第22幕
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「かーちゃんってばオレだけ置いて!
どこに行ったんだってばよ!」
砂パックをやりに行ったことは伝えたし、砂パックがどんなものかというものも教えてはいるんだけれど、案の定ナルトは理解できないようで先程からプンプンと憤っているようだ。
というわけで、リンとオビトにはクシナの護衛をしてもらい、私はナルトの護衛をしつつちょっとその辺を2人で散策することにした。
「うえー、ほんとに砂しかねぇってばよ…」
『まぁ砂の里だからねぇ』
ナルトがどこかへ行かないようしっかりと手を繋ぎながら宛もなく彷徨う。
ナルトがつまらなそうに顔をしかめるのも分からなくはない。見るものと言えば砂と壁と、同じ色、見た目の建物しかないのだから。
『ん?あれは…』
「オレもやりたい!」
数人の子ども達が楽しそうにボール遊びをしている。
混ざりたいとか言ってるナルトの背中を押して、私は端っこでその様子を見守ることにした。
他里の住民であるためあまりいい顔はされなかったけれど、持ち前の明るさからすぐに輪の中心になり、仲睦まじい様子で遊び出したので良かった。
そんな中、1人が何かを見て顔をしかめ、ナルトを除いた他数名の子ども達も釣られるようにあからさまに嫌な顔をした。
彼らの視線を追えば……あぁなるほど、クマのぬいぐるみを抱えた我愛羅が仲間に入れてもらおうと立っていた。
「あの…僕も仲間に…」
「が、我愛羅だ…!」
「逃げろ!」
脱兎のごとく子ども達は逃げ出し、ナルトだけがぽつんとその場に残される。
「あっ……」
「な、なんでみんな逃げるんだってばよ〜!」
流石ナルト。いい意味で空気が読めない。子ども達が置いていったボールを抱え眉を下げている。
そしてそんなナルトの後ろであからさまに俯き悲しい顔をする我愛羅。まあそうだよね…話しかけた瞬間逃げられたら傷付くよね…。
「お前さ、」
ナルトが声をかけると我愛羅はビクッと肩を震わせ持っていたクマのぬいぐるみを落としてしまった。え、そんなビビる?
「ボール遊びってできんのか?」
「……え…?」
「それとも…ほら、落としたぞ。このクマで忍者ごっこでもするか?」
クマのぬいぐるみを拾ってずいっと差し出せば、我愛羅はその大きな目をさらに大きく見開いて、ぼろぼろと大粒の涙を流しながらか細い声で呟いた。
「ぼ、僕と一緒に遊んでくれるの…?」
「な、なっ!??なんで泣くんだってばよォ!!???」
「ご、ごめん…。僕……1度も誰かと一緒に遊んだことなくて…」
いつまでも泣き止まない我愛羅と、おろおろと狼狽し、そして助けてほしそうにこちらへなっさけない視線を向ける我が弟にさすがに助け舟を出してあげることにした。
『そんなに泣くと干からびちゃうよ。
私はミノリ。こっちは弟のナルト。君は?』
「……が、我愛羅…」
『そっか。よろしくね、我愛羅君』
名前を呼びながら握手をするべく手を差し出せば、先程まで泣いていたのが嘘のようににっこりといい顔で我愛羅は笑った。
トゥ、トゥンク…!かっ…可愛い…!!!
完全に不審者路線に走りそうになる思考とは裏腹に、務めて平静を装いながらナルトの背中をぽんと押した。
『君が良ければなんだけど、私達の滞在中はナルトと一緒に遊んでもらえないかな』
*
*
*
「そんで!そんで!木ノ葉には一楽っていうめっっちゃ美味いラーメン屋があるんだってばよ!」
3人で名も知らぬ少年達のボールを勝手に使い遊んだ後、休憩と称して互いの里の情報交換をすることになった。することになったと言うか、話の流れでそうなっただけなんだけど。
「僕もいつか行ってみたいなぁ…」
『うん。もう少し大きくなって、火の国と風の国の同盟がもっと安定した頃においでよ』
ナルトはひたすらラーメンとか団子とかケーキとか食べ物の話ばっかしていたから、我愛羅が木ノ葉に来たいと思ってくれたポイントがどこかはちょっとよく分からないんだけれど、まあ2人とも楽しそうだし突っ込まないでおこう。
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