「どこから話しましょ？」
お気に入りの桜の木の下で並んで座っている。いつも二人を見守るように立つ木の花びらは気づけば散ってしまい、青々とした葉だけが広がっているのであった。
「徐々に知って貰えればいいと思うんスけど...」
「おべんきょうですね〜」
そう言って空を見上げた。ここはあの世だが、お腹が空く。故に霊力を持っているらしい。
「死神になるのはどうっすかね？」
「あんま興味ないっすね〜」
そう言うと、彼は私を引き寄せる。
「りんさん、もっと近くに来て。」
強引にも、膝枕にすると子どもを寝かしつけるかのように話し始めた。その声音は優しくて暖かくて、眠くなってしまう。
死神の学校、どんな所だろうか。彼の話を聞きながら悶々と考え込んでいた。そういえば私は学校というものにほとんど通ったことがない。なぜだったかは、忘れてしまった。こうしてどんどん忘れていってしまうのだろうか。
彼の手を強く握った。