第24幕
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「おや?お嬢ちゃん蕎麦が足りなかったかい?」
『いえ、今度は食べに来ました』
ついでだから私も引っ越し気分を味わおうと、先程蕎麦を買った蕎麦屋
人の良さそうな店主曰く、愛娘が生まれたのを記念してこの蕎麦屋を作ったらしい。夕暮庵という名前は、娘さんが生まれたのが夕暮れ時だったがためにつけたのだと。
「うちの娘はなぁ、夕方の月って書いて
「お父さんもうやめてよね、来る人来る人に同じこと言って!こっちは恥ずかしいんだからもう!」
特にこっちから何かを聞いたわけじゃないのに店主のおじさんは延々と娘さんの話をしてくる。恥ずかしそうにバシッとお父さんの背中を叩くその夕月ちゃんとやらは、お父さんに似た黒髪黒目の端正な顔立ちで、親バカになるのも仕方ないくらいの美人さんだった。
お父さんの方も、多少目元に小じわがあるものの笑顔の眩しいイケおじといったような感じ。
それにしてもかき揚げそばが美味しい…。っていうか蕎麦が美味い。今度来たら他のも食べてみよう。
「おじさん、こんばんは」
「おぉ、シスイ君いらっしゃい。今日もかけそばでいいかい?」
「あ、今日は報告だけしに来たんです…」
シスイ?
なんだか聞き覚えのある名前が蕎麦を頬張る私の耳へと届いてきた。
「オレ、やっと上忍になれたんです」
「おぉ!おめでとう!兄貴も誇らしいだろうな!」
『……おっっ…??』
上忍?…忍か。
懐かしいな、私もあんな風にミヤビちゃんに報告しに行ったわ。
名も知らぬ後輩を確認するべくちらりと視線を向けると、名どころか顔もばっちり知っている、まさかの影の功労者 うちはシスイがいた。急な邂逅に驚き5度見してしまった。
う、うわー!うちは事件も何とかしたいとは思っていたけど、そうだよね、イタチだけじゃなくてシスイもいたね!!あまりにも出会わないし名前も聞かないから完っ璧に忘れてた。
『わぁ!上忍昇格おめでとう~!』
「えっ?あ、ありがとうございます…!」
とりあえず、居酒屋にいるノリのいい客みたいなノリで一緒に祝っておいた。
『ごめんね、聞こえて来ちゃったのでつい…』
「あっ、いえ、むしろお騒がせしてすみません」
何この子いい子…!うちは一族は総じて幼少期いい子過ぎない??あ、幼少って年齢でもないか。
『会ったのは初めてだけど、噂はかねがね聞いてるよ。すごいね、こんなに若いのに上忍だなんて』
「いえ、そんな…。…ところであなたは?」
『あ、ごめん、私は長谷部ミノリ。ここで会ったのも何かの縁ということで、よろしくしてくれると嬉しいな』
突然話かけられやや戸惑いつつも彼は応対してくれていたが、私が名乗ると急に挙動不審になり店主と私の顔を交互に見比べ始めた。
え、何?この店主も私と同じ名前なのか?驚き方からして下の名前だけでなくフルネームがぴったり一致したかのような反応だけども。
「あ、あなたがあの長谷部ミノリさんですか!?5歳で上忍に昇格したとかいうあの?!!」
『…ん?5歳??待って誰それ???』
「おじさん、知ってました!?こんなにすごい人がこんな蕎麦屋にいらっしゃっているんですよ!!??」
『辛辣だな君』
「すごいなこりゃ。サイン貰っちゃおうかなサイン」
なんてカオスなんだ!
なんか噂にめっちゃ尾ヒレついてるし!5歳はミナトと出会った年齢だが!!??
そしてシスイってこんなにテンション上がる系のタイプだったのね?!クールな一族だと思ってたから、オビトはDNAが突然変異したのかと思ってたけど…。まあでもそうか…イタチの「俺はお前のスペ↑アだぁ↓」とかマダラのフルフルニィ…は違うか、まぁでもマダラもわりとクールにテンション高めだし、きっとそういう一族なんだな、うちはは。
「あはは…失礼しました…」
『や、慣れてるし別にいいよ。てか、年近そうだし別に敬語じゃなくていいよ』
「あ、じゃあ遠慮なく」
私が引き止めてしまったがために、結局シスイも私の隣で蕎麦を食べ始めていた。私も第2ラウンドということで、デザートに蕎麦がきの黒蜜がけを頼むことにした。
『そういえば、この蕎麦屋の店主と仲良いんだね』
「あぁ、叔父なんだ。オレの」
『はぁ…叔父…なるほど…。…叔父!??』
うちはなの?!ここの店主!!
なるほどだから親子揃って黒髪の映える美男美女だったんだねーって気付くかい!!!!
だってまさかうちはが蕎麦屋営んでるとは思わないじゃん!!
ここ最近で1番の驚きだったわ。
「ふぅ~。ご馳走様、叔父さん」
さすが育ち盛り。めっちゃかけそば食っとった。どのくらいって、たぶん4~5杯は食べとった。
恐るべし二次元。見た目がこの店に来た時と全く変わらない。胃袋の中に時空間忍術仕込んでいるのでは??という感じ。
「今日は色々とありがとうな、ミノリ。あんたと話せて良かったよ」
シスイは、マジ私リスペクト!という感じで結構快くお話をしてくれた。色々と話をしたのだが、話の流れでイタチの話題が出てきて、そういえばシスイはイタチの親友だったなーとか、シスイもうちはのクーデターを止めようと画策していた内の一人だったなーとか、色々と思い出せたので本当に私も今日シスイに会えて良かったなと思う。
そしてそんなきっかけを作ってくれたナルト、お前には今度一楽のラーメンを奢ってやろう。
シスイは私と同時期くらいにイタチと出会ったらしく、手裏剣術やら追跡術などを教えてあげていたらしい。サスケもリスペクトしていたイタチのあの手裏剣術はシスイから教えてもらったものだったのか…。
イタチが中忍となってからは前ほど頻繁に会わなくなり、私も任務やら何やらあって最近はもうほとんど顔さえ見ていない。会わなくなって優に3~4年は経ったのではなかろうか。
あの子は今頃何をやっているのだろう。イタチが5歳の時に初めて会って、あれから…おー、もう7年経過してるのか。てことはもう12歳…。時が経つのは早いなぁ。
『今度はイタチ君も交えて3人で会いたいね』
「あぁ、今度は皆で美味い和菓子でも食べに行こう」
次はイタチ本人から近況を教えてもらいたいものだ。
なんて、お互い忙しい身でそんな簡単に叶うはずもないのに、つい願ってしまうのは調子が良すぎるだろうか。