月が綺麗ですね
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『どうせ、ジャパニーズの女なら誰でも良いんでしょ』
1人きりのコロニーで、あの日チップに言ってしまったそんな言葉を思い出した。
『はぁ?』
『チップは日本が好きなんだもんね。私じゃなくても良いんだ』
口が意思と離れて勝手に動く。言っちゃ駄目だと思ったのに。溢れて、溢れて、止まらない。
チップが日本を好きなのは分かっているし、嬉しいことだと思う。彼が日本を、ジャパニーズを好きじゃなければ、私みたいな凡人には目もくれてなかっただろう。
チップがジャパニーズなら誰でも良いと思っていたとしても、別にそれで良いじゃないか。結局隣に置いてもらえてたのは私で、むしろジャパニーズなら誰でも良いからこそ私を連れていってくれていたのに。
なのにどんどん我が儘になっていってしまう。チップに好きだと思われたい。私がチップを愛しているように、チップにも私を愛してほしい。
チップは皆のお頭だ。私には彼を独占する権利なんて無い。分かってる、分かってるよ。
『…面倒臭ぇ』
そう頭上から呟かれた言葉に、ぎゅっと胸が締め付けられた。
迎えに来てくれるのはアンサーさんなのだろうか、チップだろうか。チップなら良いな、と思いつつも、もし彼が来てしまったら会わせる顔がない。
早く会いたい、会いたくない。
アンサーさんに取り持って貰わなければ続かないこの関係に、何か意味はあるのだろうか。
早く会いたい。
こんな私の悩みなど杞憂だと、呆れた顔で笑ってほしい。グダグダ悩んで馬鹿だなって、そう言ってくれる事を祈っている。
3/3ページ