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主人公
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深い夜。
幾つも不規則に並んだタイルは雨粒を浴びて艶を帯び、ただこの静かな暗い夜を表す。
小洒落た街灯達はただその不規則なブロック達を照らし、ここはヨーロッパの歩道と言わんばかりの街並み。
その真ん中を真っ直ぐにカツ、カツ、と心地の良い音で響く。ハイヒールの爪先に水飛沫が飛び交う。
身元も明かさない。
どこにも居住しない。
それが世界に名を馳せる探偵達の生き方だった。
危険と誰かの恨み、誰かの歓喜。
その狭間を生きる世界の名探偵達。
「久しぶりですね。」
後ろから伸びる猫背の黒い影と聞き馴染みの深い声。
声色ひとつ変えず、感情も込めずただ吐き出された久しい声。
「こんなところにどうしたの?」
「まさか。ヨーロッパはあなたの担当部署です。」
「そんな取り決めはしたかしら?」
「確かに…誓約はありませんね。」
私はひとつ事件を追った後だった。
厳重なセキュリティをかけられたホテルに数日宿泊していくだけのつもりで今日は最終日。明日にはチェックアウトの予定。
何重にもなりすまし、何重にも化ける。
しかしどういうわけかこの世界一の名探偵 Lは私の居場所を突き止め、私を探しに来たらしい。
全く、何をどうして探偵同士鬼ごっこをしなくてはいけないのだ。
「まさか。担当部署の交代か配属員の見回りにでもきたわけ?」
「単刀直入に言います。力を貸して欲しい。」
私の背後の男は淡々と少し力を含んで言う。
一体どうしてこの世界一の人間に私が頭脳を貸す必要があるのだろうか?と疑問ではあったが非常に珍しい事ではある。
通信機器越しに、お互い顔を見る事なく真っ白な画面と真っ暗な画面越しに助言を二言、三言することはあったが、本人が直々にわざわざ私を探し出してまで協力要請にやってくるなんてこと今までにあったのだろうか。と何が起きているのか、興味が湧いた。
パキンと飴を砕く音。これもまた聞き慣れた音。
相変わらず糖分に毒されている様で。
彼は微動だにせず口を開いた。
「日本へ来る気はないか。」
「日本…?そんなに物騒だったかしら?」
「はい。少々。」
「いいわ。話は聞きましょう。ホテルを取っているからとりあえず行きましょう。」
「はい、ルームカードは既に入手済みです。」
「あなたねぇ…?」
振り返るとで私の滞在中のホテルのカードキーをつまむ姿。白いシャツ、デニム姿も相変わらず。
「相変わらず美しいですね」
淡々と冗談のつもりかしら。
「あなたも変わらずね。」
久しぶりの再会…何年振りかは分からないけど特に感動もない。
呆れは隠せないが、他人に興味を持たない人。そんな人間が私のプライベートへ踏み込もうとしてくる。
これは間違いなく緊急事態であろうとある程度は悟った。
(Japan…?あの連続殺人事件かしら)
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世界を生きる名探偵達の鬼ごっこ。
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