第23幕
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『ッヴァアアア!!!!????』
真昼間の部屋にとんでもない叫び声が響いた。
『いいよね医療忍術、やっぱリン尊敬するわ』
事の発端は私のこんなぼやきだった。
クシナとリンと共に休日を謳歌していた時に、目の前で転んだ子どもの擦り傷をリンが医療忍術で治療してあげていたのだ。
特に何か意図があるわけではないが、ただ便利だなぁすごいなぁと思ったことがつい口をついて出た、ただそれだけのことだった。
そしてそのまま、自分が使えない術とか技ができる人は基本的にすごいよねという話となり、お互いで褒め合い術の解説とかやり方のプチ講義が開催されたと思ったら、そのまま医療忍術と封印術の講義がガッツリ開催されたのだ。
講師はもちろんリンとクシナで。
魚屋で何匹か魚を買い我が家へと向かう。ミナトは仕事、ナルトは今年からアカデミーへと通い始めたため家には誰もいない。つまりやりたい放題。……さらに言い換えれば止める人がいないということなんだけど…。
「じゃあまずは医療忍術からでいいかな?」
魚は鮮度が命!ということでリンの医療忍術講座から開始となった。
原作でサクラは死んだ魚を生き返らせていたが、医療忍者になるわけでもないからと、とりあえず切り傷や擦り傷を治せるぐらいを目標にするようだ。
レベル別で表すと、小さな切り傷、擦り傷の治癒がレベル1。
骨折や、筋肉、腱などの断裂の修復がレベル2。
そして、切断された部位を接着したり、体に空いた風穴を塞いだりなど複雑な処置がレベル3なのだそうだ。
「どんなに優れた医療忍術でも、死者を生き返らせることはできないとされてるんだ」
出来たとしても、それは医療忍術ではなく何かの禁術とかの部類になるのだと。
原作でも死者を生き返らせたのは長門、オビトの輪廻天生の術とチヨバアの…名前は忘れたけど我愛羅生き返らせたやつと、あとブラッド・プリズンでナルトを生き返らせたあの術ぐらいだよね。
竜舌のあれは血継限界だし、チヨバアはチヨバアオリジナルの術、長門のはチャクラ消費が激しいとかだよね、確か。そう考えると禁術なのはチヨバアの術くらいかもだけど、他者を生き返らせた結果全員死んでるわけだから、全て禁術と言っても過言ではない。
「2人には医療忍術の中でも基本の基本な掌仙術にチャレンジしてもらうね」
まずは見本から見せるね!と徐ろに包丁を取り出したリンは、広げた新聞紙の上でぴっちぴっちと跳ねる魚を押さえつけ意気揚々と切りつけた。
跳ねる魚と飛び散る血に内心どころか派手にびびったのは言うまでもないでしょう。
そしてそんな哀れな魚君に両手をかざして暫くすると、みるみるうちに切り傷が修復されていく。
『おぉ…!』
「手のひらを通して傷口にチャクラを送って、その部位の治癒力を飛躍的に高めて治すっていう原理なんだ」
「なるほど…繊細なチャクラコントロールが必要になるわけね…」
人にチャクラを分け与えるから、無駄のないよう微細なコントロールをするってこと?かな。
うっわー私それ無理じゃん。
「自分で言うのもなんだけど、ガサツな私達には無理な話よね…」
『それ私も思った』
とは言え、やる前から諦めるのもリンに申し訳が立たないので、再度リンが切りつけた魚に両手をかざし手のひらへとチャクラを集中させた。
チャクラによる活性化で身体能力を飛躍的に上げるという瞬身の術の応用で、私はよく視力や瞬発力など諸々の身体能力を上げているけれど、あれは任意の部位にチャクラを集中させるだけだからね。しかしながらだよ。放出なんて水上歩行以外でやったことなんてないわけよ。ましてや人にチャクラを分け与えるだなんて。
「あれ、そういえば、前にミノリが私にチャクラを流し込んでくれたことがあったんだけど、あれもこの掌仙術の一種なの?」
『ん?そんなことあったっけ』
「えっと…状況が分からないから何とも言えないけど…」
クシナ曰く、九尾を抜かれた際にチャクラも喪失して死にかけていたところを私が多量のチャクラを流し込んで事なきを得たのだとか。
あー…そんなこともあったなぁ……あったわ!!人にチャクラを分け与えたこと!!
「まあでも、チャクラの放出の仕方はそういうことだと思う」
『…なるほでょ』
と言ってもなぁ…あの時は無我夢中だったからなぁ…。
あの時の状況を今と重ねてみればいいのか?
むむむ…この魚はクシナ。この魚はクシナ…。この魚はクシナ…。
『うわっ、そんな顔で見ないでクシナさん…』
「は?」
『ってかちょ、クシナさん…!血が跳ねるから落ち着いてよ!』
「ミノリあんた…」
殴られたのは言うまでもない。
さて、冗談はさておき、リンも一生懸命教えてくれていることだし真面目にやるとしよう。
とりあえずチャクラを手に集中させ、魚君に分け与えるつもりで手から放出する……。
私の両手と魚が黒い光に包まれたその刹那──
パァンッ!!!
『ッヴァアアア!!!!????』
切り傷が治ったかと思えばその後ぼこぼこと膨れ上がり、そして弾け飛んだ。容赦なく色んなものを飛び散らして。
リン曰く、小さな体にチャクラを流し込み過ぎたことが原因なのではなかろうかとのことだ。普通の人がやるのと違って人柱力…というかもはや尾獣なのだが、そんな私がほぼ無尽蔵と言っても過言ではないほどのチャクラをねじ込んでしまったがために、体が耐えきれず四散したのだという。
そんなグロテスクなことある??あってたまるか。
「わ…私も一歩間違えたらこの魚みたいになってたのね…」
あの時はクシナの体内にはチャクラがほぼ無い状態だったから私がチャクラを入れても大丈夫だったようだけれど、あのまま流し込み続けてたら……ひぃ…。
これは意地でも習得せねばならないぞ。
でなければ第二第三の哀れな魚君を生み出すことになってしまう。
『………うぅ……』
生み出しました。見事に第二第三第四第五の哀れな魚君を。とは言え、第一の被害魚と比べて四散もだんだん控えめになってきたので、多少は進歩もして来ているのだろう。…と思いたい。
「じゃあ次は私の番ね!」
買ってきた魚は揃いも揃って私のせいで台無しになってしまったため、部屋の掃除をして次はクシナを講師としての封印術の講座が開かれることとなった。
ちなみに哀れな魚君達は今夜つみれ鍋にされる予定だ。※スタッフが美味しくいただきました、ってやつ。ちゃんと綺麗さっぱり食べないと愛魚団t…じゃなくて愛護団体から訴えられちゃうからね。
「あなた達には簡単な封印術と、遭遇したら必ず逃げなさいってぐらい危険な封印術いくつかを概要だけ教えるわね」
遭遇したら必ず逃げなさいってぐらい危険な封印術…??なんだか初っ端から雲行きが怪しいが??
まず最初に教わった簡単な封印術というのは、
この術は、術発動時のチャクラの流れにこちらのチャクラをぶつけて相殺することによって術を妨害し、結果としてその術を封じるという回りくどい術なのだそうだ。例えば、火遁豪火球発動中の相手に使った場合、相手はその豪火球のみを解呪するまで使えなくなるのだとか。
クシナが言う通り印や発動条件は簡単なのだが…。
「相手に触れなくちゃいけないとなると、私みたいな後方支援の忍には難しいですね…」
そう。印を組んで術発動中の相手に触れなくてはこの封印術は意味を成さない。つまり、相手に近づけるほどの実力をそもそも持っていないとお話にならないのだ。
しかも、相手がその術を使用しようとする度に、その術の発動に必要なチャクラ量と同じだけのチャクラを相殺により喪失するため、下手に使うと、相手がその封じられた術を連発することによりこっちのチャクラが全部持っていかれるなんて事態にもなりかねないらしい。そんな使い勝手の悪さから、この封印術はうずまき一族では禁術扱いされているそうだ。
まあでも、
『私は無駄にチャクラ量多いし、飛雷神を使えば敵への接近もできなくはないね』
「だと思ってあんたに教えてるのよ」
やるかと言われるとう~ん…って感じだけど。
何度か変化の術や分身の術を対象にしてリンに練習させてもらったが、本当に簡単な術だった。印を組む時に多少はチャクラを練るが、相手に触れると触れた手から控えめな呪印が伸び、リンが術を使おうとするたびに自動的にチャクラが…なんと言うか引き落とされている感覚。まるで口座振替。いや、効果的にはデビットカードに近いのか。
「あと、これは割とよく使うし汎用性の高い封印術だから覚えておいて損はないわ」
んで次にクシナが教えてくれたものは四象封印。
ナルトや私だけでなく、三尾封印のためにリンにも使われている術だ。
ただ封印するだけでなく、術式を組み替えることでナルトのように尾獣のチャクラを自分のものへと変換することもできるし、四象封印をただ重ねがけするだけでも封印は強固なものへとなるのだという。
これを学んでおけば、いざ封印が緩んだ時にも自分で対処が可能となるし、いいものを学べた。そんなに難しくもないし。先人達の知恵ってすげえや。
さて、ここからは打って変わり、遭遇したら必ず逃げなさいってぐらい危険な封印術講座だ。
つまるところ禁術だよね。超がつくほどの。
「間違ってもあなた達がやらないように印とかは教えないけど、名前とどういった術なのかぐらいは知っておきなさい」
『やらないよそんなほいほいと』
「あんたが1番やりそうだってばね!」
信用ないな私。
日頃の行いだね、自分で言うのも何だが。
クシナが一番に教えてくれたのは屍鬼封尽だった。原作でももはやお馴染みの術だね。
「術が発動すると同時に死神と契約が交わされるとされていてね、相手の魂を封印することができるの。私はやったことがないから封印された魂がどうなるかは分からないけれど、一説では死神に食われるとされているわ。
ただし、術者も確実に死ぬけどね」
そして術者の魂もまた死神に食われるのだという。
封印した者もされた者も、死神の腹の中で成仏することなく永遠に争い続けるらしい。
私は絶対やらないけどそんな術……たぶん……でもあなたの旦那さんそれ使ってませんでした…?
「次に教えるのは裏四象封印よ」
「さっき教わったものと同じですか?」
「いいえ。"裏"四象封印はね、あらかじめその封印式を刻んでおくことで、術者が死んだ時に周りの物質を巻き込んで封印してしまうという術よ」
なるほど。とんでもおっそろしい術ではあるが、この争いの耐えない忍の世ではとても合理的な術だ。たとえ死んでも相手を道ずれにすることができるのだから。ただでは死なないとはまさにこのこと。
「ただし、自分ごと封印されてしまうから情報を持ち帰ることもできないしで禁術扱いになってるわ」
木ノ葉創立前の戦争では、捕虜になったら敵陣のど真ん中で発動するよう自害したりだとかわりと汎用化していたらしいが、千手とうちはが和平した後に見事禁術指定を果たしたそうだ。
『なるほどなぁ…』
ほんとこの世界って訳分からない超危険な術がいっぱいだよね。だからこそもっと強くならなきゃいけないと思うし、こういう知識も付けとかなきゃならないとなって思うんだけど。
……それはそうと、禁術指定される理由も術によって様々なんだなぁって。多重影分身の術と、さっき教えてもらった封術法印はチャクラ切れするやつがいるからだし、裏四象封印は情報持ち帰れないからだし、イザナミは反省して受け入れればOKという逃げ道があるからだし、そう考えると禁術ってわりとユニークだよね。
.