バディ!【五部】
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「ふざけんじゃあねーぞホルマジオッ!リーダーがスタンド攻撃に遭ってターゲットも逃がすってどういうこったよ!?」
「ッ悪かったって言ってんだろ!!…今はここで揉めてる場合じゃねーだろ…離せよギアッチョ」
「…リーダーが居なくなった今、私が指揮を取る。ギアッチョとメローネは逃したターゲットの暗殺、ホルマジオは状況を細かく私に説明して。それから残りのメンバーは本部に連絡をして」
解散!さっさと行って!と今まで見たことのないような顔で指示するリンにみんな、ぽかんと驚いた。それにリンは気にすることなく自分のパソコンを起動させて素早く指を動かしている。…こいつ、本当にリンか?
俺が驚いている間に、プロシュートとペッシは本部のジョルノに会いに。ギアッチョとメローネは慌ててバイクや車を用意し出した。
……。これが、前言ってた昔のリンか?
「リーダーはどのタイミングで消えたの?」
「…確か…俺も戦ってたせいであんま覚えてねーけどよォ。俺が雑魚をヤったあとにはもう居なくなってた。ターゲットの暗殺を優先しようと思ったんだけどよ…ターゲットも消えて情けなくここに戻ってきたっつー訳だ」
「…そっか。分かった。あとは私のスタンドで探る。ホルマジオは休んでて。君も怪我してる」
そっと俺の頬に手を添えて眉を下げるリンはいつになく弱っている。
…リーダーの存在はでけーよな。やっぱり。
情けなくなって思わず舌打ちをした。
「俺だけ休める訳ねーだろ…!お前も…どうして怒らねえんだよ。他の連中みてェによ」
「…私が怒ってチームが起動しなくなったらリーダーを探せない。そうだな〜見つけたらたくさんご飯奢ってもらおうかな。それでいいや!」
ニッ、といつもの笑みで笑うリンに俺も少しほっとする。それと同時にもう二度とねえようにしねえと、と気を引き締めた。
…そんで。こいつ、イイ女だよなァ。
「絶対に見つけるからよ…今日の夜は開けとけよ」
「りょーかい」
「リン!!リーダーを見つけた!怪我もしてねえ!」
「ほんと!?流石ギアくん!えらいじゃん!」
「なッ、撫でるんじゃァねェ〜…!」
それでリーダーは!と言った瞬間、ひゅっとナイフが私の頬を掠めた。
見るといつもとは違う格好をしたリーダーが殺気を物凄くだしたまま、ナイフを手に持っている。
「は、はァ!?なにしてんだリーダー!!」
「…リーダー?意味が分からねえ。ここはどこだ?テメェらなんなんだ!?」
「な…っ、ま、まさかだけどさぁ。ギアくん…」
「…過去のリーダーだ。年齢的には20前とかそこらの…」
疲れた顔でそうぼやるギアッチョに嘘、と呟く。その顔は青冷めていて少し可哀想になる程だった。
「リーダー…リゾットちゃんは?今のリゾットは!?」
「さっきターゲットを拷問したところによると、一日で元に戻るみたいだな」
「メローネ、ターゲットは殺したの?」
「ああ。安心してくれお姫様」
ほっと息をつくと、それをじっと眺めるリーダー。リーダーはなにを思ったのか、私の顎を掴み上げた。
「…お前らはなんだ?ギャングか?」
「…え…ああ、そう、だよ」
「……俺もギャングに入りてェ。入れろ」
「…っ!?な、に言って」
「入れると言うまでアンタを離さない。…場合によっちゃアンタは血を吐くことになる」
黒のパーカーフードから覗く赤い目に息を呑む。…本気だ。今のリゾットなら平気で私を殺すだろう。かたかたと悲しみで体が震える。
…私には『アンタ』だけだったのに。
いや…落ち着くんだ。明日になれば戻る。今は刺激しないように、しないと。
「…君はいずれギャングになる。今日焦らなくても、いつかはギャングになるんだよ。色々あるけど…ここのみんなのリーダーとして、毎日頑張ってる。君の未来の場所なんだ、ここ。ちょっと薄暗いけどね」
目に込めてリゾットの手をそっと握る。リゾットは少しだけ固まっていたが頬を赤くして手を離した。
「…本当か、知らねェが…アンタを信じる」
「!うん。リゾットちゃんも今日はゆっくりして」
「(…リゾットちゃん?)」
「どうしたの?」
「…リゾットなんていうフザけた名前で呼ぶんじゃねェ。俺の名前は、」
「ちょーーーーッと待った!もしかして本名言おうとしてる!?駄目だよ、暗殺チームのギャングなんだから〜!」
「……。リゾットでいい」
リゾットは今より髪が短くて、黒のパーカーにジーンズという地味な格好になっている。
なんというか…着こなしてるなあ。
すごくかっこいい。
「…リン。お前もギャングなのか?」
「えーと…うん。君と同じ」
「…へえ。こんなところでお前みたいな天使に会えるとは思って居なかった」
「!?」
なんか若リゾットすごい…!!
思わず照れていると、後ろにいたイルーゾォがチッ、と舌打ちをしてリゾットに絡みに行った。ええ〜一応過去のリーダーなのに。
「おいテメェ。女口説いて随分余裕だなァ?」
「…?お前は…フン。なんだ、嫉妬でもしているのか?リン、こんな男に好かれてお前も大変だな」
そう言うとリゾットは私の肩を掴んで抱き寄せるようにした。…うああああなにこれ昔のリゾットに気に入られてるううう。
情けなく顔を真っ赤にしている私にイルーゾォが更に目を吊り上げておい!と声を荒げた。
「こ…ッれは、俺のなんだよバーカ!!!」
「ひゃ。…あの〜イルちゃんのものじゃないんですケド〜」
「うるっせーーッ!大体ッ、リンも簡単に触られてんじゃあねェよ!!おいッ、若リゾット!テメェにリンは渡さねえからな!フン!」
プンスカ怒るイルーゾォに腕組みをして壁に寄りかかるリゾット。リゾットの目は無様…というようにイルーゾォを見ている。
若リゾットにも敵わないなんて…イルーゾォらしい。
その時、玄関からわあわあと騒がしい声が聞こえた。ギアッチョやメローネなんかも騒いでいるみたいだ。イルーゾォと顔を見合わせて一応ナイフを手に取る。
それを見たリゾットが少し驚いているのを見て苦笑した。これでもギャングなんですよ〜。
「…あれ!?ミスタとジョ、ボス!?どーしたの?」
「お〜リン!相変わらずえろい体してんなァ」
「…殺されたくなかったら口を閉じるんだ、ミスタ…。ハッ!」
ナイフを片手に物騒な発言をする私に、ギアッチョやメローネが驚いたように私を見る。
…やばいやばい。なんか最近昔の私がすぐ出てくるな。慌ててへらりと笑ってなんてね、と付け足す。ジョルノが呆れた目をしてミスタと私を見ていた。
「…リン。相変わらず貴女は可愛いですね。貴方のリーダーのことをプロシュート達から聞きました。今は居ますか?」
「う、うん。居るよ〜ちょっと待っててン!」
リゾットおいで〜と声を掛けると面倒そうにリゾットがやって来た。若いから少し反抗期ちっくだ。ジョルノを見て眉を顰める。
「…なんだこいつら」
「え〜と…私の仲間。リゾットの様子を見にきてくれたんだよ」
「頼んでねえしこんな弱そうなのもギャングなのか?」
馬鹿にしたように笑うリゾットにミスタがむっと眉を寄せる。慌てて間に入って若いから!と言うとミスタがふ〜ん、と嫌な笑みを浮かべた。
「ならよォ〜お前童貞なんじゃあないの〜?なァ、リゾットさんよォ〜」
「!?…それがなんだ。別に女に興味はねえし、ほかにやることがある。お前と違って猿じゃあないだけだ」
「ああ!?だーれが猿だって!?やっぱむかつくぜッ!一発殴らせろ!」
「お前が動いた瞬間、俺はお前を殺せる。分かったらさっさと帰れ。煩いのは嫌いなんだ」
リゾットは玄関を閉めてずかずかとリビングに入っていった。ぽかんとしている私にイルーゾォがリン?と問いかける。
「…なんか…尖ってるなぁ。リゾット」
「お前も知らないのか?あの頃の」
「知らないよ。もう少し後かな。出会ったの。その時には今のリゾットに近い感じだったよ。大人っぽくて、リーダー!って感じ」
「…ふうん」
「?なーに、イルちゃん」
「別に。それよりどうすんだ?」
「…刺激しないように今日乗り切るしかない、かな」
「……マジかよ…」
頑張れ、と笑いながら言うとイルーゾォは少しむすりとした後私のことをぎゅっと抱きしめてきた。!?と目を回す私を見て満足気にしている。
「あいつにもこうされんなよ」
「…えっ、えっ。私の知ってるイルちゃんってど畜生ヘタレなんですが」
「誰がヘタレだよッ!!お前は相変わらず生意気だな…!」
「へっへ〜だってイルちゃんからかいがいあるんだもん」
「…あんま男舐めてると痛い目見るぜ?こんな風に…がはッ」
「にゃーーーッ!え、え、メタリカ!?」
「テメェ…ここでイチャイチャするんじゃねぇ。目障りだ」
血を吐くイルーゾォを蹴り飛ばして私を抱き上げるリゾットにぞわ〜と血の気が引いていく。
ひぃ、こんな狂犬だったのリゾット…。
後すごく気に入られちゃってる…私。
「て、テメェ…!リーダーだからと我慢してたが…ムカつくぜッ!リンに触るんじゃねーよ!ぶっ飛ばしてやるッ!!」
「お前のものじゃねェんだろ?触ってなにが悪い。それにリンだってギャングの女だ。弱い男より強い男の方が好きだ。そうだろ?」
私の唇をぺろりと舐めあげるリゾットの目はぎらぎらと獣のような目をしている。
ぞく、と身体が震えたのを無視してリゾットの頬をぺちりと撫でるように叩いた。
きょとんとしているリゾットに軽く笑いながら口を開く。
「私は私の仲間を傷付ける男が一番嫌いなの。リゾット」
「…ッ」
「聞こえなかった?離してよ、リゾット」
今度は私の方からリゾットに近付いて耳元で囁いた。拘束する力が弱まったのでリゾットの腕から下りる。イルーゾォの手当てをしてやった。
「イルちゃんも挑発しすぎだよ。リゾットだって若いんだから」
「……ムカつくんだよ。仕方ねーだろ…」
「それは…仕方ないか…?」
二人してそんな話をしているとリゾットが悪かった…と落ち込みながら濡れたタオルをイルーゾォに投げつけた。
…は、反省してない…。イルーゾォがぶっ殺す!とキレていたので仕方なく抱きついてやると顔を真っ赤にして黙ってくれた。
うんうん、こんな風に女を使うのは嫌だけど仕方ない。…はぁ〜〜。うん、仕方ない…。
「リゾットちゃん。さっきの話聞いてた?」
「…どうにもお前のことになると俺は暴走しちまうらしい。俺を抑えてくれんのはお前しか居ねぇみたいだ。…俺の天使、どうか俺と一緒に、」
「くっだらねーな。こいつは天使じゃねーの。ギャングなんだよ、その小さい脳みそじゃ分かんねーか?」
高慢な言い方でまたリゾットを挑発するイルーゾォに呆れる。…なんていうか、すぐ調子に乗るよなぁ。大人だろ、しっかりしろよ。
そんなことを考えながらイルーゾォの口端にガーゼを貼った。
「いってェ。もう少し優しくしろよ!」
「…え〜強いイルーゾォなら耐えられると思ったんだけどな」
「!!…べ、別に痛くはねェけどな?ただ、女なんだからもう少し優しくできるだろ!」
「ごめんごめん」
すりすりと頬を撫でてやる。イルーゾォは真っ赤になってうぐぅ、と呻いた。こうしてたまに名前で呼んで褒めたりするとイルーゾォはすごく元気になるのである。
まるで男を操る悪女のようだが仕方ない。
調子に乗るイルーゾォが悪いのだ、うん。
「…俺もさっき足をぶつけた。撫でてくれ」
「あァ!?ぶつけてねーだろ嘘つくんじゃねーよ!」
「ぶつけた。リン、撫でろ。ほら」
ひょいと私を持ち上げてリゾットは満足気に私を見た。膝の上に座らされてるけどなんだこれ…。イルーゾォを見ると恨んだような暗い瞳で私を見ている。う、うわ…やばい。
「…リン。降りろよ」
「そ、そんなこと言ったってさ…リゾットが、」
「リゾットが、なんだ?そいつは俺らのリーダーじゃねぇだろ。それともなに?お前がそいつの膝の上にいてーのか?ハ、清潔そうなフリしてそんなに尻軽だったのかよ。お前」
「え、ええ…」
「好きな女を尻軽という男なんて切ったほうがいいぜ、リン。お前にあの男は相応しくない」
「リゾット…少しダマッテテ…!」
「いいからさっさと降りろよッ!!リン、今すぐこっち来い!」
「行く必要はねえ。アイツうるせぇな…殺してもいいか?リン」
「ちょ…っ」
「やれるもんならやってみろよ、あァ!?『まだ』リゾットじゃねえガキに俺がやられるとでも思ってんのか?ギャング舐めてんじゃねェぞ!」
「は、お前のような雑魚今すぐに殺せる」
「…ッぶっ殺す!!リン、いい加減こっち来いッ!マジで仕置きするぞコラ!!」
若リゾットとイルーゾォの相性最悪かよ!?!?そ、そうだ…今のリゾットは大人だからイルーゾォやギアッチョのような精神が未熟な奴を相手にしたりはしなかったけど、若リゾットは全て相手にしてしまうんだッ…!
とにかく離れなきゃ…!
「り、リゾット…離して」
「何故。お前まさかアイツのようなガキが好きなのか?」
「え、えぁ…(イルーゾォの前でそんな質問すなよ!?)」
「…」
「(あれだけ煩かったイルーゾォが期待した目でこっちを見ているッ!うわ〜ん、どーしてこうなっちゃうのよん、もぉぉお!)」
大混乱しながらこくりと小さく頷く。
仲間として!!と心の中で叫びながら震えているとイルーゾォがでれっとした声でほ〜?と言いながら私をリゾットから奪い去った。は、早い。
「ふゥ〜〜ン?お前がなァ?…まァ、お前は見目麗しいし、か、可愛いし、美人だし、家事も出来るし、面倒見もいいし、性格も悪くねェ。たまに生意気な所もあるが…そ、そこも可愛いくないこともねーし…充分このイルーゾォに相応しいな!嫁にしてやることを許可してやってもいいぜ〜?」
「(うっわァ…きつい)…はは…殴りたいなあ…」
「おい生意気だぞリン。嫁にしてやらないぞ?んん?」
「………うわぁぁぁもう二人とも殺すぅぅう!!」
「!?!?お、落ち着けリン!」
「うおッ!?り、リンテメーナイフはやべーだろナイフは!」
そのあとソファに二人がかりで押さえられた私はぜえぜえと肩で息をしていた。
もう、いやだ…いつもの大人リゾットに戻ってくれ…そんでイルーゾォは殴る…っ。
私を押し倒しているイルーゾォと、リゾットをきっと睨みつけた。
そんな殺気立つ私にイルーゾォがごくりと喉を鳴らして、リゾットはぎらぎらと燃えるような瞳に代わる。
「……エロいな」
「…悔しいが同感だ。リン、お前は悪い女だな…怒っている姿も美しいなんて…」
「……へぅ?な、に言ってんのかな…?お二人は」
「……抱かせろ、リン」
「ふっざけんなテメーに抱かせてたまるか!俺の嫁だぞこいつは!!」
「…お前のようなヘタレがこいつを犯せるのか?俺は犯せる覚悟がある」
「…俺だって犯せる!!レイプなんざしたことねーし興味ねェがリンなら別だ。すげェ可愛がって俺なしじゃいられねェ体にしちまえばいいんだからな」
恐ろしすぎる会話についに私の瞳からぼろぼろと涙が溢れた。あ、あれ…なんで泣いてるん?私!なんだか少し疲れてしまったみたいで、止まらない。もう、やだ。
私だってギャングだけど女の子でもあるんだよ。なにいってんのばか。犯すとか、さっきから仲間をえっちな目でしか見てない二人に嫌気が差した。……心配してたのに、
「きらぃぃい…ッ!もう、離れてよ、オオカミどもめぇ…っ」
「え、あ、お、おい、リン…!?」
「だいっきらい、えっちなことばっか、さいてえ、もう、いるーぞも、りぞっとも、いや!!」
「!!…り、リン。すまなかっ、」
「はなれてぇ…っ!」
うぇぇん、と泣く私は恥ずかしいのに涙が止まってくれない。それを見たイルーゾォとリゾットがまた顔を赤くして興奮しているのを見た時、男ってなんて最低なの、と胸の中でナイフを振り回した。…普通、仲間が泣いてるのに興奮する!?もう、ばか、ばか!!
「ん、んぇ、ふ、ぇっ…う、ふ…っ」
「(…やべェェェ、めちゃくちゃ可愛いぞこいつ…!!!あ、謝んねェといけねーのにエロすぎる…)」
「(ぐ…猿じゃねえと言ったのにこのザマか。…だが、リンはエロすぎねぇか?今までこいつら仲間に犯されたりまわされていなかったのが不思議なくらいだ…)」
「えっちなこと、考えてるの、わかるんだから…!ひ、っひう、」
最低、最低と泣いているとイルーゾォが私を抱き上げた。や、と抵抗すると耳元でごめんと謝られる。聞いたことのない真剣な低い声にびく、と体を震わせた。反対の耳からはリゾットの低い声で悪かった、と言われる。…え、あ、な、にこれ。
「…お前が可愛すぎんのも悪いんだぜ…泣いてるのに、そんな可愛い顔しやがって…」
「や、な、に、なに、やめてぇ」
「リン…お前、こんな可愛いくてどうやって今まで生きてたんだ?俺が悪かった…悪かったが、お前にも責任はある」
「ひゃ、耳元…っ、やめてってばぁ」
「あー…本当に悪かったよ、リン…許してくれよ。…なぁ」
「リン…可愛い俺の天使…どうか俺を許してくれねぇか?お前のためなら、なんでもするよ」
「ん、ん…っ!?や、やだ、みみ、ほんとに、やめてっ」
「どうして?…まさか感じてんのか?…そんないやらしい女だったのか?お前、本当は俺にお仕置きされてーんじゃねぇの…?」
「ひゃ、ぅ…っちがう、ちがうの…!!よ、よわくて、やめてよぉ、イルーゾォ…っ」
「…俺の名前、ちゃんと呼べんじゃあねェか。いつもみたいにふざけてないでちゃんと呼べよ。ほら、早く」
「い、イルーゾォ…!イルーゾォ、離してぇ!」
「だーめ。お前が許してくれるまで、こうしててやるから。な、リン…」
「ひ…ッ!ゆ、ゆるす…、ゆるす、から…っ」
「…リン。お前が泣く理由はもう無くなっただろう?…男の声で感じるえろい女だったんだからな…」
「ひゃぅ…っ、ごめんなさい、もう、ゆるす、から…ッ!はなれて、はなれてぇっ」
「「…我儘な悪い子だな、リン」」
「あ…」
ぶつ、と目の前が暗くなる。
もうキャパオーバーだった。だって、だって身体が急に熱くなって、それで…!
目が覚めた私は、顔を真っ赤にしながら元に戻ったリゾットとイルーゾォをぽかすか殴った。
……うううう、もう、都合いいときだけ、協力してっ、ばか、ばかぁぁぁあ!!
「ッ悪かったって言ってんだろ!!…今はここで揉めてる場合じゃねーだろ…離せよギアッチョ」
「…リーダーが居なくなった今、私が指揮を取る。ギアッチョとメローネは逃したターゲットの暗殺、ホルマジオは状況を細かく私に説明して。それから残りのメンバーは本部に連絡をして」
解散!さっさと行って!と今まで見たことのないような顔で指示するリンにみんな、ぽかんと驚いた。それにリンは気にすることなく自分のパソコンを起動させて素早く指を動かしている。…こいつ、本当にリンか?
俺が驚いている間に、プロシュートとペッシは本部のジョルノに会いに。ギアッチョとメローネは慌ててバイクや車を用意し出した。
……。これが、前言ってた昔のリンか?
「リーダーはどのタイミングで消えたの?」
「…確か…俺も戦ってたせいであんま覚えてねーけどよォ。俺が雑魚をヤったあとにはもう居なくなってた。ターゲットの暗殺を優先しようと思ったんだけどよ…ターゲットも消えて情けなくここに戻ってきたっつー訳だ」
「…そっか。分かった。あとは私のスタンドで探る。ホルマジオは休んでて。君も怪我してる」
そっと俺の頬に手を添えて眉を下げるリンはいつになく弱っている。
…リーダーの存在はでけーよな。やっぱり。
情けなくなって思わず舌打ちをした。
「俺だけ休める訳ねーだろ…!お前も…どうして怒らねえんだよ。他の連中みてェによ」
「…私が怒ってチームが起動しなくなったらリーダーを探せない。そうだな〜見つけたらたくさんご飯奢ってもらおうかな。それでいいや!」
ニッ、といつもの笑みで笑うリンに俺も少しほっとする。それと同時にもう二度とねえようにしねえと、と気を引き締めた。
…そんで。こいつ、イイ女だよなァ。
「絶対に見つけるからよ…今日の夜は開けとけよ」
「りょーかい」
「リン!!リーダーを見つけた!怪我もしてねえ!」
「ほんと!?流石ギアくん!えらいじゃん!」
「なッ、撫でるんじゃァねェ〜…!」
それでリーダーは!と言った瞬間、ひゅっとナイフが私の頬を掠めた。
見るといつもとは違う格好をしたリーダーが殺気を物凄くだしたまま、ナイフを手に持っている。
「は、はァ!?なにしてんだリーダー!!」
「…リーダー?意味が分からねえ。ここはどこだ?テメェらなんなんだ!?」
「な…っ、ま、まさかだけどさぁ。ギアくん…」
「…過去のリーダーだ。年齢的には20前とかそこらの…」
疲れた顔でそうぼやるギアッチョに嘘、と呟く。その顔は青冷めていて少し可哀想になる程だった。
「リーダー…リゾットちゃんは?今のリゾットは!?」
「さっきターゲットを拷問したところによると、一日で元に戻るみたいだな」
「メローネ、ターゲットは殺したの?」
「ああ。安心してくれお姫様」
ほっと息をつくと、それをじっと眺めるリーダー。リーダーはなにを思ったのか、私の顎を掴み上げた。
「…お前らはなんだ?ギャングか?」
「…え…ああ、そう、だよ」
「……俺もギャングに入りてェ。入れろ」
「…っ!?な、に言って」
「入れると言うまでアンタを離さない。…場合によっちゃアンタは血を吐くことになる」
黒のパーカーフードから覗く赤い目に息を呑む。…本気だ。今のリゾットなら平気で私を殺すだろう。かたかたと悲しみで体が震える。
…私には『アンタ』だけだったのに。
いや…落ち着くんだ。明日になれば戻る。今は刺激しないように、しないと。
「…君はいずれギャングになる。今日焦らなくても、いつかはギャングになるんだよ。色々あるけど…ここのみんなのリーダーとして、毎日頑張ってる。君の未来の場所なんだ、ここ。ちょっと薄暗いけどね」
目に込めてリゾットの手をそっと握る。リゾットは少しだけ固まっていたが頬を赤くして手を離した。
「…本当か、知らねェが…アンタを信じる」
「!うん。リゾットちゃんも今日はゆっくりして」
「(…リゾットちゃん?)」
「どうしたの?」
「…リゾットなんていうフザけた名前で呼ぶんじゃねェ。俺の名前は、」
「ちょーーーーッと待った!もしかして本名言おうとしてる!?駄目だよ、暗殺チームのギャングなんだから〜!」
「……。リゾットでいい」
リゾットは今より髪が短くて、黒のパーカーにジーンズという地味な格好になっている。
なんというか…着こなしてるなあ。
すごくかっこいい。
「…リン。お前もギャングなのか?」
「えーと…うん。君と同じ」
「…へえ。こんなところでお前みたいな天使に会えるとは思って居なかった」
「!?」
なんか若リゾットすごい…!!
思わず照れていると、後ろにいたイルーゾォがチッ、と舌打ちをしてリゾットに絡みに行った。ええ〜一応過去のリーダーなのに。
「おいテメェ。女口説いて随分余裕だなァ?」
「…?お前は…フン。なんだ、嫉妬でもしているのか?リン、こんな男に好かれてお前も大変だな」
そう言うとリゾットは私の肩を掴んで抱き寄せるようにした。…うああああなにこれ昔のリゾットに気に入られてるううう。
情けなく顔を真っ赤にしている私にイルーゾォが更に目を吊り上げておい!と声を荒げた。
「こ…ッれは、俺のなんだよバーカ!!!」
「ひゃ。…あの〜イルちゃんのものじゃないんですケド〜」
「うるっせーーッ!大体ッ、リンも簡単に触られてんじゃあねェよ!!おいッ、若リゾット!テメェにリンは渡さねえからな!フン!」
プンスカ怒るイルーゾォに腕組みをして壁に寄りかかるリゾット。リゾットの目は無様…というようにイルーゾォを見ている。
若リゾットにも敵わないなんて…イルーゾォらしい。
その時、玄関からわあわあと騒がしい声が聞こえた。ギアッチョやメローネなんかも騒いでいるみたいだ。イルーゾォと顔を見合わせて一応ナイフを手に取る。
それを見たリゾットが少し驚いているのを見て苦笑した。これでもギャングなんですよ〜。
「…あれ!?ミスタとジョ、ボス!?どーしたの?」
「お〜リン!相変わらずえろい体してんなァ」
「…殺されたくなかったら口を閉じるんだ、ミスタ…。ハッ!」
ナイフを片手に物騒な発言をする私に、ギアッチョやメローネが驚いたように私を見る。
…やばいやばい。なんか最近昔の私がすぐ出てくるな。慌ててへらりと笑ってなんてね、と付け足す。ジョルノが呆れた目をしてミスタと私を見ていた。
「…リン。相変わらず貴女は可愛いですね。貴方のリーダーのことをプロシュート達から聞きました。今は居ますか?」
「う、うん。居るよ〜ちょっと待っててン!」
リゾットおいで〜と声を掛けると面倒そうにリゾットがやって来た。若いから少し反抗期ちっくだ。ジョルノを見て眉を顰める。
「…なんだこいつら」
「え〜と…私の仲間。リゾットの様子を見にきてくれたんだよ」
「頼んでねえしこんな弱そうなのもギャングなのか?」
馬鹿にしたように笑うリゾットにミスタがむっと眉を寄せる。慌てて間に入って若いから!と言うとミスタがふ〜ん、と嫌な笑みを浮かべた。
「ならよォ〜お前童貞なんじゃあないの〜?なァ、リゾットさんよォ〜」
「!?…それがなんだ。別に女に興味はねえし、ほかにやることがある。お前と違って猿じゃあないだけだ」
「ああ!?だーれが猿だって!?やっぱむかつくぜッ!一発殴らせろ!」
「お前が動いた瞬間、俺はお前を殺せる。分かったらさっさと帰れ。煩いのは嫌いなんだ」
リゾットは玄関を閉めてずかずかとリビングに入っていった。ぽかんとしている私にイルーゾォがリン?と問いかける。
「…なんか…尖ってるなぁ。リゾット」
「お前も知らないのか?あの頃の」
「知らないよ。もう少し後かな。出会ったの。その時には今のリゾットに近い感じだったよ。大人っぽくて、リーダー!って感じ」
「…ふうん」
「?なーに、イルちゃん」
「別に。それよりどうすんだ?」
「…刺激しないように今日乗り切るしかない、かな」
「……マジかよ…」
頑張れ、と笑いながら言うとイルーゾォは少しむすりとした後私のことをぎゅっと抱きしめてきた。!?と目を回す私を見て満足気にしている。
「あいつにもこうされんなよ」
「…えっ、えっ。私の知ってるイルちゃんってど畜生ヘタレなんですが」
「誰がヘタレだよッ!!お前は相変わらず生意気だな…!」
「へっへ〜だってイルちゃんからかいがいあるんだもん」
「…あんま男舐めてると痛い目見るぜ?こんな風に…がはッ」
「にゃーーーッ!え、え、メタリカ!?」
「テメェ…ここでイチャイチャするんじゃねぇ。目障りだ」
血を吐くイルーゾォを蹴り飛ばして私を抱き上げるリゾットにぞわ〜と血の気が引いていく。
ひぃ、こんな狂犬だったのリゾット…。
後すごく気に入られちゃってる…私。
「て、テメェ…!リーダーだからと我慢してたが…ムカつくぜッ!リンに触るんじゃねーよ!ぶっ飛ばしてやるッ!!」
「お前のものじゃねェんだろ?触ってなにが悪い。それにリンだってギャングの女だ。弱い男より強い男の方が好きだ。そうだろ?」
私の唇をぺろりと舐めあげるリゾットの目はぎらぎらと獣のような目をしている。
ぞく、と身体が震えたのを無視してリゾットの頬をぺちりと撫でるように叩いた。
きょとんとしているリゾットに軽く笑いながら口を開く。
「私は私の仲間を傷付ける男が一番嫌いなの。リゾット」
「…ッ」
「聞こえなかった?離してよ、リゾット」
今度は私の方からリゾットに近付いて耳元で囁いた。拘束する力が弱まったのでリゾットの腕から下りる。イルーゾォの手当てをしてやった。
「イルちゃんも挑発しすぎだよ。リゾットだって若いんだから」
「……ムカつくんだよ。仕方ねーだろ…」
「それは…仕方ないか…?」
二人してそんな話をしているとリゾットが悪かった…と落ち込みながら濡れたタオルをイルーゾォに投げつけた。
…は、反省してない…。イルーゾォがぶっ殺す!とキレていたので仕方なく抱きついてやると顔を真っ赤にして黙ってくれた。
うんうん、こんな風に女を使うのは嫌だけど仕方ない。…はぁ〜〜。うん、仕方ない…。
「リゾットちゃん。さっきの話聞いてた?」
「…どうにもお前のことになると俺は暴走しちまうらしい。俺を抑えてくれんのはお前しか居ねぇみたいだ。…俺の天使、どうか俺と一緒に、」
「くっだらねーな。こいつは天使じゃねーの。ギャングなんだよ、その小さい脳みそじゃ分かんねーか?」
高慢な言い方でまたリゾットを挑発するイルーゾォに呆れる。…なんていうか、すぐ調子に乗るよなぁ。大人だろ、しっかりしろよ。
そんなことを考えながらイルーゾォの口端にガーゼを貼った。
「いってェ。もう少し優しくしろよ!」
「…え〜強いイルーゾォなら耐えられると思ったんだけどな」
「!!…べ、別に痛くはねェけどな?ただ、女なんだからもう少し優しくできるだろ!」
「ごめんごめん」
すりすりと頬を撫でてやる。イルーゾォは真っ赤になってうぐぅ、と呻いた。こうしてたまに名前で呼んで褒めたりするとイルーゾォはすごく元気になるのである。
まるで男を操る悪女のようだが仕方ない。
調子に乗るイルーゾォが悪いのだ、うん。
「…俺もさっき足をぶつけた。撫でてくれ」
「あァ!?ぶつけてねーだろ嘘つくんじゃねーよ!」
「ぶつけた。リン、撫でろ。ほら」
ひょいと私を持ち上げてリゾットは満足気に私を見た。膝の上に座らされてるけどなんだこれ…。イルーゾォを見ると恨んだような暗い瞳で私を見ている。う、うわ…やばい。
「…リン。降りろよ」
「そ、そんなこと言ったってさ…リゾットが、」
「リゾットが、なんだ?そいつは俺らのリーダーじゃねぇだろ。それともなに?お前がそいつの膝の上にいてーのか?ハ、清潔そうなフリしてそんなに尻軽だったのかよ。お前」
「え、ええ…」
「好きな女を尻軽という男なんて切ったほうがいいぜ、リン。お前にあの男は相応しくない」
「リゾット…少しダマッテテ…!」
「いいからさっさと降りろよッ!!リン、今すぐこっち来い!」
「行く必要はねえ。アイツうるせぇな…殺してもいいか?リン」
「ちょ…っ」
「やれるもんならやってみろよ、あァ!?『まだ』リゾットじゃねえガキに俺がやられるとでも思ってんのか?ギャング舐めてんじゃねェぞ!」
「は、お前のような雑魚今すぐに殺せる」
「…ッぶっ殺す!!リン、いい加減こっち来いッ!マジで仕置きするぞコラ!!」
若リゾットとイルーゾォの相性最悪かよ!?!?そ、そうだ…今のリゾットは大人だからイルーゾォやギアッチョのような精神が未熟な奴を相手にしたりはしなかったけど、若リゾットは全て相手にしてしまうんだッ…!
とにかく離れなきゃ…!
「り、リゾット…離して」
「何故。お前まさかアイツのようなガキが好きなのか?」
「え、えぁ…(イルーゾォの前でそんな質問すなよ!?)」
「…」
「(あれだけ煩かったイルーゾォが期待した目でこっちを見ているッ!うわ〜ん、どーしてこうなっちゃうのよん、もぉぉお!)」
大混乱しながらこくりと小さく頷く。
仲間として!!と心の中で叫びながら震えているとイルーゾォがでれっとした声でほ〜?と言いながら私をリゾットから奪い去った。は、早い。
「ふゥ〜〜ン?お前がなァ?…まァ、お前は見目麗しいし、か、可愛いし、美人だし、家事も出来るし、面倒見もいいし、性格も悪くねェ。たまに生意気な所もあるが…そ、そこも可愛いくないこともねーし…充分このイルーゾォに相応しいな!嫁にしてやることを許可してやってもいいぜ〜?」
「(うっわァ…きつい)…はは…殴りたいなあ…」
「おい生意気だぞリン。嫁にしてやらないぞ?んん?」
「………うわぁぁぁもう二人とも殺すぅぅう!!」
「!?!?お、落ち着けリン!」
「うおッ!?り、リンテメーナイフはやべーだろナイフは!」
そのあとソファに二人がかりで押さえられた私はぜえぜえと肩で息をしていた。
もう、いやだ…いつもの大人リゾットに戻ってくれ…そんでイルーゾォは殴る…っ。
私を押し倒しているイルーゾォと、リゾットをきっと睨みつけた。
そんな殺気立つ私にイルーゾォがごくりと喉を鳴らして、リゾットはぎらぎらと燃えるような瞳に代わる。
「……エロいな」
「…悔しいが同感だ。リン、お前は悪い女だな…怒っている姿も美しいなんて…」
「……へぅ?な、に言ってんのかな…?お二人は」
「……抱かせろ、リン」
「ふっざけんなテメーに抱かせてたまるか!俺の嫁だぞこいつは!!」
「…お前のようなヘタレがこいつを犯せるのか?俺は犯せる覚悟がある」
「…俺だって犯せる!!レイプなんざしたことねーし興味ねェがリンなら別だ。すげェ可愛がって俺なしじゃいられねェ体にしちまえばいいんだからな」
恐ろしすぎる会話についに私の瞳からぼろぼろと涙が溢れた。あ、あれ…なんで泣いてるん?私!なんだか少し疲れてしまったみたいで、止まらない。もう、やだ。
私だってギャングだけど女の子でもあるんだよ。なにいってんのばか。犯すとか、さっきから仲間をえっちな目でしか見てない二人に嫌気が差した。……心配してたのに、
「きらぃぃい…ッ!もう、離れてよ、オオカミどもめぇ…っ」
「え、あ、お、おい、リン…!?」
「だいっきらい、えっちなことばっか、さいてえ、もう、いるーぞも、りぞっとも、いや!!」
「!!…り、リン。すまなかっ、」
「はなれてぇ…っ!」
うぇぇん、と泣く私は恥ずかしいのに涙が止まってくれない。それを見たイルーゾォとリゾットがまた顔を赤くして興奮しているのを見た時、男ってなんて最低なの、と胸の中でナイフを振り回した。…普通、仲間が泣いてるのに興奮する!?もう、ばか、ばか!!
「ん、んぇ、ふ、ぇっ…う、ふ…っ」
「(…やべェェェ、めちゃくちゃ可愛いぞこいつ…!!!あ、謝んねェといけねーのにエロすぎる…)」
「(ぐ…猿じゃねえと言ったのにこのザマか。…だが、リンはエロすぎねぇか?今までこいつら仲間に犯されたりまわされていなかったのが不思議なくらいだ…)」
「えっちなこと、考えてるの、わかるんだから…!ひ、っひう、」
最低、最低と泣いているとイルーゾォが私を抱き上げた。や、と抵抗すると耳元でごめんと謝られる。聞いたことのない真剣な低い声にびく、と体を震わせた。反対の耳からはリゾットの低い声で悪かった、と言われる。…え、あ、な、にこれ。
「…お前が可愛すぎんのも悪いんだぜ…泣いてるのに、そんな可愛い顔しやがって…」
「や、な、に、なに、やめてぇ」
「リン…お前、こんな可愛いくてどうやって今まで生きてたんだ?俺が悪かった…悪かったが、お前にも責任はある」
「ひゃ、耳元…っ、やめてってばぁ」
「あー…本当に悪かったよ、リン…許してくれよ。…なぁ」
「リン…可愛い俺の天使…どうか俺を許してくれねぇか?お前のためなら、なんでもするよ」
「ん、ん…っ!?や、やだ、みみ、ほんとに、やめてっ」
「どうして?…まさか感じてんのか?…そんないやらしい女だったのか?お前、本当は俺にお仕置きされてーんじゃねぇの…?」
「ひゃ、ぅ…っちがう、ちがうの…!!よ、よわくて、やめてよぉ、イルーゾォ…っ」
「…俺の名前、ちゃんと呼べんじゃあねェか。いつもみたいにふざけてないでちゃんと呼べよ。ほら、早く」
「い、イルーゾォ…!イルーゾォ、離してぇ!」
「だーめ。お前が許してくれるまで、こうしててやるから。な、リン…」
「ひ…ッ!ゆ、ゆるす…、ゆるす、から…っ」
「…リン。お前が泣く理由はもう無くなっただろう?…男の声で感じるえろい女だったんだからな…」
「ひゃぅ…っ、ごめんなさい、もう、ゆるす、から…ッ!はなれて、はなれてぇっ」
「「…我儘な悪い子だな、リン」」
「あ…」
ぶつ、と目の前が暗くなる。
もうキャパオーバーだった。だって、だって身体が急に熱くなって、それで…!
目が覚めた私は、顔を真っ赤にしながら元に戻ったリゾットとイルーゾォをぽかすか殴った。
……うううう、もう、都合いいときだけ、協力してっ、ばか、ばかぁぁぁあ!!