第21幕
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『おっ』
2人とも無事に里に着いたみたいだ。本当ならばその日中に報告を済ませて休みたいところだが、まあこういうこともあるよね。
隙間風の吹くその建物を出る。ぼろぼろすぎて中も外も寒さは変わらずだ。
気になることがあったから少し調査をしたかったのだが、2人にガクを任せて帰すのは些か心配だからと実は影分身を一緒に帰していた。
木ノ葉には飛雷神の術式があるから一瞬で帰れるし、最悪オールになったとしても明日から連休を絶っっ対にもぎ取ってやるから問題ない。
『でも…。
まさかまだ氷漬けのままだったとはねー』
我が力ながら恐ろしいもんだ。正確には私がやったわけじゃないから他人事だけど。
フタバちゃん達と合流した氷の森だと思っていたこの神秘的な場所は、よーく見たら実は派手に氷漬けにされただけの村だったのだ。
気付いた瞬間、ミナトに拾われて三代目に聞いた話が記憶から呼び起こされたよね。
雨隠れの集落を一晩で氷漬けにしたとかなんとかってやつ。
作った氷像を壊す時の要領で術を解けば、一斉に村中の氷がパーンという軽快な音と共に弾け、そして一瞬で雨に溶けて消えた。あれはなかなか爽快だった。
残った建物の中を1つずつ確認したけれど人の死体は1個たりともなかったので、きっと氷漬けにされる前にみんな逃げ出したんだろう。
いったいこの村と零尾に何があったんだろう?
村の中でも一際大きな建物の中に入れば、今まで氷漬けにされていただけあってそこそこ良い状態のまま保存されていた。
そこにあったタイトルすらない手書きの本曰く、零尾とは十尾の対となる存在のことで、元々は1つだったものが陰陽遁で分裂したものなのだそうだ。大地を作り上げた神樹元い十尾に対し、世界を取り巻く空気を作り上げ、神樹の行く末を見守るという役目を持つ零尾のことは神気と呼ぶらしい。零尾だったり氷結の獣だったり、そして新たに神気とかいうようわからん二つ名まで増え私はもう頭が
はーーー、まぁ……なんかよくわからないけれどよく出来てるわ。あー、だからあれね、九喇嘛とはそんなこんなで顔見知りだったのか。
フタバちゃん達と別れてから影分身が消えるまでの間に、ざっとここまでのことが分かった。
『………』
大雑把な零尾のルーツを知っても尚、まだこの寂れた村へと残って廃墟を漁っていた。
ルーツは分かったが、結局何故雨隠れのこの里を氷漬けにしたのかの理由が判明していない。気まぐれとかで一集落をまるっと氷漬けにしたのなら処刑とかされてもそれは然るべきだし。
あ、いや私がしたわけじゃないから処刑は勘弁してほしいけど。てか時効だよね。
『………何ここ…』
損傷が激しいためもはや牢としての機能を果たさなくなった座敷牢を発見し、何の気なしに中へと入ってみただけなのに全身が総毛立つような居心地の悪さを感じた。
無造作に足元に転がっている手枷と足枷にも嫌な感じしかしない。そっと触れてみただけなのに体内のチャクラは乱されるし、なんだこれ。
元々見ていて気持ちの良いものではないけれど、そうじゃなくてなんと言うか……嫌な記憶を思い出した時のような…。
まるで、私がかつてここに囚われていたかのように…。
トラウマが呼び起こされるような心がざわつくような、そんな感覚。
『ぅッ…おえっ…』
胃から込み上げてくるものをそのまま床にぶちまけた。
記憶にはないけれど、どうやら体が覚えているみたいだ。
細胞の一つ一つが拒否反応を示していたけれど、さらなる吐き気を我慢して座敷牢の隅に膝を抱えて蹲る。
すぐにでもここを離れたかったが、それ以上に零尾をもっと詳しく知りたかった。好奇心て怖いな。
『ッ……!』
突然襲ってきた強い頭痛に堪らず目を閉じると、瞼の裏に鮮明に誰かの視界が映り込んできた。
この牢の内側からの景色だ。ビビられたり蔑まされたり、他にも先程発見したチャクラを乱す枷をつけられ不当な扱いを受けたりなどなど。心底胸糞悪い映像がしばらく続いた後、牢の前へとやってきた謎のデb恰幅の良い男と何回か言葉を交わすと、狼狽したかのように視界が揺れ、また男に焦点が合ったかと思うと、その男は瞬間冷凍させられそして文字通りさらっさらの粉っ々に砕かれた。
そこで誰かの記憶は終わり、頭痛も嘘みたいに綺麗さっぱり消えた。
やっぱり零尾はここに囚われていたんだな…。
何の話をしていたとかは一切分からなかったけれど、あのデ…じゃなかった、あの男が零尾の敵だということは間違いなさそう。ここの牢の壊れ具合を見るに、あの後すぐに脱獄して、この村を氷漬けにして逃亡したんだろう。
村氷漬け事件の理由は分かったけれど、今度は何故零尾があんな扱いを受けていたのかが気になるところ。原作のナルトと同じ理由だろうか?疑問は尽きないな…。
つーか…。あの男の死に様…パッと見はそんなでもないけどよくよく考えるとグロいな…。もしかして……この村に死体が一つもないのってつまり………………。いや、これ以上考えるのはよそう。
なんだかどっと疲れた…。
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