君が大人になるまで待ってる
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この恋が実るのはいつになるだろう。
……というか、果たして実ることはあるのだろうか。
自信を持って「ある」と言えないだなんて、我ながら情けないよ。
僕がシナトに対するこの気持ちに気が付いたのはいつだったか…。
あれは確か……あぁそうだ、僕が初めて父上と一緒にマモノ討伐の任務に出た時だ。
父上がライネルを倒しに行ってる間に僕は近くの集落のボコブリンを一掃してたんだ。そしたら情けない叫び声が聞こえて、行ってみたら父上の討伐対象とは別のライネルと対峙したシナトの姿があってさ、そりゃもう驚いたよね。
その時は僕もまだまだ子どもだったし、ライネルなんかには到底適わないって分かってたけど、でも、咄嗟に……………あーー、嫌なことも思い出しちゃった。
もうこんな昔のことはどうだっていいよ。
はーあ。
にしても、彼女のことに限ってこうやってすぐに思い起こせてしまうことも、正直腹が立つ。
『浮かない顔してどうしたんです?』
「……無言で背後を取るなんて悪趣味だよ」
『私、ちゃーんと声掛けましたよ?今』
「…………。
……君の事を考えてたんだよ」
考え事をしていたとはいえ、シナトに背後を取られたことが悔しくて、少しだけ困らせてやろうと意地の悪い答えを返した。
嘘は付いちゃいない。
『……私の事…ですか?』
「あぁ」
『………ふーむ…』
「?
ち、ちょっとシナト?何してるわけ?」
『え?私が何かしてしまったのかと思いまして。心当たりを探してました』
「心当たりって探すものじゃなくない??」
少し困らせてやろうとは思ったけど、こんなベクトルで考え込むだなんて思いもよらなかった。
あーーーー本っ当になんでこんなやつ好きになっちゃったんだよ僕。
普通この年頃の女の子ってさ、「君のことを考えていたよ」って言ったら頬を染めるなり照れるなり何なりするよねえ?
僕は男だから実際どうかなんてわからないけどさ、でもこの反応はないだろ。
僕に男としての魅力がないってことか?
………いやいや、求婚なんて嫌という程受けてるし、それはないない。……ないはず。
そうだ。僕に問題があるのではなく、全てはこのぱっぱらぱーの脳内が子どもだからだよ。
『リーバル様…?』
私、やっぱり何か…?
と眉を八の字にして続けるシナトにまた苛立ちを覚える。
してるよ!現在進行形で僕の神経を逆撫でしてる!!
と、頭の中で怒鳴ったって仕方がない。
はぁ……。
「シナト」
『はい?』
「早く大人になってくれよ…。
出来るだけ早急にね!!」
ぽかんと立ち尽くすシナトを背に僕は空へと飛び上がった。
あんなこと言ったところですぐに何かが変わるとは思えないけど。
でも言わずにはいられないじゃないか。
ここまで僕を焦らしたんだ。
僕の手に堕ちてきたならどうしてくれようね?
そんなことを考えると、待つのも悪くないかななんて、自然と口角が上がった。
君が大人になるまで待ってる
(でもその先は、もう一秒だって待てないから)