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主人公
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真夜中の本部。
無事私はレムとの取引を成立させた。
誓約書がある訳でも、録音がある訳でもないから保証はないが多分レムはそんなタイプでないだろう。
きっと優しい死神だ。
しばらく海砂と離れることになるから、様子を見に行きたいと言ったレム。もう少し話を聞きたかったのが本音だどこか切なそうに見えたのでこれ以上引き留めはしなかった。
「…ここにいてくれる方が私としてはいいんだけど、明日海砂はここを去る。彼女について行くことはしないの?」
「…明日にでも竜崎とお前に話してやるが、私は”事情”からここを離れられない。」
(事情?)
続きは夜が明けたらとでも言うように言い残し
壁をすり抜けどこかへ消えてしまった。多分海砂の部屋へ行くのだろう。
その”事情”も何か一つの鍵になる話なんだろうか…
そして何よりレムは意外にも優しくて「人間は夜眠るのだろう」と言った。私を気遣うレム。本当に夜が明けたら全てを教えてくれるつもりなのだろう。
少しイメージとは離れた死神だが、きっと彼女も人に触れるうちにほんの少し人らしさが身に付いたのかもしれない。
もう少し話を聞き、考察を進めたかったが海砂の様子を見たいと言うので、行かせる事にした。
…海砂の純粋さとレムの純粋さ。
この時間を通して容疑者とその発端に傷んだ精神を救われるとは思わなかった。
(死神からの証言はだいぶ大きい。アドバンテージね?)
ガラスの向こう、白銀に煌々と光る満月を1人眺めた。
あと少し…あと少しで終わらせられる。少し安堵し、もう一つのことに考えを巡らせた。
-----You're the only one I'll ever love for the rest of my life.-----
彼の甘い、低い声とこの言葉。脳裏に焼き付いて離れる事はなかった。
----------この先、永遠に伝えられなくなる可能性もあると一刻も早く伝えたかったんです。
それは…私も同じだった。
条件を果たさなければ、レムに殺して良いと約束をした。自分が死ぬ事は怖くは無い、躊躇いもなかったが、この先永遠に伝えられなくなる…
Lの声とこの言葉。胸に強くつかえ、嗚咽しそうだった。
死神が人に触れ、人らしさが身についたと考えたけど…それは私達もなの……L?
あまり人とは接しなかったけど、今件でたくさん人に触れ話した。…人らしくなったのだろうか?
ガラスの向こうの満月。
「………っエル」
小さく呟く。
「はい」
「っいつからいたのよ!」
「今さっきです。あなたが自分の部屋にいないので全てのフロアを探しました。
…今日は満月は凄いですね。」
建設を決めた時ここを迷いましたが、ガラス張りにしてよかったです。なんて良い、裸足でぺたぺたと歩み寄ってくる。
「…竜崎。レムと取引に成功したわ。明日にでもあなたと私に詳細を教えてくれるそうよ」
「!」
「そうですか、やりましたね。全て上手くいったときの為の手配や交渉もほぼ済んでいます。」
「そう…さすが世界のLね」
「あなたこそ。Lに並ぶ探偵は死神をも取り込むか。…話は聞きたいところですが、もう夜遅い。ナナも休むんだ。」
戻ろうと言うLが先にくるりとエレベーターの方へ踵を返したので、思わず白いシャツの袖を掴んだ。
「?」
「……L、昨日の話…」
はっとして私に向き合ったL。
「ナナ…私は答えを出させる気はありません。」
「違うの…その…」
「私が言わないと気が済まないので言った。それだけです。」
「……私もあなたが好きなの」
こんな事は生涯人に言うことが無いと思っていたので、思わず濁すよう伝えてしまう。
もちろん男性経験がないわけではないが、それは捜査のためのハニートラップや心理戦の為で。
ましてやLを目の前にこんなことを言う日が来るとは思っていなかった。
「…今なんと?」
信じられない、と言う顔を見せたL
-----… I want to love your entire life.
“あなたの生涯全てを愛したい”
目を開いて、私の目を捉えて離さない。
驚いたと言う顔なのか、信じられないと言う顔なのか。
Lがこんな表情を見せるのは多分初めてだろう…。
「…Really?」
「……えぇ」
「…今人生で1番幸せです。」
「…もう!」
深夜、満月に照らされ、私達は見つめ合った。
「照れる顔すら美しい…」
瞬きする間すら惜しいですね、とLは小さく呟き私を見つめた。愛おしい人を見るような、優しい黒い瞳は私から視線を外さない。
「っえる…」
「はい」
「っ、こんなところで…」
「私はやっと言えたんです。そして、あわよくばと羨望したあなたからの返答。嬉しくない理由などない…」
私の頬に手を添え、やっと触れられると言わんばかりの表情。
「…私への気持ちに返事をくれた事で私はあなたをより求めてしまっている事が色々ありますが。全て片付けてからにしましょう。」
だが、今夜くらいは許されていいだろうと言い、
まるで私をエスコートするかのように歩き出し踊り場を降りる階段へと足を踏み出した。
Lが先に二段ほど降りて、1番上に立つ私を見上げるように振り返る。
「まるで教会のようね、どうして最上階にこんなフロアを?」
「今日のためですよ」
「…そんな訳ないでしょう」
「あなたが…いや厳密に言うとあなたと夜景や夕陽を見られるようです。日本は四季があるので各景色を見られると思いました」
「…じゃあ今日の為も嘘ではないわね」
「結果論です」
2人でくすくすと笑った。Lは手を差し出したのでその手に自分の手を重ね月明かりの照らす階段を降りる。階段を降りきると一度手を離し私の腰へと優しく手を回しエレベーターに乗った。
2つ下の階、21階のボタンを押す。
「21階?私の部屋は20階よ?」
「私の部屋ですよ」
エレベーターを降りてすぐ正面の扉横の暗証番号を素早く入力するとまた扉。今度は手のひらをかざし、UNLOCKの電子的な文字とピピッと小さな電子音。
「……いつの間に?」
あちこちに花を飾られており、ガラス窓の向こうにはネオンが光る夜景、東京タワーが見えた。ベッドには花びらが散らされていた。
天井から降り注ぐように吊るされたスワロフスキーの装飾が揺れ動いて艶めく。
まるでサプライズルーム。いや、それ以上だろうか。王国の皇女の部屋程かもしれない。
「…いつかあなたの為に使おうと思い、用意していたんです」
だからか花達は全てプリザーブドフラワーやソープフラワー…香りの良い、石鹸で作られた花。
「私が最初に入った時、一つだけ扉が二つもある部屋があると思ったけど、機密情報や証拠品等を保管する為だろうくらいにしか考えてなかったわ」
「…最初からこの部屋を作るつもりでした」
「…エル」
「失礼」
私の身体を軽々しく持ち上げ、ベッドへと運んだ。散った花びらがふわり、舞う。
「前にも言ったけどあなたそんな力があるのね?」
「私はこう見えて身体能力も高いんですよ」
私の横にエルも横になる。
「…エル、ありがとう」
「こんな最高の形であなたを招く事になるとは思っていなかったのでこの上なく喜ばしいです。」
やっとこうする事ができると私の背中に手を回し抱き寄せる。その手は少し震えた。
私達探偵はいま一つの事件の犯人を捕らえる一歩手前。多分こんな事をしている場合でもないんでしょうけど、死神に命を賭け、キラもどういった策で私達を殺そうとしてくるのかは分からない、いつ死ぬか分からない状況下。
もしかしたらLとこうしていられる時間も最後かもしれない
「そんな顔しないで」
「…もしかしたら最初で最後かもしれないと思って」
切ない顔を見せる、L。
もしかすると私もLに同じ顔を見せているのだろう。
「それは否定出来ませんが、まだ是が非でも死ねませんし、あなたを殺させません」
Lの言葉にはっとした。
「…えぇ、そうね」
だから今だけは許されたいと願う。
「…明日から大詰めだ。もう休んで…」
おやすみ、と言う代わりにどちらからともなく、口付けを交わす。
…レモンキャンディの味。
----レモン…まだホテルを本部にしていた時、あの時の口を塞ぐ方法はこれしかないと言ったのはこういうことだったのね……
甘ったるい空気と、私の髪を撫でるLに身を任せるようにして意識を手放す。
Lもうとうと…としているようだった。
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探偵達の甘美