしたんだ。それどころか加工方法も吐かずにそんなことになりやがって」
その後もぺらぺらと喋り続けるおっさん。
どうやら、この昏睡状態のケイキョク様を目覚めさせるためにと腕の良い薬師を攫ってきていたようだ。が、先程のイバラ君の発言と今のこの状況から察するに、ケイキョク様が独自に開発した毒なため、誰も解毒することが出来なかったのだろう。
こんなことならいっそ殺してやれば良かった!とぬかすおっさんをガン無視しながら調合を続けるイバラ君。この子…強い…!
「まぁいい…どうせお前なら治療できるんだろう?できないならばいっそ2人揃ってあの世に送るだけだがね」
『1人でよく喋るねあの人』
「あぁ、あれは昔からなんだ。…あんな欲にまみれた奴だとは思わなかったけど」
手際よく複数の薬草を……あの、あれ、よくTVで葉っぱをゴリゴリしてるやつあるじゃん、あれイバラ君曰く薬研というらしいに放り込んで粉末化させていく。
全く動じないイバラ君におっさんの怒りのバロメーターが振り切れたようだ。
おっさんが怒声と言うかむしろ奇声を発すると、奴の前に素早く2つの人影が降り立った。
「そんなに怒ってると血圧が上がりますよ、かやつり殿」
「も〜う、全然呼ばれないからまじどうしようかと思った〜!」
「ええい煩い!とりあえずお前らはあの部外者の2人を殺せ!そうしたら後はこのクソガキを痛めつけてでも治療させてやる!」
おっさん改めかやつりに雇われた忍のようだ。
糸目の細身の男性とギャル。どんな組み合わせだよ。
かやつりは足をダンダンと打ち鳴らしながら激おこだ。糸目の男の言う通り血圧爆上がりだろうな…。
今正に治療しようとしてんだから黙って待ってりゃいいのにね。そんなに八つ当たりしたいのかな。
『カカシ、行くよ』
「あぁ」
「うぉっ?!」
カカシがケイキョク様を、私がイバラ君を抱き抱えながら障子を蹴破り外へと飛び出した。
すぐに奴らが追ってくるのが見えたため、私とカカシはそれぞれ分かれて逃げることにした。
にしても、相手側も
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