君は気づかないシリーズ
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君は気づかない
【俺もアイツもきっと、馬鹿】
この度は読んでくださり、ありがとうございます。
この話は、前サイトで掲載していたものを少し修正したものです。修正したとはいえ、誤字脱字等ありましたらご指摘をお願い致します。続きを読む
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君は知らない
【君は知らない方がいいんだ】
『君は気づかない』というお話の続編的なもの。バレンタインデーのお話。
サイトに掲載していたものを加筆修正したものです。誤字脱字等ありましたら、ご指摘をお願い致します。
(読了後推奨)
side:A
「……あれ?もしかして寝てる?」
思ったより時間がかかり、漸く待ち合わせ場所の図書室に慌てて来た。……のだが、どうやら待ち合わせの相手は夢の中のようだ。瞼を閉じて、気持ち良さそうにすやすやと寝息を立てている。
「遅くなっちゃ駄目だろーと思って早めに片付けてきたら、コレとか…………」
俺、試されてんの?
何が、って目の前で好きな奴が無防備に寝てる状況だよ!?えーっと、こう言うの何て言うんだっけ?生殺し状態っての?あ、寝ながらふにゃっと笑った……めっちゃかわいい……。じゃなくて、とにかく今ほんと辛いマジ辛い。頑張れ、俺の理性。
ただでさえ広瀬は男とは思えんぐらい綺麗だからなー……。この見た目と人見知り気味な性格で、なかなか友人が増えないって言ってたけど。
つーか、そもそも俺の用事ってのがコイツ関係だからな。
コイツに気に入られたい女子達がイベントを利用して、"友人"の俺にあわよくば橋渡し役をして貰おうとしてくんのを気づかれないよう、さり気なーく阻止して。
……ああ、疲れた。まあ、俺も馬鹿なりに無い頭使って考えてるってこと。
いずれ俺がコイツを渡してもいいだろう、って思える相手が見つかるまでこれは当分続けるつもり。……今のところ、やめようとは思わないが。
「うーん……今日一日疲れた顔してたし、寝不足だったんかなあ?取り敢えず一時間ぐらいそっとしとくかー」
こんなに健気な俺の努力に気づかずに呑気な顔で寝てるコイツは、きっと俺以上の馬鹿だなあ……本当、こんな俺に好かれるなんて馬鹿で可哀想で可愛い奴。
汚い心を隠しつつ、俺はこの光景を焼き付けるように目を細めた。
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