わたしんち!【現パロ・ジョースター家+α】
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「きゃあああああまたジョナの仕業よォォッ!」
「またかよッ!おいジョナ!お前いい加減にしろよなッ」
「うわッ、用具入れが骸骨の標本だらけ!」
大学の仲間連中から大ブーイングを受けているジョナは、てへりと舌を出して笑った。
可愛らしいその笑みに皆胸をときめかせるが、現状を思い出してハッとする。ぎろりと睨まれたジョナは眉を下げた。
「…おいジョナ。お前またあいつらとなんかやってるのか?」
「ダン。…だって…新しく発行したい本があるんだもの。それにっ、次の印税が入ったらみんなでアパートの部屋を借りてそこを活動場所にするのよ!」
「いいよなァ。楽しそうで。私のとこはディオ様の信者が煩くてちっとも楽しくねえぜ」
「ならダンもオカルト部に来れば?ディオのとこなんて辞めて」
「………正直行きたいが…あの人が嫉妬で怒り狂って私を殺しかねん。辞めとくぜ」
「えー嫉妬?」
「ああ…お前とずっと居られるのは魅力的だがな…」
嬉しそうなジョナにダンが目を細める。
…この可愛らしい少女にベタ惚れのディオにオカルト部へ移動したことがバレたら確実に殺されるだろう。はあ、と大きくため息を吐いてダンは頬杖をついた。
「…それにジョナのセコム共も私を殺しに来るだろうな」
「セコム?」
「『暗殺チーム』の奴らだよ。ジョナのオカルト部のやつら」
「リゾットたちのこと?」
「ああ。あいつらお前に近付く男を陰で締めてるから暗殺チームって呼ばれてんだぜ。ディオ様と同じくらいえぐい…」
「そんなにモテないよ、私」
「そりゃあいつらが締めてるからな…お前にたどり着けないだけだ」
「ええ〜?」
なんとも信じがたい話にジョナがくすくすと笑う。笑ってられるのはお前だけだ、とダンが呟きながら財布を取り出した。飲み物でも買ってこよう。
「あ、自販機?私も行く!」
「…奢らないぞ?」
「えー奢って、ダン様ぁ」
「また金欠か?何に使ってるんだお前」
「えへへ、オカルト部の足りない資金に…」
「…仕方ねーな。ほら、行くぞ。カフェオレだろ?」
「!!今度カフェ来てね…ケーキサービスしますっ」
「ああたっぷりサービスしろよジョナ」
「やぁだ、そーいうサービスじゃないってば!そのいやらしい顔やめてくださる〜?」
二人でたわいも無い話をしながら歩いていると、前から暗殺チームの連中が歩いてきた。
手には大量の段ボールを抱えている。
ぎょっとしてダンが立ち止まった。…やばい、消される。
「おいジョナ…やばいぞ。私は死ぬかもしれない」
「え?どうしたの?ダン、具合悪いの…!?」
「ちがっ、こらこら近付くな可愛いが今は愛でられない状況なんだ…!」
「なァにが愛でられないだってェ〜!?あァ!?」
「ぎ、ギアッチョ!!違う、私はただ飲み物を奢ってやろうとしていただけだ!」
「あぁ?そんなのジョナは頼んじゃ居ないだろーがよッ!おいジョナ飲み物ならこれやるから買って来いッ!俺はお茶!」
「わわ、わーいありがとうギアッチョくん!」
「ギアッチョって呼べって言ってんだろうがあああ!」
ジョナはギアッチョから投げられた財布をキャッチして悪戯気に笑った。そしてダンのほうを見て、行こうと口パクをする。ダンは戸惑いながら頷いた。
「今行くから先にみんなは行ってて!」
「ああ。早くしろよ、ジョナ」
「フン、男連れてくんじゃあねーぞ?俺らが始末するからな?」
「ジョナ、その横の男誰だよッ!?まさか彼氏とかじゃあねーだろうな!?」
「ジョナ…今日も可愛いぜ…後で俺のモノを可愛がってくれな、ごはァ!」
「テメー気持ちわりーんだよ死ねッ!」
上からリゾット、プロシュート、イルーゾォ、メローネ、ギアッチョだ。ジョナは彼らにはーいと間延びした返事を投げて、ダンの腕に抱きつくように触れた。それに五人が殺気だった目を向ける。
「ダンは講義で仲良くなった親友よ!ね、ダンっ」
「…ああ…もうそれでいい…これ以上寿命が縮むのは勘弁だ…」
「…じゃんっ!リゾット見てみて!このアパートなんてどうかしら?広いし綺麗だし…それに曰く付きなのよ!」
「どっこがいいんだ馬鹿かお前!」
「むぅ、なによイルーゾォ。怖いの〜?」
「ちげーよッ!なんでオカルト部の研究を幽霊と一緒にやらねーといけねーんだ。…それに怖がってんのはお前だろ?前映画行った時、涙目で俺に抱きついて来たじゃねーか」
「ちょっ、それは言わない約束でしょ!?イルーゾォのばかっ」
「あー悪いな。馬鹿だからすぐに忘れた」
「〜っイルーゾォってほんと意地悪よね!」
ふん、とそっぽを向くジョナの美しい髪をくるくるといじりながら、イルーゾォはにやにやとした笑みを浮かべた。
イルーゾォの大学での楽しみは、ジョナをからかうことが9割を締めている。残りの1割はオカルト部の活動だ。
「おいジョナこっち向けよ。逃げるなんてらしくないぜ?」
「逃げるのはジョースター家での戦法なんですぅ」
「はあ?あ、そういやジョースター先輩今日は迎えに来ないのか?」
「うん。考古学の研究だって。今日は一人よ。どうかした?」
「…俺が送ってやるよ。車で来たからな」
「ええ?大丈夫よ。家反対じゃない」
「いいから黙って送られとけ。女一人で帰るんじゃあない」
それを言ったらイルーゾォは大学の女の子全員を送らないといけなくなるわ、と楽しそうに笑うジョナの頬をイルーゾォはむぎゅ、と摘む。
…お前だけに決まってんだろあほか、と言いそうになって溜息を吐いた。
流石鈍感女だ。こっちの好意に気付きもしないとは。
「あ、でも大丈夫!ディオが来てくれるって」
「………ああああくっそォォ…あのストーカー野朗め…!」
「おいイルーゾォ。そんなこと言ってるのがバレたら殺されるんじゃあないか?」
「バレなきゃいんだよバレなきゃ!!くそ、先を越された…」
「ストーカー野朗で悪かったなァ。イルーゾォクンとやら」
「ひィッッ」
「あら、ディオ!もう、来るなら連絡してってば」
「なんだ?なにかやましいことでもしてるのか貴様」
「してないったら…じゃあそろそろ帰るね、また明日」
失言に怯えるイルーゾォを横目に、ディオは鼻を鳴らして扉をぴしゃりと締めた。
相変わらず貧乏くさい部室だな、と呟くディオにジョナは眉を下げる。
「うん…早くアパート借りてみんなと活動したいんだけどね」
「は?アパート!?」
「え?言ってなかった?ほら、オカルト部のためにアパートを借りるって…」
「ふざけるな!そんなもの借りたらヤり放題だろうが!お前が獣の中に放り込まれるのをこのディオが黙っていると思うのか!?」
「け、けもの?やっ、ちょっとディオ…廊下よ。抱き締めないで…」
「嫌だ俺の抱き枕が口答えするな」
「誰が抱き枕よ!!!」
「うぐっ」
ぐいっとジョナはディオを押し除けて、持っていたノートでディオの頭を軽く叩いた。ジョナは周りの注目を集めていることに気付いて頬を赤くする。
「淑女としてあるまじき姿…!兄さんに見られたら呆れられちゃうわ…」
「あのシスコンゴリラなら可愛い可愛いほざくだけだと思うがな」
「兄さんは世界一立派な紳士なの!ディオも見習って欲しいわ、全く」
「紳士ね…俺の方がよっぽど紳士だぜ。ジョナ…ほら。そこは段差だよ。気をつけて。君のような可憐な女性に怪我はさせられない」
「うむむ…ディオはなんかこう…黒い部分が見え隠れしてるの!」
「ハァ…そんなこと俺に言うのは貴様くらいだ」
ディオの外車に乗り込んで早速ジョナは本を取り出した。ふんふんとご機嫌に鼻歌を歌う様子はまるでどこかのお姫様だが、手に持っているのはオカルトチックなミステリーブックだ。
「またそんなイカれたものを読んでるのか」
「だって面白いんだもの。ねえディオのサークルってなにをしてるの?」
「ありきたりなテニスサークルだ」
「それは表向きでしょ?ねえなにしてるのか教えてよディオ」
「……幻滅するぞ、言ったら」
「しないわ!ディオがゲロ以下なのはもう知ってるもの。私以外には」
「おい。…まあ大学の汚い情報収集や講師の弱み、あとは試験の情報なんかを集めて売ったりしている」
「………なんだかすごいのねぇ…」
「お前も留年になりそうならこのディオに言え。なんとかしてやれる」
「おおお…私は大丈夫だけど、ホルマジオがやばいってぼやいてたわ」
「二十で手を打ってやるよ」
「えっ、二十万!?」
「留年に比べたら安いもんだろう」
「…むむむ。ディオのお財布が豊かな理由が分かったわ…」
「フン、あと俺は子会社もいくつか経営してる」
「ええ!?…じゃあ私、ディオと出会った時すっごく失礼なこと言っちゃってたのね。バイトで胸を張ってた自分が恥ずかしいわ…」
「…そうでもないぜ。俺はあの言葉とお前に出会ってから気付けたことがまあまあある」
「ふふ、そう?それならよかった!ディオは立派ね、すごく」
「……なら俺が欲しいとは思わないのか?」
「欲しい?」
こてんと首を傾げてふっくらとした唇を開くジョナに、ディオはごくりと喉を鳴らした。
車を端に止めてジョナを見る。ジョナはまだ首を傾げていた。
「…彼氏とか…お前ももう良い年だろう。そろそろ経験は積んどくべきじゃあないのか?」
「経験、かあ。私に彼氏なんて出来るのかしら…?」
「俺が潰し…ンン。牽制していたのもあるから大学じゃあ探しにくいだろうな」
「ええっ、牽制?酷いわディオ…」
「酷くない。俺はお前がどこかのクズに犯されるのが耐えれないだけだ」
「お、おかすって…やだ。こわいこと言うの嫌よ、ディオ」
「現実お前はその対象なんだ。俺が守ってやらなかったらお前なんて今頃男共に食われ尽くしてる」
ジョナの白い手を取ってじっと瞳を見つめてくるディオに、ジョナは困惑していた。
いつもの馴れ合いじゃあない。なにか、少しでも動けばディオに食べられてしまいそう、そんなことを思った。
「あ…た、食べられるって…」
「ここを男のモノで一杯にするってことさ、ジョナ」
「きゃぅっ…!?」
ちょうど子宮のあたりだろうか、腹をディオの掌で撫でられて身を縮める。ジョナは瞳を潤ませて俯いた。なんだかどうしようもなく恥ずかしい。
「や…っ、さわらないで、ディオ」
「ン?俺とお前の仲だろう?」
「でも…っ」
「…抱いて俺のモノにしてやろうか、ジョナ。そうすればお前は彼氏も手に入るし、野蛮な男からも守ってやれる」
本当は周りの男共にはすでに『脅し』を聞かせておいているのだが、あえてジョナの不安を煽るようなことをディオは言った。
もう何年も待った。そろそろいい加減に待てなくなってきた。毎日毎日ジョナを想って一人寂しく自分のものを処理するのはやめたい。
…ああ、ジョナ。早く俺の手に堕ちろ。
太陽のように輝く少女を、早く自分のモノにしたい。
「…ジョナ」
「や…だめ、だめ…恥ずかしい、やだ!」
「っおい、ジョナ。車から出るな。外は暗い」
「だって…!恥ずかしくてやなの…」
「…分かった。今日はこのくらいにしてやるから帰るぞ。車から出るんじゃあない」
「うん…」
しょんぼりとするジョナにディオは内心笑っていた。少しずつこうして意識させていけばいい。そうして、ジョナも気付かないうちに俺を求めるようになるだろうーーー。
だが、思いもよらない発想にいくのが、ジョースター家の特徴であったことをディオは忘れていた。
「決めたわ!私っ、彼氏つくる!」
「…ッはァ!?貴様、今の俺の話を聞いてたか!?」
「だ、だってディオだって私と付き合うのは面倒でしょう?そ、その…経験ないし。それにディオはモテるし申し訳ないわ」
「こ、このディオが善意でお前と付き合うと言い出したと思っているのか!?」
「?ディオは私にいつも優しいし、頼りになるじゃない」
「……」
ジョナについつい優しくして甘やかしていたことが仇となった。ディオは呆然として目の前のジョナを見つめた。が、ぼおっとしたまま車を発進させてジョナの家の前にとめる。ジョナがなにやら言っていたが聞こえなかった。
そうして一時間。
車で呆然としていたディオは突然叫ぶ。
「この世の男共を全員殺してやる…!!!」
素直に愛の言葉を囁けないディオの、なんとも恐ろしい発言であった。
「またかよッ!おいジョナ!お前いい加減にしろよなッ」
「うわッ、用具入れが骸骨の標本だらけ!」
大学の仲間連中から大ブーイングを受けているジョナは、てへりと舌を出して笑った。
可愛らしいその笑みに皆胸をときめかせるが、現状を思い出してハッとする。ぎろりと睨まれたジョナは眉を下げた。
「…おいジョナ。お前またあいつらとなんかやってるのか?」
「ダン。…だって…新しく発行したい本があるんだもの。それにっ、次の印税が入ったらみんなでアパートの部屋を借りてそこを活動場所にするのよ!」
「いいよなァ。楽しそうで。私のとこはディオ様の信者が煩くてちっとも楽しくねえぜ」
「ならダンもオカルト部に来れば?ディオのとこなんて辞めて」
「………正直行きたいが…あの人が嫉妬で怒り狂って私を殺しかねん。辞めとくぜ」
「えー嫉妬?」
「ああ…お前とずっと居られるのは魅力的だがな…」
嬉しそうなジョナにダンが目を細める。
…この可愛らしい少女にベタ惚れのディオにオカルト部へ移動したことがバレたら確実に殺されるだろう。はあ、と大きくため息を吐いてダンは頬杖をついた。
「…それにジョナのセコム共も私を殺しに来るだろうな」
「セコム?」
「『暗殺チーム』の奴らだよ。ジョナのオカルト部のやつら」
「リゾットたちのこと?」
「ああ。あいつらお前に近付く男を陰で締めてるから暗殺チームって呼ばれてんだぜ。ディオ様と同じくらいえぐい…」
「そんなにモテないよ、私」
「そりゃあいつらが締めてるからな…お前にたどり着けないだけだ」
「ええ〜?」
なんとも信じがたい話にジョナがくすくすと笑う。笑ってられるのはお前だけだ、とダンが呟きながら財布を取り出した。飲み物でも買ってこよう。
「あ、自販機?私も行く!」
「…奢らないぞ?」
「えー奢って、ダン様ぁ」
「また金欠か?何に使ってるんだお前」
「えへへ、オカルト部の足りない資金に…」
「…仕方ねーな。ほら、行くぞ。カフェオレだろ?」
「!!今度カフェ来てね…ケーキサービスしますっ」
「ああたっぷりサービスしろよジョナ」
「やぁだ、そーいうサービスじゃないってば!そのいやらしい顔やめてくださる〜?」
二人でたわいも無い話をしながら歩いていると、前から暗殺チームの連中が歩いてきた。
手には大量の段ボールを抱えている。
ぎょっとしてダンが立ち止まった。…やばい、消される。
「おいジョナ…やばいぞ。私は死ぬかもしれない」
「え?どうしたの?ダン、具合悪いの…!?」
「ちがっ、こらこら近付くな可愛いが今は愛でられない状況なんだ…!」
「なァにが愛でられないだってェ〜!?あァ!?」
「ぎ、ギアッチョ!!違う、私はただ飲み物を奢ってやろうとしていただけだ!」
「あぁ?そんなのジョナは頼んじゃ居ないだろーがよッ!おいジョナ飲み物ならこれやるから買って来いッ!俺はお茶!」
「わわ、わーいありがとうギアッチョくん!」
「ギアッチョって呼べって言ってんだろうがあああ!」
ジョナはギアッチョから投げられた財布をキャッチして悪戯気に笑った。そしてダンのほうを見て、行こうと口パクをする。ダンは戸惑いながら頷いた。
「今行くから先にみんなは行ってて!」
「ああ。早くしろよ、ジョナ」
「フン、男連れてくんじゃあねーぞ?俺らが始末するからな?」
「ジョナ、その横の男誰だよッ!?まさか彼氏とかじゃあねーだろうな!?」
「ジョナ…今日も可愛いぜ…後で俺のモノを可愛がってくれな、ごはァ!」
「テメー気持ちわりーんだよ死ねッ!」
上からリゾット、プロシュート、イルーゾォ、メローネ、ギアッチョだ。ジョナは彼らにはーいと間延びした返事を投げて、ダンの腕に抱きつくように触れた。それに五人が殺気だった目を向ける。
「ダンは講義で仲良くなった親友よ!ね、ダンっ」
「…ああ…もうそれでいい…これ以上寿命が縮むのは勘弁だ…」
「…じゃんっ!リゾット見てみて!このアパートなんてどうかしら?広いし綺麗だし…それに曰く付きなのよ!」
「どっこがいいんだ馬鹿かお前!」
「むぅ、なによイルーゾォ。怖いの〜?」
「ちげーよッ!なんでオカルト部の研究を幽霊と一緒にやらねーといけねーんだ。…それに怖がってんのはお前だろ?前映画行った時、涙目で俺に抱きついて来たじゃねーか」
「ちょっ、それは言わない約束でしょ!?イルーゾォのばかっ」
「あー悪いな。馬鹿だからすぐに忘れた」
「〜っイルーゾォってほんと意地悪よね!」
ふん、とそっぽを向くジョナの美しい髪をくるくるといじりながら、イルーゾォはにやにやとした笑みを浮かべた。
イルーゾォの大学での楽しみは、ジョナをからかうことが9割を締めている。残りの1割はオカルト部の活動だ。
「おいジョナこっち向けよ。逃げるなんてらしくないぜ?」
「逃げるのはジョースター家での戦法なんですぅ」
「はあ?あ、そういやジョースター先輩今日は迎えに来ないのか?」
「うん。考古学の研究だって。今日は一人よ。どうかした?」
「…俺が送ってやるよ。車で来たからな」
「ええ?大丈夫よ。家反対じゃない」
「いいから黙って送られとけ。女一人で帰るんじゃあない」
それを言ったらイルーゾォは大学の女の子全員を送らないといけなくなるわ、と楽しそうに笑うジョナの頬をイルーゾォはむぎゅ、と摘む。
…お前だけに決まってんだろあほか、と言いそうになって溜息を吐いた。
流石鈍感女だ。こっちの好意に気付きもしないとは。
「あ、でも大丈夫!ディオが来てくれるって」
「………ああああくっそォォ…あのストーカー野朗め…!」
「おいイルーゾォ。そんなこと言ってるのがバレたら殺されるんじゃあないか?」
「バレなきゃいんだよバレなきゃ!!くそ、先を越された…」
「ストーカー野朗で悪かったなァ。イルーゾォクンとやら」
「ひィッッ」
「あら、ディオ!もう、来るなら連絡してってば」
「なんだ?なにかやましいことでもしてるのか貴様」
「してないったら…じゃあそろそろ帰るね、また明日」
失言に怯えるイルーゾォを横目に、ディオは鼻を鳴らして扉をぴしゃりと締めた。
相変わらず貧乏くさい部室だな、と呟くディオにジョナは眉を下げる。
「うん…早くアパート借りてみんなと活動したいんだけどね」
「は?アパート!?」
「え?言ってなかった?ほら、オカルト部のためにアパートを借りるって…」
「ふざけるな!そんなもの借りたらヤり放題だろうが!お前が獣の中に放り込まれるのをこのディオが黙っていると思うのか!?」
「け、けもの?やっ、ちょっとディオ…廊下よ。抱き締めないで…」
「嫌だ俺の抱き枕が口答えするな」
「誰が抱き枕よ!!!」
「うぐっ」
ぐいっとジョナはディオを押し除けて、持っていたノートでディオの頭を軽く叩いた。ジョナは周りの注目を集めていることに気付いて頬を赤くする。
「淑女としてあるまじき姿…!兄さんに見られたら呆れられちゃうわ…」
「あのシスコンゴリラなら可愛い可愛いほざくだけだと思うがな」
「兄さんは世界一立派な紳士なの!ディオも見習って欲しいわ、全く」
「紳士ね…俺の方がよっぽど紳士だぜ。ジョナ…ほら。そこは段差だよ。気をつけて。君のような可憐な女性に怪我はさせられない」
「うむむ…ディオはなんかこう…黒い部分が見え隠れしてるの!」
「ハァ…そんなこと俺に言うのは貴様くらいだ」
ディオの外車に乗り込んで早速ジョナは本を取り出した。ふんふんとご機嫌に鼻歌を歌う様子はまるでどこかのお姫様だが、手に持っているのはオカルトチックなミステリーブックだ。
「またそんなイカれたものを読んでるのか」
「だって面白いんだもの。ねえディオのサークルってなにをしてるの?」
「ありきたりなテニスサークルだ」
「それは表向きでしょ?ねえなにしてるのか教えてよディオ」
「……幻滅するぞ、言ったら」
「しないわ!ディオがゲロ以下なのはもう知ってるもの。私以外には」
「おい。…まあ大学の汚い情報収集や講師の弱み、あとは試験の情報なんかを集めて売ったりしている」
「………なんだかすごいのねぇ…」
「お前も留年になりそうならこのディオに言え。なんとかしてやれる」
「おおお…私は大丈夫だけど、ホルマジオがやばいってぼやいてたわ」
「二十で手を打ってやるよ」
「えっ、二十万!?」
「留年に比べたら安いもんだろう」
「…むむむ。ディオのお財布が豊かな理由が分かったわ…」
「フン、あと俺は子会社もいくつか経営してる」
「ええ!?…じゃあ私、ディオと出会った時すっごく失礼なこと言っちゃってたのね。バイトで胸を張ってた自分が恥ずかしいわ…」
「…そうでもないぜ。俺はあの言葉とお前に出会ってから気付けたことがまあまあある」
「ふふ、そう?それならよかった!ディオは立派ね、すごく」
「……なら俺が欲しいとは思わないのか?」
「欲しい?」
こてんと首を傾げてふっくらとした唇を開くジョナに、ディオはごくりと喉を鳴らした。
車を端に止めてジョナを見る。ジョナはまだ首を傾げていた。
「…彼氏とか…お前ももう良い年だろう。そろそろ経験は積んどくべきじゃあないのか?」
「経験、かあ。私に彼氏なんて出来るのかしら…?」
「俺が潰し…ンン。牽制していたのもあるから大学じゃあ探しにくいだろうな」
「ええっ、牽制?酷いわディオ…」
「酷くない。俺はお前がどこかのクズに犯されるのが耐えれないだけだ」
「お、おかすって…やだ。こわいこと言うの嫌よ、ディオ」
「現実お前はその対象なんだ。俺が守ってやらなかったらお前なんて今頃男共に食われ尽くしてる」
ジョナの白い手を取ってじっと瞳を見つめてくるディオに、ジョナは困惑していた。
いつもの馴れ合いじゃあない。なにか、少しでも動けばディオに食べられてしまいそう、そんなことを思った。
「あ…た、食べられるって…」
「ここを男のモノで一杯にするってことさ、ジョナ」
「きゃぅっ…!?」
ちょうど子宮のあたりだろうか、腹をディオの掌で撫でられて身を縮める。ジョナは瞳を潤ませて俯いた。なんだかどうしようもなく恥ずかしい。
「や…っ、さわらないで、ディオ」
「ン?俺とお前の仲だろう?」
「でも…っ」
「…抱いて俺のモノにしてやろうか、ジョナ。そうすればお前は彼氏も手に入るし、野蛮な男からも守ってやれる」
本当は周りの男共にはすでに『脅し』を聞かせておいているのだが、あえてジョナの不安を煽るようなことをディオは言った。
もう何年も待った。そろそろいい加減に待てなくなってきた。毎日毎日ジョナを想って一人寂しく自分のものを処理するのはやめたい。
…ああ、ジョナ。早く俺の手に堕ちろ。
太陽のように輝く少女を、早く自分のモノにしたい。
「…ジョナ」
「や…だめ、だめ…恥ずかしい、やだ!」
「っおい、ジョナ。車から出るな。外は暗い」
「だって…!恥ずかしくてやなの…」
「…分かった。今日はこのくらいにしてやるから帰るぞ。車から出るんじゃあない」
「うん…」
しょんぼりとするジョナにディオは内心笑っていた。少しずつこうして意識させていけばいい。そうして、ジョナも気付かないうちに俺を求めるようになるだろうーーー。
だが、思いもよらない発想にいくのが、ジョースター家の特徴であったことをディオは忘れていた。
「決めたわ!私っ、彼氏つくる!」
「…ッはァ!?貴様、今の俺の話を聞いてたか!?」
「だ、だってディオだって私と付き合うのは面倒でしょう?そ、その…経験ないし。それにディオはモテるし申し訳ないわ」
「こ、このディオが善意でお前と付き合うと言い出したと思っているのか!?」
「?ディオは私にいつも優しいし、頼りになるじゃない」
「……」
ジョナについつい優しくして甘やかしていたことが仇となった。ディオは呆然として目の前のジョナを見つめた。が、ぼおっとしたまま車を発進させてジョナの家の前にとめる。ジョナがなにやら言っていたが聞こえなかった。
そうして一時間。
車で呆然としていたディオは突然叫ぶ。
「この世の男共を全員殺してやる…!!!」
素直に愛の言葉を囁けないディオの、なんとも恐ろしい発言であった。
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