第一章
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「「おお…」」
「文句あんならやります?」
「いやいや…すげー綺麗だぜ。天使かと思った。見た目はな」
「余計な言葉入ってる!ハゲ!」
「おいおいハゲじゃねーっつの」
「俺の隣に並ぶのに相応しい女だろ?見た目はな」
「………まぁ、イルーゾォの隣に立てるならなんでもいいよ。はぁ」
「…!!お、お前…っ、天然か!?小悪魔なのか!?」
「はー?養殖なんてあるんすか、人間に」
「天然かよ…!」
おかしなことを言うイルーゾォをじっと見上げる。…おお、なかなかかっこいい。顔と身体だけと私も言われるがこの男も同じ部類だろう。
中身残念仲間…胸の中で呟いて思わず吹き出す。イルーゾォがあやしげにこちらを見つめて来たので慌てて口笛を吹きながら天井を見上げた。
「お前バレバレ過ぎんだろ。ほんとアホだな」
「…かっこいいなって思ってたんだよ?イルーゾォのこと」
「…は」
「よしっ、いこっか!任務任務!はよ終わらせてお酒飲みいくぞー!」
「い、いまのは天然じゃあねーだろッ!?絶対!!」
「ふふん、早くいくよー。残念仲間」
顔を真っ赤にさせて何やら喚いているイルーゾォのネクタイをぐいぐい引っ張る。
こら!と怒鳴られたが離さない。見た目はな、と言われた罰である。
「わ、すっごい…きれい…!」
「…ふぅん。お前もこーいうのが好きなのか?」
「女の子はみんな好きだよ!私も将来結婚するならこんな場所がいいな〜」
「はァ!?け、結婚!?結婚なんかさせるか!第一お前は暗殺者だろ!」
「えっ、そりゃあ結婚するならやめるよ。ジョルノからはもう許可もらってるんだよ、えっへん」
「絶対嘘だろ」
「ほんとだよ。『結婚…いいですね。確かに結婚するなら家に居て僕の帰りを待っていて欲しいです。それなら許可します。結婚する時は抜けて構いませんよ』って!何故か理想語られたけどね!」
「……お前ボスに狙われてんじゃねーかァァ!!今すぐパッショーネ抜けるぞ!!ほら、早く、」
「うわぁっ、ちょっと落ち着いてよばか!」
「いっ、てぇ!殴るか!?グーで!普通!」
「えーイルーゾォに遠慮はしないよーとくべつ(笑)だからー」
「(笑)はいらねーだろッ!!」
ぎゃあぎゃあ騒いでいると、パーティ会場の中でかなり目立っていることに気付いた。
慌ててイルーゾォの手を引っ張って廊下にでる。
「先輩なんだからしっかりしてよ、イルーゾォ」
「うっ、じゃあお前はターゲットに近付いて密室に連れてきてくれ。えーと確か部屋番号は…」
「670だよ。ちゃんと見てきた!」
「おー偉いな。よし、行ってこいジョニー」
「誰が犬じゃい!この…ばーか!」
「全然腹立たねーよ、その罵倒じゃあ」
「えー?じゃあ、」
「いーから行けっ!…さっさと終わらせて飯行くぞ」
「…了解!」
にかりと笑うあいつはやはり緊張なんかしている様子はない。これなら大丈夫か、と廊下で待っていたが、いつまで立ってもメーラが来ない。段々不安で堪らなくなってきた。あいつ…まさかなにかあったのか?やられたりしてねえよな?
元の性格にプラスされてどんどん不安が募っていく。それは、イルーゾォにとってメーラが大切な仲間になりかけているからだった。
「…くそ、早くしろよ…!俺が行ってもいいのか…?いや、目立って失敗したら最悪だ。くそっ…いや、もうこの際失敗してもいいんじゃあないか?あいつを失うくらいなら…ああ、どうする…!メーラ…!」
「はーいイルーゾォくん。お呼び?」
「うっわァァァ!」
「ちょっ、しぃー!黙って、あほ!」
ぐい、とメーラにネクタイを引っ張られたイルーゾォは慌てて口を閉じる。メーラを見ると頬に赤い血液が付いている以外はなにもなさそうだった。
「こ、これ怪我したのか!?」
「?うん、襲われたときに」
「襲われた!?」
「あ…ま、まあ触られただけだよ」
「………あの野朗ぶっ殺す…!!」
「ちょっ、私が殺したってば、イルーゾォ!」
「いいや俺も死体を切り刻んで火くらいつけないと気がすまねー!離せ、メーラ!」
「もう!イルーゾォ!ご飯行こうって約束したじゃん!破るの!?」
「!…しっ、仕方ねーな…」
メーラが少し寂しそうな顔をしているのを見て、イルーゾォは動きを止めて落ち着くためにため息を吐いた。
…なんだからしくない。女一人のためにここまで怒る必要もないのに。
「……なにが食いたい?お前の好きなもん奢ってやる」
「先輩さすが!…んん…今日はお酒飲みたいから、やっぱりご飯買ってアジトで飲まない?」
「?バーかなんかじゃなくていいのか?」
「だって私お酒弱いんだもん。潰れたら面倒でしょ?」
「別にお前くらい簡単に抱えられる。ほら」
「きゃあっ」
ふざけ半分でイルーゾォはメーラの膝に手を差し込んで軽く抱き上げた。…つーか本当に軽い。永遠に待っていられそうだ。
「…重い?」
「…まあなァ。腕折れちまうかも?」
「えーそんなに!?うそ、嘘でしょ!?」
「嘘に決まってんだろバーカ。羽持ってるみたいだぜ」
「ほんと?やったぁ、ダイエットしてたんだよね。…でもイルーゾォってほんと体格いいなぁ。腕とかすごい」
すりすりと白い手で自分の腕を撫でられて、思わずイルーゾォは顔を赤くする。
こんくらいで照れてどうすんだ、阿保か…。
照れているイルーゾォに気付いたのか、メーラも顔を赤くした。
「……イタリア男でしょ、ばか」
「…悪かったな。くそ、見るな…自分でも意味わかんねえ」
「ふふん、やっぱりイルーゾォって人のこと抱く抱く言う割にウブだよね」
「いや…他の女にはこんな風にならな、…っなんでもない!よし、行くぞ!ピザと酒買って帰ろうな、うん!」
余計なことを言いそうになって足を進める。
抱いたままのメーラがおろして、と喚いているが無視だ。少しくらい男として俺を意識しろ。馬鹿女。
「…ねえってば!おろしてー!」
「ああ?ぜってー下さねえよ。俺を馬鹿にした罰」
「してないよ。イルーゾォは馬鹿じゃなくて阿保だもんね」
「んだとこの生意気女め!」
「きゃぁあっ」
ぐん、と脇の下に手を入れて持ち上げる。
まるで子猫が伸ばされているような光景に、思わずイルーゾォは笑ってしまった。
…可愛いすぎな、こいつ。
「も〜〜!ほんとイルーゾォ嫌い!」
「嫌いじゃねーだろ?好きなくせに」
「べ、別にアンタのこと嫌いじゃないんだからねっ!」
「ツンデレかよ」
「…でもほんとに、嫌いじゃないよ。イルーゾォのこと」
「……そうかよ」
「……セクハラはやだけど」
「してねーだろセクハラなんて」
「今!まさに!してます!」
睨みつけてくるメーラにイルーゾォは仕方なく腕を離す。ほっとした顔でこちらを見上げてくるメーラにイルーゾォはギュン、と胸が鳴った。
可愛い…
「おーいイルーゾォさん?早く行こうよ…お腹すいた」
「…ん。手」
「て?」
「手出せ。繋ぐ」
「は、ぁあ?な、なんで」
「…危ねーだろ。お前ヒールだし」
「え、えぇ〜?いいよ、別に。子供じゃないし」
「っいいから繋ぐって言ってんだろ!おら、離すなよ!」
「ひゃ(こ、恋人繋ぎ…!?)」
「フン、こんな細い指で力出せんのかよ?すぐ死にそうだな、お前…」
「あのね〜馬鹿にすんのも良い加減に、」
「俺が守ってやってもいいぜ。お前が必要なとき、俺が許可してやる」
「…!」
お前なら、と言いかけてイルーゾォは口を閉じた。メーラが驚いた顔をしていたからだ。
イルーゾォはなんとなく気まずい思いをしながら目をそらす。
メーラが口を開くのを待つ。数秒して、メーラがゆっくりと言葉を繋いだ。
「…私って罪な女なんだね〜」
「…は?」
「……ぷっ、あははは!っふくく…あーごめん…でもイルーゾォ…私のことは男だと思ってくれていいよ。むしろ女だって守られたくないというか?」
どうやら女扱いしたことに多少の思いがあったらしい。そういうんじゃあない、と言いそうになったがそういうことかと思い直した。
俺はこいつを仲間じゃなくて女だと思ってるし、守りたいとも思っているのだ。
言い訳のしようもない。
「…確かにお前は女じゃないな!阿保の間違いだったわ」
「おっ、やる?やっちゃいます?」
「嘘嘘冗談だって。おら。飯いこーぜ、阿保女」
「覚えとけよこら」
…別にこいつを愛してる、だとかクズの俺がそんなちんけな台詞を吐くつもりはない。ただ、こいつの死ぬところを見たくないと思っただけだ。
だから、きっと、これはまだ恋でもなんでもない…はず。
「…おにーさんもういっぱい!」
「そろそろやめたほうがいいのでは?」
「おにーさんのお酒、おいしいんだもん。もっとのみたいな…?」
「…今すぐお作りいたしますッ!!」
「おいこら痴女。男釣ってんじゃねえ」
「…ふふ…武器を使って何が悪いってんですかーー!?おら、イルーゾォ、きさまものめーー!」
「うぐぉっ、て、てめっ、」
肩に細い腕が回ってきたと思った瞬間引っ張られる。顔を見るとにやにやと楽しそうな笑みを浮かべていて嫌な予感がした。
…くっそ、この女…
「イルーゾォせんぱーい、わたしのおさけがのめないってぇの〜?」
「……お前みたいに無様な姿になりたくねーからな、俺は」
「ほんとはそんなこと言って弱いだけなんとちがう〜?そーでしょお、みんなにいいふらしてやるぅ」
「俺が酒豪なのはチーム全員知ってるぜ?バーカ。俺がそんな煽りに釣られると…」
「わたしのひみつ、おしえてあげるからさ…のもうよ、イルーゾォ…」
…その言葉に釣られて酒を大量に浴びた俺は、正真正銘の馬鹿だと認めてやる。
「… メーラ」
「ん、…?や…な、に」
「キスしていいよな…?」
「いいよ…ちゅうして、」
「…フン、ガキくせーのな…、馬鹿メーラ…」
ちゅうちゅうと可愛らしい唇を吸いながら腰を撫でる。男と女が一緒に酒を飲んでやることなんて一つに決まっていた。それは俺とメーラも例外じゃあない。
メーラは可愛らしい笑みを浮かべながら俺の腰に足を回した。…乗り気かよ。淫乱め。クソっ、他の男にもこうしてたらひでー仕置きをしてやる。
「…、やっぱだめ、ちがう、」
「…はぁ!?ふざけんな…いまさら、」
「……なんか…だめだ…こんなの初めて…」
「その台詞は入れてからたっぷり言わせてやるよ阿保!!」
我慢出来ずメーラの服を脱がせて脚を開く。
太腿にちゅ、ちゅ、とキスをしていけばメーラはいやいやと頭を振って抵抗した。
それに腹が立ってメーラの尻を軽く叩く。仔犬のような悲鳴で鳴くメーラに興奮した。
「…ん…っ!わたしのひみつ、あげる…」
「……抱いてから、な。今は黙って抱かれてろ」
「私、女の子が好きなんだよねぇ…」
「フン、くだらねー冗談はよせ。お前みてーな容姿の良い女がんなこと…」
「ほんと。…女の子に抱かれたいの、私」
さっきまで酔っていたとは思えない流暢な言葉で俺を見上げるメーラに唖然とする。
……嘘だろ?
「…男の人に抱かれるのも嫌いじゃあない…けど、女の子がやっぱすき。…これを男に言うのは初めてだよ…イルーゾォ。とくべつね」
悪戯っこのように微笑むメーラに軽い絶望感を覚える。…胸がぐるぐるとして吐きそうになった。
「男の人を好きになれないんだよな〜…なんでだろ」
「……試したこともねーの?」
「ある…けど無理だった。…男装なんて長いことしてたからかな…それともツェペリだから?」
「ツェペリ…?」
「私の祖父がすっごい女たらしだったらしくてさ…へへ、だからかなあ」
「………」
「……なんてね?うっそ〜!どう?騙され…っ」
「マジに犯すクソ女ッ」
「ひっ…ちょ、ちょっとまって、ほんとにだめなの、きょうはぁ…!」
「下らねー冗談言いやがって…!焦っただろーが馬鹿女…!!」
「へ、ぅ?な、んであせっ、やぁっ、ちょ、っどこさわってぇ…!?」
「もうしらねえからな。ぶち込んでやる…」
喘ぐメーラにどこか安心しながら、俺は興奮に息を走らせた。…この女には仕置きが必要だからな、割とまじで。
ぐったりとしたメーラの髪を撫でながら息をつく。あれから何時間も抱いていたらもう朝になっていた。中々良いホテルだったからか、心地良さそうに眠るメーラに思わずにやけた顔になった。可愛いすぎる。
…これでもう俺の女だよな?
チームの奴らに触らせねーようにしねえと。
どこかそわそわとする気持ちに複雑になりながらやはり嬉しかった。こいつをモノに出来たことに満足感を覚える。
「眠たい…みすた、」
「………あ?」
「さわるにゃぁ…ふーご、の、ばーか…ふふふ、こわい…ぶちゃらてぃ、たすけて…ふふ」
「………おい起きろメーラ」
「じょるのぉ…だいすき、ふふ、わらってよぅ…んふ、あばっきおも…こわいかお…ならんちゃ、それ、おこられる…」
「メーラ!」
「っ、はい!?なに、ブチャラティ!?」
「だっれがブチャラティだてめー!男の腕の中で他のやつらの夢見るとは随分淫乱じゃねぇかあぁ!?」
「えっ、え!?イルーゾォ!?わぁぁ、やだ、なんで裸!?えっち!変態ッ」
「…覚えてねーのかよォォォ…!くっそ…」
慌てふためくメーラに、俺は頭が酷く痛くなった。くそ、こいつまじで…!
もうこうなったら無理にでも俺のモンにして閉じ込めてやる。俺は闘志に燃えながらそう決意した。
「文句あんならやります?」
「いやいや…すげー綺麗だぜ。天使かと思った。見た目はな」
「余計な言葉入ってる!ハゲ!」
「おいおいハゲじゃねーっつの」
「俺の隣に並ぶのに相応しい女だろ?見た目はな」
「………まぁ、イルーゾォの隣に立てるならなんでもいいよ。はぁ」
「…!!お、お前…っ、天然か!?小悪魔なのか!?」
「はー?養殖なんてあるんすか、人間に」
「天然かよ…!」
おかしなことを言うイルーゾォをじっと見上げる。…おお、なかなかかっこいい。顔と身体だけと私も言われるがこの男も同じ部類だろう。
中身残念仲間…胸の中で呟いて思わず吹き出す。イルーゾォがあやしげにこちらを見つめて来たので慌てて口笛を吹きながら天井を見上げた。
「お前バレバレ過ぎんだろ。ほんとアホだな」
「…かっこいいなって思ってたんだよ?イルーゾォのこと」
「…は」
「よしっ、いこっか!任務任務!はよ終わらせてお酒飲みいくぞー!」
「い、いまのは天然じゃあねーだろッ!?絶対!!」
「ふふん、早くいくよー。残念仲間」
顔を真っ赤にさせて何やら喚いているイルーゾォのネクタイをぐいぐい引っ張る。
こら!と怒鳴られたが離さない。見た目はな、と言われた罰である。
「わ、すっごい…きれい…!」
「…ふぅん。お前もこーいうのが好きなのか?」
「女の子はみんな好きだよ!私も将来結婚するならこんな場所がいいな〜」
「はァ!?け、結婚!?結婚なんかさせるか!第一お前は暗殺者だろ!」
「えっ、そりゃあ結婚するならやめるよ。ジョルノからはもう許可もらってるんだよ、えっへん」
「絶対嘘だろ」
「ほんとだよ。『結婚…いいですね。確かに結婚するなら家に居て僕の帰りを待っていて欲しいです。それなら許可します。結婚する時は抜けて構いませんよ』って!何故か理想語られたけどね!」
「……お前ボスに狙われてんじゃねーかァァ!!今すぐパッショーネ抜けるぞ!!ほら、早く、」
「うわぁっ、ちょっと落ち着いてよばか!」
「いっ、てぇ!殴るか!?グーで!普通!」
「えーイルーゾォに遠慮はしないよーとくべつ(笑)だからー」
「(笑)はいらねーだろッ!!」
ぎゃあぎゃあ騒いでいると、パーティ会場の中でかなり目立っていることに気付いた。
慌ててイルーゾォの手を引っ張って廊下にでる。
「先輩なんだからしっかりしてよ、イルーゾォ」
「うっ、じゃあお前はターゲットに近付いて密室に連れてきてくれ。えーと確か部屋番号は…」
「670だよ。ちゃんと見てきた!」
「おー偉いな。よし、行ってこいジョニー」
「誰が犬じゃい!この…ばーか!」
「全然腹立たねーよ、その罵倒じゃあ」
「えー?じゃあ、」
「いーから行けっ!…さっさと終わらせて飯行くぞ」
「…了解!」
にかりと笑うあいつはやはり緊張なんかしている様子はない。これなら大丈夫か、と廊下で待っていたが、いつまで立ってもメーラが来ない。段々不安で堪らなくなってきた。あいつ…まさかなにかあったのか?やられたりしてねえよな?
元の性格にプラスされてどんどん不安が募っていく。それは、イルーゾォにとってメーラが大切な仲間になりかけているからだった。
「…くそ、早くしろよ…!俺が行ってもいいのか…?いや、目立って失敗したら最悪だ。くそっ…いや、もうこの際失敗してもいいんじゃあないか?あいつを失うくらいなら…ああ、どうする…!メーラ…!」
「はーいイルーゾォくん。お呼び?」
「うっわァァァ!」
「ちょっ、しぃー!黙って、あほ!」
ぐい、とメーラにネクタイを引っ張られたイルーゾォは慌てて口を閉じる。メーラを見ると頬に赤い血液が付いている以外はなにもなさそうだった。
「こ、これ怪我したのか!?」
「?うん、襲われたときに」
「襲われた!?」
「あ…ま、まあ触られただけだよ」
「………あの野朗ぶっ殺す…!!」
「ちょっ、私が殺したってば、イルーゾォ!」
「いいや俺も死体を切り刻んで火くらいつけないと気がすまねー!離せ、メーラ!」
「もう!イルーゾォ!ご飯行こうって約束したじゃん!破るの!?」
「!…しっ、仕方ねーな…」
メーラが少し寂しそうな顔をしているのを見て、イルーゾォは動きを止めて落ち着くためにため息を吐いた。
…なんだからしくない。女一人のためにここまで怒る必要もないのに。
「……なにが食いたい?お前の好きなもん奢ってやる」
「先輩さすが!…んん…今日はお酒飲みたいから、やっぱりご飯買ってアジトで飲まない?」
「?バーかなんかじゃなくていいのか?」
「だって私お酒弱いんだもん。潰れたら面倒でしょ?」
「別にお前くらい簡単に抱えられる。ほら」
「きゃあっ」
ふざけ半分でイルーゾォはメーラの膝に手を差し込んで軽く抱き上げた。…つーか本当に軽い。永遠に待っていられそうだ。
「…重い?」
「…まあなァ。腕折れちまうかも?」
「えーそんなに!?うそ、嘘でしょ!?」
「嘘に決まってんだろバーカ。羽持ってるみたいだぜ」
「ほんと?やったぁ、ダイエットしてたんだよね。…でもイルーゾォってほんと体格いいなぁ。腕とかすごい」
すりすりと白い手で自分の腕を撫でられて、思わずイルーゾォは顔を赤くする。
こんくらいで照れてどうすんだ、阿保か…。
照れているイルーゾォに気付いたのか、メーラも顔を赤くした。
「……イタリア男でしょ、ばか」
「…悪かったな。くそ、見るな…自分でも意味わかんねえ」
「ふふん、やっぱりイルーゾォって人のこと抱く抱く言う割にウブだよね」
「いや…他の女にはこんな風にならな、…っなんでもない!よし、行くぞ!ピザと酒買って帰ろうな、うん!」
余計なことを言いそうになって足を進める。
抱いたままのメーラがおろして、と喚いているが無視だ。少しくらい男として俺を意識しろ。馬鹿女。
「…ねえってば!おろしてー!」
「ああ?ぜってー下さねえよ。俺を馬鹿にした罰」
「してないよ。イルーゾォは馬鹿じゃなくて阿保だもんね」
「んだとこの生意気女め!」
「きゃぁあっ」
ぐん、と脇の下に手を入れて持ち上げる。
まるで子猫が伸ばされているような光景に、思わずイルーゾォは笑ってしまった。
…可愛いすぎな、こいつ。
「も〜〜!ほんとイルーゾォ嫌い!」
「嫌いじゃねーだろ?好きなくせに」
「べ、別にアンタのこと嫌いじゃないんだからねっ!」
「ツンデレかよ」
「…でもほんとに、嫌いじゃないよ。イルーゾォのこと」
「……そうかよ」
「……セクハラはやだけど」
「してねーだろセクハラなんて」
「今!まさに!してます!」
睨みつけてくるメーラにイルーゾォは仕方なく腕を離す。ほっとした顔でこちらを見上げてくるメーラにイルーゾォはギュン、と胸が鳴った。
可愛い…
「おーいイルーゾォさん?早く行こうよ…お腹すいた」
「…ん。手」
「て?」
「手出せ。繋ぐ」
「は、ぁあ?な、なんで」
「…危ねーだろ。お前ヒールだし」
「え、えぇ〜?いいよ、別に。子供じゃないし」
「っいいから繋ぐって言ってんだろ!おら、離すなよ!」
「ひゃ(こ、恋人繋ぎ…!?)」
「フン、こんな細い指で力出せんのかよ?すぐ死にそうだな、お前…」
「あのね〜馬鹿にすんのも良い加減に、」
「俺が守ってやってもいいぜ。お前が必要なとき、俺が許可してやる」
「…!」
お前なら、と言いかけてイルーゾォは口を閉じた。メーラが驚いた顔をしていたからだ。
イルーゾォはなんとなく気まずい思いをしながら目をそらす。
メーラが口を開くのを待つ。数秒して、メーラがゆっくりと言葉を繋いだ。
「…私って罪な女なんだね〜」
「…は?」
「……ぷっ、あははは!っふくく…あーごめん…でもイルーゾォ…私のことは男だと思ってくれていいよ。むしろ女だって守られたくないというか?」
どうやら女扱いしたことに多少の思いがあったらしい。そういうんじゃあない、と言いそうになったがそういうことかと思い直した。
俺はこいつを仲間じゃなくて女だと思ってるし、守りたいとも思っているのだ。
言い訳のしようもない。
「…確かにお前は女じゃないな!阿保の間違いだったわ」
「おっ、やる?やっちゃいます?」
「嘘嘘冗談だって。おら。飯いこーぜ、阿保女」
「覚えとけよこら」
…別にこいつを愛してる、だとかクズの俺がそんなちんけな台詞を吐くつもりはない。ただ、こいつの死ぬところを見たくないと思っただけだ。
だから、きっと、これはまだ恋でもなんでもない…はず。
「…おにーさんもういっぱい!」
「そろそろやめたほうがいいのでは?」
「おにーさんのお酒、おいしいんだもん。もっとのみたいな…?」
「…今すぐお作りいたしますッ!!」
「おいこら痴女。男釣ってんじゃねえ」
「…ふふ…武器を使って何が悪いってんですかーー!?おら、イルーゾォ、きさまものめーー!」
「うぐぉっ、て、てめっ、」
肩に細い腕が回ってきたと思った瞬間引っ張られる。顔を見るとにやにやと楽しそうな笑みを浮かべていて嫌な予感がした。
…くっそ、この女…
「イルーゾォせんぱーい、わたしのおさけがのめないってぇの〜?」
「……お前みたいに無様な姿になりたくねーからな、俺は」
「ほんとはそんなこと言って弱いだけなんとちがう〜?そーでしょお、みんなにいいふらしてやるぅ」
「俺が酒豪なのはチーム全員知ってるぜ?バーカ。俺がそんな煽りに釣られると…」
「わたしのひみつ、おしえてあげるからさ…のもうよ、イルーゾォ…」
…その言葉に釣られて酒を大量に浴びた俺は、正真正銘の馬鹿だと認めてやる。
「… メーラ」
「ん、…?や…な、に」
「キスしていいよな…?」
「いいよ…ちゅうして、」
「…フン、ガキくせーのな…、馬鹿メーラ…」
ちゅうちゅうと可愛らしい唇を吸いながら腰を撫でる。男と女が一緒に酒を飲んでやることなんて一つに決まっていた。それは俺とメーラも例外じゃあない。
メーラは可愛らしい笑みを浮かべながら俺の腰に足を回した。…乗り気かよ。淫乱め。クソっ、他の男にもこうしてたらひでー仕置きをしてやる。
「…、やっぱだめ、ちがう、」
「…はぁ!?ふざけんな…いまさら、」
「……なんか…だめだ…こんなの初めて…」
「その台詞は入れてからたっぷり言わせてやるよ阿保!!」
我慢出来ずメーラの服を脱がせて脚を開く。
太腿にちゅ、ちゅ、とキスをしていけばメーラはいやいやと頭を振って抵抗した。
それに腹が立ってメーラの尻を軽く叩く。仔犬のような悲鳴で鳴くメーラに興奮した。
「…ん…っ!わたしのひみつ、あげる…」
「……抱いてから、な。今は黙って抱かれてろ」
「私、女の子が好きなんだよねぇ…」
「フン、くだらねー冗談はよせ。お前みてーな容姿の良い女がんなこと…」
「ほんと。…女の子に抱かれたいの、私」
さっきまで酔っていたとは思えない流暢な言葉で俺を見上げるメーラに唖然とする。
……嘘だろ?
「…男の人に抱かれるのも嫌いじゃあない…けど、女の子がやっぱすき。…これを男に言うのは初めてだよ…イルーゾォ。とくべつね」
悪戯っこのように微笑むメーラに軽い絶望感を覚える。…胸がぐるぐるとして吐きそうになった。
「男の人を好きになれないんだよな〜…なんでだろ」
「……試したこともねーの?」
「ある…けど無理だった。…男装なんて長いことしてたからかな…それともツェペリだから?」
「ツェペリ…?」
「私の祖父がすっごい女たらしだったらしくてさ…へへ、だからかなあ」
「………」
「……なんてね?うっそ〜!どう?騙され…っ」
「マジに犯すクソ女ッ」
「ひっ…ちょ、ちょっとまって、ほんとにだめなの、きょうはぁ…!」
「下らねー冗談言いやがって…!焦っただろーが馬鹿女…!!」
「へ、ぅ?な、んであせっ、やぁっ、ちょ、っどこさわってぇ…!?」
「もうしらねえからな。ぶち込んでやる…」
喘ぐメーラにどこか安心しながら、俺は興奮に息を走らせた。…この女には仕置きが必要だからな、割とまじで。
ぐったりとしたメーラの髪を撫でながら息をつく。あれから何時間も抱いていたらもう朝になっていた。中々良いホテルだったからか、心地良さそうに眠るメーラに思わずにやけた顔になった。可愛いすぎる。
…これでもう俺の女だよな?
チームの奴らに触らせねーようにしねえと。
どこかそわそわとする気持ちに複雑になりながらやはり嬉しかった。こいつをモノに出来たことに満足感を覚える。
「眠たい…みすた、」
「………あ?」
「さわるにゃぁ…ふーご、の、ばーか…ふふふ、こわい…ぶちゃらてぃ、たすけて…ふふ」
「………おい起きろメーラ」
「じょるのぉ…だいすき、ふふ、わらってよぅ…んふ、あばっきおも…こわいかお…ならんちゃ、それ、おこられる…」
「メーラ!」
「っ、はい!?なに、ブチャラティ!?」
「だっれがブチャラティだてめー!男の腕の中で他のやつらの夢見るとは随分淫乱じゃねぇかあぁ!?」
「えっ、え!?イルーゾォ!?わぁぁ、やだ、なんで裸!?えっち!変態ッ」
「…覚えてねーのかよォォォ…!くっそ…」
慌てふためくメーラに、俺は頭が酷く痛くなった。くそ、こいつまじで…!
もうこうなったら無理にでも俺のモンにして閉じ込めてやる。俺は闘志に燃えながらそう決意した。
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