バディ!【五部】
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「リン!おせーぞッ!なにしてんだよォ〜?」
「ごめんっ!ちょっと、イルーゾォ!離してよばか!」
「ま、待て!お前髪整えてくれるってさっき言ったじゃあねーか!」
「任務の方が優先に決まってるでしょ!」
「はァ!?俺より任務の方が大切だって言うのか!?」
「そうだよばーーか!」
ぎゃいぎゃい騒ぎながら廊下の真ん中を占拠する私たちに、ギアッチョからブツリと音がした。ひっ、やばい、これは、
「早くしろっつってんのが聞こえねーのかよッ!?クソッ、クソ!!大体おまえイルーゾォなんかの髪に触ろうとしてんじゃねェェェー!」
「ひゃいいいっごめんなさい!!イルーゾォ、もうっ!そんなに髪ゆってほしいなら君も任務くれば!?生きて帰れる保証無いけど!」
「!!…その手があったな。よし、ギアッチョ。俺も乗せろ」
「はァ!?ふざけんな!俺はリンと二人を楽しみに…ッ、クソ…!おいリーダー!!なんか書類仕事ねーのかよ?このおさげ野郎に仕事やれ!!」
「今は短髪だよてめーらのせいでな!」
何もないぞ、と書類を見ながら答えるリゾットにショックを受ける。…ええ、イルーゾォついてくるの?確かに最強のスタンドだけど、今回は必要ないのに。
「イルちゃん…帰ってきたら結ってあげるから」
「…」
「…イルーゾォ」
「お前がヤられたら無理だろ?だから俺もついていく」
「なっ、死なないしそんな簡単に!」
「フン、お前は弱いからな。俺が守ってやるよ」
ドヤァ、と見下ろしてくるイルーゾォに私もだんだんむかついてくる。…この男は自分のスタンドを最強と思っているからよくこんな態度を仲間に取る。それが慢心だということに気付いてもいないのだ。
「能ある鷹は爪を隠す…これジャポネーゼの言葉ね。イルーゾォ、私が弱いと思ってるなら今日ついてきてよ」
「…?なんだ?お前のスタンドは炎だろ?」
「最近レベルアップしたんだよねぇ」
「!!早く言えよ!おい、まだ誰にも見せてねーよな?」
「ううん、ギアッチョには見せた」
ギアッチョに恨みが篭った視線を送るイルーゾォはかなりめんどくさい。ギアッチョも相手にするのが面倒だと感じたのかさっさと外に出て行ってしまった。私も慌てて後ろをついていく。
「ぎ、ギアくん〜どしたの?機嫌悪いよ」
「…うっせーよ。さっさと行くぞ」
「……。んもう!イルーゾォのあほっ」
小声で罵ると、イルーゾォは何故か嬉しそうに誰があほだ、と答えた。…はぁ、ギアッチョは機嫌悪くなっちゃったしイルーゾォはご機嫌だし。めんどくさいことにならなきゃいいけどなぁ。
ギアッチョの車の後ろの席に乗り込むと、イルーゾォが早速私に声を掛けてきた。
「おい髪」
「…はいはい。こっち向いて」
「ああ。…なァ、なんで男の髪のセットなんて知ってんだよ」
「……リゾットのやったことあるからですぅ」
「はァ!?おまっ、なん…!やっぱ付き合ってたのか!?」
「だーからそんなんじゃないって。あの時は二人だったから朝やってあげてたの!」
「…これからは許可しないからな」
「なんでイルーゾォの許可がいるんだ…」
「おいてめーらうっせーぞッ!!!」
ギロッ!とこっちを睨みつけてくるギアッチョにすいません!!と思わず謝る。うおお、こわい。もうほんとイルーゾォ…!
私もイルーゾォを睨むと、にやりと笑って肩を抱いてきた。
「…ちょっと!近いイルちゃん!」
「ああ?…お前やっと意識したのか?ん?」
「ひ…っ、だ、から耳元で、やめっ…!」
「…お前あの時イっただろ?俺の声で」
「〜〜!?い、イってない!な、なに?セクハラ!?」
「事実を言っただけだ。…お前あの時すげーエロい顔しながらイってたんだぜ。気絶したのは驚いたけど」
「…や、やめてってば…ほんとに、やだぁ…」
顔が熱くなって視界がぼやける。
まるで私がふしだらな女だと言われているみたいで死にたくなった。そしてそれを親友と思ってるギアッチョに聞かれてることも。
ごくりとイルーゾォが喉を鳴らして私を見つめた。紅い瞳にまた泣きそうな私が映っている。
…や、やだやだ。またなんか変なことする気だ…!
「リン…」
「ちょっと…っ、離れて…!」
「おいテメェ…いい加減にしねェと殺す。リンに触るんじゃねェ!人の車で盛ってんじゃねーよ!!」
「ギアくんん〜!」
「…リン!お前前に来い!!」
「はいっ!!」
「は!?待てよリン!」
「やだ!ほんといい加減にしないと怒るからね!?」
「まじで?」
「嬉しそうな顔すんなばか!」
ギアッチョの隣に移動しようと腰を上げて前に行こうとする。が、その時車が突然止まった。
その反動でイルーゾォの膝の上に座ることになって顔から血の気が引く。ひぃぃ、やだぁなにこの体勢!
「へェ〜?積極的じゃあねーのか、リン」
「…!!こ、ろす…ッ!」
「ん?聞こえねーな?なに?」
「やぁ!?あ、脚、触んないで!」
「…クソ。二人だったら抱けたのにな…」
「抱かせるかァ!!!」
ギアッチョがブチ切れて車を壊す。
あ、あああ〜!!動かなくなった車に私は頭がくらくらとした。終わった…!
「任務どうすんの!?」
「…こっから徒歩で一時間くらいか?」
「嘘…今日見たい番組あったのに」
「どうせくだらねードラマだろ?」
「イケメンに癒されたいんですう」
「あ?目の前にいんだろーが!まさかお前ドラマの男と付き合いたいとか思ってんのか!?そんなの許さねーからなッ」
「わーめんどい彼氏ですかこのやろう」
「か…っ!お、お前がお願いすんなら許可してやってもいいぜ?」
「あ、お断りで。ギアくん〜どーする?」
イルーゾォを押し除けてギアッチョを覗き込む。予想に反して大人しいので少し怖くなった。
…あれ?怒ってない?
「お前はよォ〜…男との距離っつーもんが分からねェのか?あ?」
「ひッ、」
「イルーゾォなんかとイチャイチャしてんじゃねー!!おめーは俺の…ッ、俺の親友、だろうが!」
「えっ」
「ちげーのかよ!?」
「……ギアくんもそう思ってくれてるの!?」
「う…ッ、ほんとは少しちげーけど…」
「どういうこと!?」
「…ッだから親友以上だよ!」
「家族?」
「………クソッ!!もう行くぞ!」
「ハン、だせーなァ」
「イルーゾォテメェ…!」
険悪な二人をどうどうといなしながら前を進む。任務…この二人とかぁ。これが終わったら自分へのご褒美にケーキを買って帰ろう。
「!…おい。気配がするぞ」
「!!ギアくん、」
「おう。いつでも動けるぜ」
「了解。私とギアくんでやるからイルーゾォはターゲットと私たちを鏡の中にいれて」
「ああ、早く帰れそうだな。向こうから来てくれたお陰で」
にやにやと笑いながらイルーゾォが手鏡を取り出した。次の瞬間、私とギアッチョの間に銃弾が降り注ぐ。…あ、危ない危ない。
見ると男たちが十人程いて、それぞれナイフや銃を持っていた。
「はあ…ロケランとか…あったらな」
「バイオかよ」
「あ、ハーブ持って来た?」
「だからバイオかよ」
「やばっ馬どこに置いて来たっけ!?」
「ラストオブアスか?2なんか?」
ゲームオタクな会話をしている間にも銃弾は降り注いでいる。それをギアッチョが氷でカバーしながら私を見た。もう行っていいってことなんだろう。
「…まあ一応。おーい痛い目見たくなかったら今すぐ攻撃をやめなさーい」
「やる気のねえ忠告やめろ!さっさとヤっちまえよ!」
「了解クリス!」
「いーからさっさとやれェレオン!!」
「お前らくだらねー会話してねーでやれよ」
「テメェらさっきからナメてんのかァァ!?ぶっ殺してやるッ!ちなみに俺はシェリーが一番好きだああああ」
「うわッロリコンかよきめーな」
「ちげーよ!バイオ6のシェリーだよばーか!」
「んだとテメェぶっ殺す!!」
なにやら口喧嘩を始めたギアッチョにイルーゾォが呆れたように腕を組んだ。というか鏡の中にいれてくれ…。私もさっさとふざけてないで始めるか、と考え直して炎を出す。
いつもの熱さに思わず笑みが溢れた。
「どーなってもしらないよ、君たち」
「相変わらず楽しそうだなお前…つーか炎の色!赤から青に変わってんじゃねーか!」
「ふふんレベルアップしたよん」
「…へえ。相変わらず綺麗だな…」
燃え盛る炎を出したまま敵に向かって走る。
銃弾なんてこの炎の前じゃ一瞬で溶けて無くなった。
敵を順に燃やしていって、ふと、敵の車がかなりの高級車であることに気付く。こいつらは子供を売っていたクズだから金はたんまりあるんだろう。
…そうだ。
「…あ、君。死にたくない?」
「ひぃぃい…あ、当たり前だろうが!たのむ、許してくれっ」
「じゃあさ、あそこの車のキーちょうだい。そしたら生かしてあげるよ。あと今持ってる有り金全部ね」
「わ、わ、わかった!!ほ、ほらこれと、ああ全部やるよ…!」
「…まだあるなあ。そこの後ろのバッグ。それお金だよね?それは渡せないの?」
「……わ、渡せる!!クソ…っ」
「どーもー」
サヨナラ、と男を炎で燃やす。
生かす訳ないじゃんか。私達はギャングだし…こいつはどうしようもないクズだ。悲鳴を上げる男をぼんやり眺めていると、ギアッチョに肩を掴まれた。
「おいッ!手火傷してんだろ!!」
「…!あ、ほんとだ。気付かなかった」
「…たくよォ。おら、手ェ貸せ」
「…ん。いつもごめんね」
手をぎゅう、と絡ませるように掴まれてほっとする。冷たい…ようやく現実に戻ってきたみたいだ。興奮していた身体が落ち着いていく。イルーゾォが喚いているのを無視して二人に笑いかけた。
「二人ともみてよこれ」
車とお金が溢れ出しそうなバッグを見て二人は驚いたように目を見開く。
「…臨時収入。燃えるはずのものだったんだから私達が活用してもいいよねーん」
「…ちゃっかりしてんなァおい」
「山分けするか?つってもよォ…リーダーに渡さねえとやべェよな」
「大丈夫じゃない?本来なら燃えてるんだから。…はいこれ」
バッグの中から札束を何個か掴んで二人に渡す。私は一枚だけ万札を抜いて後はバッグを閉じた。二人がけげんそうにこちらを見る。
「おいおい…なにしてんだお前?」
「残りは孤児院に寄付。元はといえば子供売って稼いだお金だしね。子供のために使うのが一番でしょ?」
「…フン、お前らしい綺麗事だな?」
「…なーにイルーゾォ。文句でもあるんですか〜?」
「別にねーよ。いいんじゃねーの。ほんとは燃えてんだからな」
珍しい嫌味な笑顔じゃないそれに思わず驚く。…ほほお、イルーゾォもその綺麗事に賛成みたいだね。ギアッチョも文句はないようで札束をふうん、と眺めていた。
「まあんなにあっても使い道ねーしな」
「そうそう。新しい車もゲット出来たし」
「よし。帰り飲み行くか?」
「わーい賛成ッ!酒!飲まずに居られないッ!」
「アル中みてーなこと言ってんじゃねーよッ」
「つーかテメェらいつまで手を繋いでんだよ離せ!!」
「ごめんっ!ちょっと、イルーゾォ!離してよばか!」
「ま、待て!お前髪整えてくれるってさっき言ったじゃあねーか!」
「任務の方が優先に決まってるでしょ!」
「はァ!?俺より任務の方が大切だって言うのか!?」
「そうだよばーーか!」
ぎゃいぎゃい騒ぎながら廊下の真ん中を占拠する私たちに、ギアッチョからブツリと音がした。ひっ、やばい、これは、
「早くしろっつってんのが聞こえねーのかよッ!?クソッ、クソ!!大体おまえイルーゾォなんかの髪に触ろうとしてんじゃねェェェー!」
「ひゃいいいっごめんなさい!!イルーゾォ、もうっ!そんなに髪ゆってほしいなら君も任務くれば!?生きて帰れる保証無いけど!」
「!!…その手があったな。よし、ギアッチョ。俺も乗せろ」
「はァ!?ふざけんな!俺はリンと二人を楽しみに…ッ、クソ…!おいリーダー!!なんか書類仕事ねーのかよ?このおさげ野郎に仕事やれ!!」
「今は短髪だよてめーらのせいでな!」
何もないぞ、と書類を見ながら答えるリゾットにショックを受ける。…ええ、イルーゾォついてくるの?確かに最強のスタンドだけど、今回は必要ないのに。
「イルちゃん…帰ってきたら結ってあげるから」
「…」
「…イルーゾォ」
「お前がヤられたら無理だろ?だから俺もついていく」
「なっ、死なないしそんな簡単に!」
「フン、お前は弱いからな。俺が守ってやるよ」
ドヤァ、と見下ろしてくるイルーゾォに私もだんだんむかついてくる。…この男は自分のスタンドを最強と思っているからよくこんな態度を仲間に取る。それが慢心だということに気付いてもいないのだ。
「能ある鷹は爪を隠す…これジャポネーゼの言葉ね。イルーゾォ、私が弱いと思ってるなら今日ついてきてよ」
「…?なんだ?お前のスタンドは炎だろ?」
「最近レベルアップしたんだよねぇ」
「!!早く言えよ!おい、まだ誰にも見せてねーよな?」
「ううん、ギアッチョには見せた」
ギアッチョに恨みが篭った視線を送るイルーゾォはかなりめんどくさい。ギアッチョも相手にするのが面倒だと感じたのかさっさと外に出て行ってしまった。私も慌てて後ろをついていく。
「ぎ、ギアくん〜どしたの?機嫌悪いよ」
「…うっせーよ。さっさと行くぞ」
「……。んもう!イルーゾォのあほっ」
小声で罵ると、イルーゾォは何故か嬉しそうに誰があほだ、と答えた。…はぁ、ギアッチョは機嫌悪くなっちゃったしイルーゾォはご機嫌だし。めんどくさいことにならなきゃいいけどなぁ。
ギアッチョの車の後ろの席に乗り込むと、イルーゾォが早速私に声を掛けてきた。
「おい髪」
「…はいはい。こっち向いて」
「ああ。…なァ、なんで男の髪のセットなんて知ってんだよ」
「……リゾットのやったことあるからですぅ」
「はァ!?おまっ、なん…!やっぱ付き合ってたのか!?」
「だーからそんなんじゃないって。あの時は二人だったから朝やってあげてたの!」
「…これからは許可しないからな」
「なんでイルーゾォの許可がいるんだ…」
「おいてめーらうっせーぞッ!!!」
ギロッ!とこっちを睨みつけてくるギアッチョにすいません!!と思わず謝る。うおお、こわい。もうほんとイルーゾォ…!
私もイルーゾォを睨むと、にやりと笑って肩を抱いてきた。
「…ちょっと!近いイルちゃん!」
「ああ?…お前やっと意識したのか?ん?」
「ひ…っ、だ、から耳元で、やめっ…!」
「…お前あの時イっただろ?俺の声で」
「〜〜!?い、イってない!な、なに?セクハラ!?」
「事実を言っただけだ。…お前あの時すげーエロい顔しながらイってたんだぜ。気絶したのは驚いたけど」
「…や、やめてってば…ほんとに、やだぁ…」
顔が熱くなって視界がぼやける。
まるで私がふしだらな女だと言われているみたいで死にたくなった。そしてそれを親友と思ってるギアッチョに聞かれてることも。
ごくりとイルーゾォが喉を鳴らして私を見つめた。紅い瞳にまた泣きそうな私が映っている。
…や、やだやだ。またなんか変なことする気だ…!
「リン…」
「ちょっと…っ、離れて…!」
「おいテメェ…いい加減にしねェと殺す。リンに触るんじゃねェ!人の車で盛ってんじゃねーよ!!」
「ギアくんん〜!」
「…リン!お前前に来い!!」
「はいっ!!」
「は!?待てよリン!」
「やだ!ほんといい加減にしないと怒るからね!?」
「まじで?」
「嬉しそうな顔すんなばか!」
ギアッチョの隣に移動しようと腰を上げて前に行こうとする。が、その時車が突然止まった。
その反動でイルーゾォの膝の上に座ることになって顔から血の気が引く。ひぃぃ、やだぁなにこの体勢!
「へェ〜?積極的じゃあねーのか、リン」
「…!!こ、ろす…ッ!」
「ん?聞こえねーな?なに?」
「やぁ!?あ、脚、触んないで!」
「…クソ。二人だったら抱けたのにな…」
「抱かせるかァ!!!」
ギアッチョがブチ切れて車を壊す。
あ、あああ〜!!動かなくなった車に私は頭がくらくらとした。終わった…!
「任務どうすんの!?」
「…こっから徒歩で一時間くらいか?」
「嘘…今日見たい番組あったのに」
「どうせくだらねードラマだろ?」
「イケメンに癒されたいんですう」
「あ?目の前にいんだろーが!まさかお前ドラマの男と付き合いたいとか思ってんのか!?そんなの許さねーからなッ」
「わーめんどい彼氏ですかこのやろう」
「か…っ!お、お前がお願いすんなら許可してやってもいいぜ?」
「あ、お断りで。ギアくん〜どーする?」
イルーゾォを押し除けてギアッチョを覗き込む。予想に反して大人しいので少し怖くなった。
…あれ?怒ってない?
「お前はよォ〜…男との距離っつーもんが分からねェのか?あ?」
「ひッ、」
「イルーゾォなんかとイチャイチャしてんじゃねー!!おめーは俺の…ッ、俺の親友、だろうが!」
「えっ」
「ちげーのかよ!?」
「……ギアくんもそう思ってくれてるの!?」
「う…ッ、ほんとは少しちげーけど…」
「どういうこと!?」
「…ッだから親友以上だよ!」
「家族?」
「………クソッ!!もう行くぞ!」
「ハン、だせーなァ」
「イルーゾォテメェ…!」
険悪な二人をどうどうといなしながら前を進む。任務…この二人とかぁ。これが終わったら自分へのご褒美にケーキを買って帰ろう。
「!…おい。気配がするぞ」
「!!ギアくん、」
「おう。いつでも動けるぜ」
「了解。私とギアくんでやるからイルーゾォはターゲットと私たちを鏡の中にいれて」
「ああ、早く帰れそうだな。向こうから来てくれたお陰で」
にやにやと笑いながらイルーゾォが手鏡を取り出した。次の瞬間、私とギアッチョの間に銃弾が降り注ぐ。…あ、危ない危ない。
見ると男たちが十人程いて、それぞれナイフや銃を持っていた。
「はあ…ロケランとか…あったらな」
「バイオかよ」
「あ、ハーブ持って来た?」
「だからバイオかよ」
「やばっ馬どこに置いて来たっけ!?」
「ラストオブアスか?2なんか?」
ゲームオタクな会話をしている間にも銃弾は降り注いでいる。それをギアッチョが氷でカバーしながら私を見た。もう行っていいってことなんだろう。
「…まあ一応。おーい痛い目見たくなかったら今すぐ攻撃をやめなさーい」
「やる気のねえ忠告やめろ!さっさとヤっちまえよ!」
「了解クリス!」
「いーからさっさとやれェレオン!!」
「お前らくだらねー会話してねーでやれよ」
「テメェらさっきからナメてんのかァァ!?ぶっ殺してやるッ!ちなみに俺はシェリーが一番好きだああああ」
「うわッロリコンかよきめーな」
「ちげーよ!バイオ6のシェリーだよばーか!」
「んだとテメェぶっ殺す!!」
なにやら口喧嘩を始めたギアッチョにイルーゾォが呆れたように腕を組んだ。というか鏡の中にいれてくれ…。私もさっさとふざけてないで始めるか、と考え直して炎を出す。
いつもの熱さに思わず笑みが溢れた。
「どーなってもしらないよ、君たち」
「相変わらず楽しそうだなお前…つーか炎の色!赤から青に変わってんじゃねーか!」
「ふふんレベルアップしたよん」
「…へえ。相変わらず綺麗だな…」
燃え盛る炎を出したまま敵に向かって走る。
銃弾なんてこの炎の前じゃ一瞬で溶けて無くなった。
敵を順に燃やしていって、ふと、敵の車がかなりの高級車であることに気付く。こいつらは子供を売っていたクズだから金はたんまりあるんだろう。
…そうだ。
「…あ、君。死にたくない?」
「ひぃぃい…あ、当たり前だろうが!たのむ、許してくれっ」
「じゃあさ、あそこの車のキーちょうだい。そしたら生かしてあげるよ。あと今持ってる有り金全部ね」
「わ、わ、わかった!!ほ、ほらこれと、ああ全部やるよ…!」
「…まだあるなあ。そこの後ろのバッグ。それお金だよね?それは渡せないの?」
「……わ、渡せる!!クソ…っ」
「どーもー」
サヨナラ、と男を炎で燃やす。
生かす訳ないじゃんか。私達はギャングだし…こいつはどうしようもないクズだ。悲鳴を上げる男をぼんやり眺めていると、ギアッチョに肩を掴まれた。
「おいッ!手火傷してんだろ!!」
「…!あ、ほんとだ。気付かなかった」
「…たくよォ。おら、手ェ貸せ」
「…ん。いつもごめんね」
手をぎゅう、と絡ませるように掴まれてほっとする。冷たい…ようやく現実に戻ってきたみたいだ。興奮していた身体が落ち着いていく。イルーゾォが喚いているのを無視して二人に笑いかけた。
「二人ともみてよこれ」
車とお金が溢れ出しそうなバッグを見て二人は驚いたように目を見開く。
「…臨時収入。燃えるはずのものだったんだから私達が活用してもいいよねーん」
「…ちゃっかりしてんなァおい」
「山分けするか?つってもよォ…リーダーに渡さねえとやべェよな」
「大丈夫じゃない?本来なら燃えてるんだから。…はいこれ」
バッグの中から札束を何個か掴んで二人に渡す。私は一枚だけ万札を抜いて後はバッグを閉じた。二人がけげんそうにこちらを見る。
「おいおい…なにしてんだお前?」
「残りは孤児院に寄付。元はといえば子供売って稼いだお金だしね。子供のために使うのが一番でしょ?」
「…フン、お前らしい綺麗事だな?」
「…なーにイルーゾォ。文句でもあるんですか〜?」
「別にねーよ。いいんじゃねーの。ほんとは燃えてんだからな」
珍しい嫌味な笑顔じゃないそれに思わず驚く。…ほほお、イルーゾォもその綺麗事に賛成みたいだね。ギアッチョも文句はないようで札束をふうん、と眺めていた。
「まあんなにあっても使い道ねーしな」
「そうそう。新しい車もゲット出来たし」
「よし。帰り飲み行くか?」
「わーい賛成ッ!酒!飲まずに居られないッ!」
「アル中みてーなこと言ってんじゃねーよッ」
「つーかテメェらいつまで手を繋いでんだよ離せ!!」