第23幕
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ただいまー…ってあれ、なんだかこの部屋ちょっと生臭くない?」
ギクッと肩を震わせ顔を見合わせる私とクシナ。
医療忍術講座の後に軽く掃除はしたけれど、匂いが残っていたからと封印術講座終了後早々にリンを帰し、私とクシナで消臭剤を買いまくってお掃除大会第2ラウンドと洒落こんだ。…のだが、私達の努力も虚しく、完璧に匂いを消すことは叶わなかった。
というか、私達がこの匂いに慣れてしまったがために、消えたかどうかがもはやよく分からなくなっていたんだと思うんだ。
「つっ………つみれ鍋作ったからじゃないかしら…オホホホホ」
そっ…そうだそうだ!嘘は言ってない!
すかさず鍋とコンロをテーブルの真ん中にセットし、ミナトの着ていた火影マントを脱がせて席へと促す。
私の部屋で遊んでいるナルトに声をかけ私も席につくと、クシナがそれぞれの器にご飯とつみれをよそってくれた。
「ぅおっ?!!ッだァーー!!!?????」
『ぅおぉ、ナルト大丈夫?』
リビングに入ってきたナルトが視界に入ると同時にそのまま視界からフェードアウトしていった。なんというか、フッと消えた。段差に躓いたのかな?危ないな。
「もうなんなんだってばよこれはァー!!!!!!」
「何って……、!!!」
「それは…」
怒りながら上体を起こしたナルトが手に持っている物を見ると、哀れな魚君の成れの果て元い魚の内臓がそのちっちゃなお手手に握られていた。う、うわー!!えんがちょだ!ナルトえんがちょー!!!
という冗談はさておき、キッチンを越えた場所に落ちてた魚の内臓はばっちりミナトにも見られてしまった。
さてどう誤魔化す?どう誤魔化す?流石に物的証拠を見られたからには生半可な言い訳では通用すまい。いっそクシナと共に踊りながらつみれを作っていたとでも言おうか?いや待て冷静になれ私。例え踊りながら作っていたとして、そんなド派手に魚の臓物をぶちまけたことの説明にはならんだろう。
どうする…?
どうする?!
「実を言うとね…」
一瞬の沈黙の末、クシナが言いづらそうに口を開いた。
今日はリンと3人で術の教え合いっこをしたのだと。そんで私が魚をことごとく吹き飛ばすものだからインスピレーションが沸いた結果今日の晩ご飯が魚のつみれ鍋となったのだと。
私が吹き飛ばして場外へ吹っ飛ばされた魚の切り身…というかすり身というかを2人に食わしていることは上手いこと伏せていたのは流石だったわ。
『掌仙術がなかなか上手くいかなくて…はは』
「あはは、君にも苦手な忍術があるんだね…。安心したよ」
そう言われると悔しいな。ミナトのことだから別に煽ってきてるわけではないとは思うんだけど。
それはそれとして普通に悔しいので絶対習得してやろうじゃんよおおん??!!
「えー!ミノリと母ちゃん、リンねーちゃんと一緒に忍術のしゅぎょーしたのか?」
ずるいってばよ~…としょんぼりするナルトにしょぼんと垂れる耳としっぽが見えた気がする。
ナルト、リンのこと大好きだもんなぁ。修行がずるいのかリンと一緒にいたことがずるいのか。…両方か。
「ナルトは今度オレが修行を見てあげるよ」
「……ほんとにィ~??」
『ぶほっ』
疑いの眼差しをミナトに向けるナルトが面白可愛くてつい吹き出してしまった。
ミナトがこう言って実際にナルトの修行を見てあげたことは数える程しかない。まぁ現役で火影やってるからそれはしゃーないことだし、ナルトもそこはちゃんと弁えているしでなんやかんやこうグレずにスレずにここまで育ってくれたんだから。
『父さんがダメなら私が見てあげるよ』
幸い私の時は、戦時中で多少は忙しくはあるもののミナトが火影じゃなかったからほぼほぼマンツーマンで叩きのめされ…じゃなくて修行させてもらったからね。
今アカデミーでどんなことをやっているのかはわからないけど、たぶん簡単な術なら教えることも出来るだろう。座学は無理だが。
とは言え、私も上忍だしミナトほどではないにしろそこまで暇でもないので、影分身に任せることにはなるかも。ナルトに言ったら拗ねられるから言わないけど。
まぁ私も練習しなきゃいけない術ができたし、今度休みがナルトと被ったら一緒に修行しようかな。…ナルトの傍らで魚を吹き飛ばしつつ。
何度でも言うけど、こんな幸せな世界がずっと続いて欲しいものだ。