Chapter4
夢小説設定
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私達とコナーが合流した時には、アリスとカーラの姿は既になかった。
車に轢かれたわけではなさそうなのでとりあえずは良かった。
「すみません、逃がしてしまいました」
「お前っ!!」
コナーは警部補と私に謝罪した。2人を捕えられなかったと。
パシッと乾いた音が響く。
コナーに掴みかかろうとする警部補よりも先にコナーに歩み寄り、ネクタイを掴んで引き寄せた顔に思い切り平手打ちをかませば、2人とも目を丸くし、警部補はそれ以上何も言わなかった。
『あなたが謝るべきなのはもっと他のことよ!』
「他?何のことです?」
眉を寄せながらネクタイを整えるコナーは、本当に何が悪かったのかを理解していないようだった。
『警部補も私も!誰の命も粗末にしたくないし!させたくもないの!
あなたはもっと自分の命を重んじなさい!!』
「私は機械ですから、粗末にする命がそもそもありませんよ」
何故私が怒っているのかを理解できないといった様子のコナーに、警部補は首を振りながら目を伏せた。まるで、こいつには何を言っても無駄だと言わんばかりに。
『揚げ足を取るのはやめて頂戴。
あなたには発言から意味を推測する機能はついていないのかしら』
本当に、彼には理解できないのだろうか。ただ理解しているフリをしているだけなのだろうか。
コナーのあの説明だと、きっかけさえあればアンドロイドは誰でも変異し得るということになる。つまり、人の感情を理解することも感情を持つことも、どんなアンドロイドだってできるということではないのか。
実際どうだかは分からないし、感情を持つことが良い事なのか悪い事なのかも当事者である彼らにしか判断できないので何とも言えないが。
『昨日も言ったけれど、あなたはもっと人の気持ちを考えなさい』
この世に失われて良い命など何一つない。
アンドロイドだってそうだ。壊れたら作り直せば良いのかもしれないが、感情や人格を得た個体であるなら、新たに作り出したところでそれはもう全くの別人なのだから。
『……心配したのよ、私も警部補も…』
「それは…すみませんでした…」
『たとえ人間ではなくとも、あなたを失いたくはないの。お願いだから分かって』
無意識に震える体に気が付き、震えを止めようと両腕を抱いた。
あれから10年以上経っているのに未だ体に染み付いている恐怖。交通事故だなんて、警察官である以上切っても切れないほどのことなのに。
ぽん、と頭に何かが乗せられる。
振り返ると、心配そうに見つめる警部補の姿があった。
「落ち着いたなら帰るぞ」
『あ……はいっ』
いつの間にか震えは止まっていた。
こんなことでは警察官なんてやっていけない。
そろそろ……私も自分の過去を見つめ直す時が来たのかもしれない。